【コラム】虚淵玄の新たな挑戦。ロボットアニメ『OBSOLETE』で描こうとしているものとは

マンガ・アニメ

2019/12/24

『OBSOLETE』 YouTube Originalsとして、YouTubeバンダイナムコアーツチャンネルで配信中。
(C)PROJECT OBSOLETE

『OBSOLETE』公式サイト:https://project-obsolete.com

安価に手に入るロボット「エグゾフレーム」が、世界の風景を塗り替える

「時代遅れ」「もはや用いられない」――「OBSOLETE」という単語にはそういう意味がある。そんな刺激的なタイトルを掲げているロボットアニメを生み出したのは虚淵玄(ニトロプラス)。『魔法少女まどか☆マギカ』で従来の魔法少女アニメの概念を一新し、『Fate/Zero』『仮面ライダー鎧武』『GODZILLA』といった日本を代表する人気シリーズを次々と担う脚本家・小説家だ。

 ロボットアニメが「時代遅れ」なのか。それとも、進みすぎたテクノロジーに対して、人間が「時代遅れ」になっているのか。そのタイトルの示すものを考えるだけでも、いろいろな想像ができそうだ。

 この「時代遅れ」の作品の舞台は、21世紀の世界。大国は圧倒的な軍事力を誇り、中小国は貧困の中にあえいでいる。そこに突如、宇宙人がコンタクトしてきて「通商」を申し出てきた。しかも、世界中の各地に偏在している石灰岩と引き換えに、未知の技術を使ったロボットを提供(販売)するという。その宇宙人と技術を警戒する大国は協定を結び、その技術の氾濫を制限しようとするが、中小の国家はその協定を無視。発展途上の地域や国々は宇宙人と取引を次々行い、「エグゾフレーム」と呼ばれるロボットはたちまち世界中へ拡散していく。

「エグゾフレーム」の素体(本体)は有機的な人型のフォルムをしており、乗り手の意識を読み取って手足を自由自在に動かすことができる。全高は約2.5メートル。人間が使っている武器をそのまま使うことができるため、このロボットを手にした者たちは、アサルトライフルを持たせ、ありあわせの防弾装甲を貼り付け、兵器として戦場に投入する。「エグゾフレーム」の登場により、本来なら小型車両で牽引する迫撃砲を運ばせて、山の中腹から発射するといった戦術を取ることも可能になった。

「エグゾフレーム」は戦場に合わせて、搭乗者にあわせて、その姿を変えていく。アメリカ軍の海兵隊が使う「武装偵察エグゾフレーム」は最新兵器で武装され、いかにもロボットアニメに登場しそうな派手なルックスをしているし、インド軍はスキーを穿かせ、ストックを持たせるといった寒冷地仕様で使用している。海上プラントでは、足ヒレとシュノーケルを装備した潜水用が登場。紛争地帯では、簡易的な防弾装備だけを身に着けただけの「エグゾフレーム」が戦場を走り回り、従来の兵器を圧倒していく。「エグゾフレーム」の登場は戦場を変えていくのである。

「消耗品」としてのロボットの美学とは

 持たざるものが、未知の力を手に入れたとき、世界が変わる。

 これは『機動戦士ガンダム』をはじめとするロボットアニメの基本的な構造のひとつだ。多くのロボットアニメでは、何も持たない少年たちがロボットを手に入れ、自らの信念を貫いたりするものだった。本作では、ロボットを手に入れるのは持たざる国の人々。彼らは石灰岩という、比較的安価な資源と引きかえに手にした「エグゾフレーム」を使いこなし、自らの現状を変えようとあがき始める。安価であるがゆえに「エグゾフレーム」は次々と使い込まれていく。腕が取れようが、足がなくなろうが、動けばかまわない。壊れたら、そこで使い捨てられ、乗り捨てられていく。砂埃が舞う戦場に壊れた「エグゾフレーム」が横たわり、銃を持った人々はそれを乗り越えて、敵陣へと向かう。ロボットはあくまで道具であり、世界の背景の一部でしかない。

 昨今のロボットアニメではあまり描かれなくなった、「モノ」や「道具」、「乗り物」としてのロボット描写。「人のかたちをしたモノ」が道具として使い込まれ、ときには消耗品のように放棄されていく。かつて80年代のロボットアニメでは、そんな描写をする作品が多かった。

 主人公が消耗品のように扱われるロボット(アーマードトルーパー)に乗り、100年間続いた戦争の末期をめぐる『装甲騎兵ボトムズ』、植民地の独立運動の中、ロボット(コンバットアーマー)を駆使して反政府ゲリラが戦う『太陽の牙ダグラム』、そして、ロボット(レイバー)が自動車のように扱われている社会で、犯罪に対抗する警察組織を描いた『機動警察パトレイバー』……。昨今のロボットアニメでは受け継がれていない美学のひとつを、『OBSOLETE』は継承しようとしている。

 それは「時代遅れ」の美学なのか。それとも新しい魅力の発掘なのか。虚淵玄とスタッフたちは、『OBSOLETE』でロボットアニメというジャンルで新しい挑戦を仕掛けている。

文=志田英邦

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 2014年、突如現れた異星人は、人類に対して「交易」を要求した。彼らは石灰岩1000キログラムと引き換えに意識制御型汎用ロボット「エグゾフレーム」を提供し始める。銃よりも安価で、誰でも操作できる「エグゾフレーム」はまたたくまに拡散していく。

【配信情報】
『OBSOLETE』 YouTube Originalsとして、YouTubeバンダイナムコアーツチャンネルで配信中。YouTube Premiumメンバー(有料)は、最新エピソードを広告なしで視聴できます。
YouTube Premium メンバーの以外の方も、広告付きで無料で視聴いただけます。

【公開スケジュール】
2019年12月3日(火)EP 1 〜 EP 6 公開(YouTube Premium メンバー対象)EP 1 無料公開
2019年12月10日(火)EP 2 無料公開
2019年12月17日(火)EP 3 無料公開
2019年12月24日(火)EP 4 無料公開
2019年12月31日(火)EP 5 無料公開
2020年1月7日(火)EP 6 無料公開