ライブでは演じられなかった「幻のエンディング」も!「声優×二次元芸人」プロジェクト「GETUP!GETLIVE!(ゲラゲラ)」が完全ノベル化に!

文芸・カルチャー

2020/2/15

『GETUP!GETLIVE!』(渡航/文藝春秋)

 数々の大ヒットアニメを世に送り出してきたMBS(毎日放送)がプロデュースする「声優×二次元芸人」プロジェクト「GETUP!GETLIVE!(ゲラゲラ)」。花江夏樹、西山宏太朗ら人気声優が芸人のキャラクターを演じ、リーディングライブの開催やドラマCDの発売などで話題になっている本プロジェクトから、2020年2月、ついに小説がリリースされる。

『GETUP!GETLIVE!』(文藝春秋)を執筆するのは、『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』(小学館)などで知られ、本プロジェクトでは世界観設計に携わる渡航さん。気になる内容は、2019年に行われたファーストライブを完全ノベル化したものだ。

 東沢楓(cv.西山宏太朗)と上原淳也(cv.花江夏樹)は、幼馴染であると同時に、東京は神田・神保町にある芸能学院SSS(スーパースタースクール)に通い、お笑い芸人を目指すコンビでもある。楓は、幼いころこそ「おもしろい」と可愛がられたが、18歳の今となっては自称「笑われるプロ」の卑屈な陰キャと化している。相方の淳也は、楓のフォローに回るがごとく、生真面目にコントのネタを書き、楓にツッコミを入れつつ世話を焼く、聖人君子のような男。楓と淳也のコンビ「スターダスト」は、SSSに入学後半年にして、講師陣の覚えもめでたいコンビとなっていた。

 そんな「スターダスト」を見守りつつライバル視もしているのが、彼らの先輩にあたる2組のコンビだ。

 本格派の漫才でまっすぐにお笑い界のてっぺんを目指す「菊一文字」は、人当たりはやわらかだが中身は鬼畜の町田瀬那(cv.豊永利行)、外見は虎の威圧感でも身内には親身な大野虎之助(cv.石川界人)の凸凹コンビ。「菊一文字」と同期の「6‐シックス‐」は、最新のギミックやトレンドを取り入れたコントが売りのイマドキコンビだ。ウェイ系太鼓持ちの狛江一馬(cv.熊谷健太郎)と、インテリ眼鏡の喜多見蓮(cv.阿座上洋平)のふたりで、客と市場を研究し尽くし“上”を目指す。

 日々ネタを作り、養成所の講師からダメ出しを受け、アルバイトに奔走している3組のコンビだが、あるとき、彼らのもとに大きなチャンスが舞い込んだ。彼らが通う養成所は、定期的にライブを開催しているが、次のライブは、人気お笑い番組『笑いの神様』のオーディションを兼ねるというのだ。『笑いの神様』は、各局の看板番組が揃う時間帯に放送される全国ネットのテレビ番組。その舞台に立つことができれば、ブレイクも夢ではない。3組のコンビは、それぞれの理想と苦悩を抱えつつ、定期ライブに挑むことになるのだが……?

 華やかなステージばかりを見ていると忘れがちだが、ステージが明るければ明るいほどに、舞台袖は暗い。雑然とした舞台袖には、さまざまな障害物がある。才能への嫉妬、世間と自分を引き比べたときの焦燥、無二の相方との衝突。ときにそれらに足を取られ、転んで傷を負い、涙を流し、それでも立ち上がって舞台を目指せる者だけが、明るい場所に出られるのだ。最後に自分が笑うために──いや、隣に立つ相方と、見てくれる誰かを笑わせるために。

 実際のファーストライブは、3組のコンビがネタを演じ、観客の投票によってその後の展開が決まるマルチエンディング方式だったそう。本書には、ライブでは演じられなかった幻のエンディングも収録されている。お笑いに青春を燃やす青年たちの涙と笑いの物語、贔屓のコンビが勝利したときのよろこびを、ぜひ小説で味わってほしい。

文=三田ゆき