京アニの名作に“あの花”や「モノノ怪」…心を打たれること間違いなしの“泣けるアニメ”10選で心のデトックス!

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更新日:2020/7/6

新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛が続く中、ダ・ヴィンチニュースがおすすめする「おうち時間充実!」のための読書・エンタメをお届けします。
《以下の記事は(2020年1月)のリバイバル紹介です》

 外出自粛が続く中、もし次に何を楽しみにしようか…と思っている方がいたら、配信サイトやレンタルショップを利用して名作アニメの一気見に挑戦してみてはいかがでしょう? 号泣必至の“泣けるアニメ”を10作品ピックアップし、見どころをご紹介していきます。

※この作品レビューには該当アニメのネタバレを含みます。

■涙なしには観られない“ひと夏の物語” ―「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」

『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』1巻(泉光:漫画、超平和バスターズ:原作/集英社)

 泣けるアニメを語る上で外せない作品と言えば“あの花”こと「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」。2011年4月から6月にかけてTVアニメが放送されると多くの人を感動の渦に巻き込み、明石家さんまや爆笑問題・太田光など数々の芸能人が作品のファンに。2013年には新規エピソードを加えた劇場版も公開され、大ヒットを記録しました。

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 物語は引きこもり気味の主人公・じんたんの前に、かつて事故で死んだはずの幼なじみ・めんまが現れるところからスタート。自分の願いを叶えてほしいと言うめんまのために、困惑しつつも動き出すじんたん。やがてじんたんは封印していた自分の気持ちと向き合い、離ればなれになっていた仲良し6人組「超平和バスターズ」のメンバーとの絆が甦っていきます。そして彼らの心が通じた瞬間、誰も想像していなかった奇跡が――。

 同作が人の感情を強く揺さぶるのは、取り返しがつかない“過去の失敗”を描いているから。ぽっぽ、あなる、つるこ、ゆきあつ…じんたんをはじめとする超平和バスターズの面々は事故によって心を閉ざし、止まった時間の中を生きています。「あの時こうしておけば良かった」「自分の人生はこんなはずじゃなかった」と後悔したことがある人なら、誰もが少年少女たちの苦悩に胸を締め付けられてしまうはず。

 めんまとの不思議な再会によって、じんたんたちはようやく未来に向けた一歩を踏み出せるようになります。過去と向き合うために必要なものは一体何なのか。そして、人と別れるとはどういうことなのか。“あの花”は涙を誘うだけでなく、前向きに生きるためのヒントを教えてくれるでしょう。

■孤独な少年と妖怪たちの切ない邂逅――「夏目友人帳」

『夏目友人帳』1巻(緑川ゆき/白泉社)

 2008年から放送が始まった「夏目友人帳」シリーズは、緑川ゆきによる同名マンガを原作とした大ヒットアニメ。これまでTVアニメが第6期まで放送されているほか、2018年にはシリーズ初の長編映画『夏目友人帳 ~うつせみに結ぶ~』も公開され、原作ファンから「儚くも素敵なストーリーで、何度も映画館に足を運んでは号泣してしまった」「やっぱり良い物語だなあ。心がほっこりしたり、胸が熱くなったり…何度でも見たくなる」と好評を呼んでいました。

 同作で描かれるのは、人と妖(あやかし)をめぐる物語。主人公の夏目貴志は、人間には認識できないはずの妖を目視できる高校生。夏目はある日、亡き祖母・レイコが生前に様々な妖たちを隷属させ、「友人帳」に名前を書かせていたことを知ります。そこで妖たちに名前を返すため、招き猫の姿をした自称用心棒のニャンコ先生と行動を共にするように。

 夏目とレイコは2人とも、特異な能力をもっているせいで社会に上手く馴染むことができません。そして彼らが出会うのもまた、孤独を抱えた妖ばかり。たとえば全ての原点となった第1期の第1話「猫と友人帳」では、ひしがきという妖を中心としたストーリーが展開。ひしがきは夏目のことをレイコと勘違いして襲い掛かるのですが、終盤ではその行動の意外な真意が明かされます。

 独りぼっちで生きていたひしがきはレイコに名前を奪われて以来、彼女に呼ばれることをずっと待ち続けていました。しかしいつまで待ってもその時は訪れず、寂しさが募った結果、いっそ名前を返してほしいと願うように。そんな悲しいすれ違いを知った夏目は、ひしがきにとある言葉を投げかけます。孤独を誰よりも理解している少年が一体どんな言葉をおくったのか、アニメ本編を見て確かめてみてはいかがでしょうか。

■“想い”がすれ違う海と陸の恋物語―「凪のあすから」

『凪のあすから』1巻(前田理想:漫画、Project-118:原作/アスキー・メディアワークス)

“あの花”の脚本家・岡田麿里がシリーズ構成を手がけた「凪のあすから」は、少年少女たちの恋模様を描いたオリジナルアニメ。美しいビジュアルから誰もがハッピーになれるような“おとぎ話”を想像する人もいるかもしれませんが、その予想は恐らく裏切られることでしょう。何せ作中では「誰かが幸せになると、他の誰かが不幸になる」という残酷きわまりない現実が、これでもかと突きつけられていくからです。

 海の中で暮らす人間と陸上に生きる人間が存在し、少しだけ心の距離に隔たりがある世界。海村出身の先島光は、幼なじみである向井戸まなかや比良平ちさきと一緒に地上の中学校へと通うことになります。光はまなかにほのかな恋心を抱いていたものの、それを直接伝えてはいない状態。しかし光の目の前で、まなかは地上に住む木原紡という少年と運命的な出会いを果たすことに。

 ファンタジーのような設定ながら、主眼に置かれているのはあくまでラブストーリー。光やまなかだけでなく、5人以上の登場人物がそれぞれ別の相手に好意を向け、複雑な人間関係を織りなしていく様は見ごたえ満点。しかし第13話で「おふねひき」という行事の最中にとある出来事が生じ、物語は大きな転機を迎えます。

 もし序盤で興味を持てなかったとしても、2クール目以降の展開はまさに必見。舞台は5年後の世界に移り、かつて同じ時間を過ごしていた仲間たちの気持ちはバラバラに。恋心はさらに錯綜し、涙腺を刺激されるシーンや印象に残る名言が次々と登場します。変わる想いと変わらない想い、叶う恋と叶わない恋。繊細かつリアルな心情描写によって描き出される群像劇は、きっとあなたの心を震わせてくれるはず。

■残酷な運命と戦う魔法少女たち―「魔法少女まどか☆マギカ」

『魔法少女まどか☆マギカ』(ハノカゲ:作画、Magica Quartet:原作/芳文社)

「魔法少女まどか☆マギカ」は2011年に放送された“魔法少女もの”のオリジナルアニメ。『ひだまりスケッチ』の蒼樹うめがキャラクター原案を手がけており、一見すると魔法少女たちのほのぼのとした日常を扱った作品のようですが、実際に描かれているのは“絶望”をめぐる物語。ジェットコースターのような急転直下の展開は、多くの人に衝撃を与えてきました。

 主人公はどこにでもいる普通の中学二年生・鹿目まどか。彼女が通う学校に、ミステリアスな少女・暁美ほむらが転校してくるところから物語はスタート。やがてまどかは世界に魔法少女が存在し、“魔女”たちと熾烈な戦いを繰り広げているという真実を知ることに。しかしその矢先、まどかを導いた魔法少女・巴マミの身に思いもよらない悲劇が降りかかります。

 運命の歯車が動き出したが最後、まどかたちの平穏な日常は二度とは帰ってきません。それでも魔法少女たちは希望を失わず、自分を取り巻く運命に幾度も抗おうとします。同作が感動的なのは、絶望を乗り越えた先にある強い絆や愛情を描いているからでしょう。過酷な戦いの果てに何が待ち受けているのか、ぜひ続編の劇場版「魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語」とあわせてチェックしてみてください。

■驚異的な映像美で紡がれる怪異譚―「モノノ怪」

『モノノ怪-座敷童子-』(蜷川ヤエコ:作画、モノノ怪 製作委員会:原作/徳間書店)

「モノノ怪」はフジテレビ系「ノイタミナ」枠で放送されたオリジナルアニメ。色とりどりの色彩が画面を埋め尽くす斬新なアニメーションは放送当時から大きな話題を呼び、いまだにカルト的な人気を誇っています。

 とくに泣けるエピソードとして評価されているのは、第1話と第2話で描かれた「座敷童子」。ある雨の夜、宿場町の老舗宿を志乃という女が訪れました。何やら事情ありげな彼女は「泊めてもらえないと自分とおなかの子は明くる日にも命を奪われてしまう」と女将に訴え、普段客が入らない部屋に泊まります。しかしその部屋でモノノ怪による怪異が生じる展開に……。

 主人公の薬売りが関係者を問いただすと、かつて宿屋が女郎屋であったことや多くの女郎たちが“開かずの間”で赤子を堕ろしていたことが発覚。薬売りは悲しい過去をもつ赤子の魂と対峙するものの、そこで志乃が驚きの行動を見せます。生まれることができなかった赤子の恨みと母なる愛情のせめぎ合いには、誰もが心を揺さぶられてしまうはず。

■オバケが見える少年の笑いと涙の物語―「花田少年史」

『花田少年史』1巻(一色まこと/講談社)

 2002年から2003年にかけて放送された「花田少年史」は、「第19回講談社漫画賞」を受賞した名作マンガをアニメ化した作品。近所でも有名な悪ガキ・花田一路は、ある日いたずらをしている最中に自動車と衝突。何とか一命をとりとめたものの、事故の影響から苦手だったオバケが見えるように。それ以来、一路は成仏を願うオバケたちにまとわりつかれるようになってしまう――。

 一路がオバケを成仏させるために様々な奮闘や冒険をしていくのが、同作の基本的な展開。まだカラーテレビが普及していない“古き良き時代”を舞台に、人情あふれるストーリーが繰り広げられていきます。とくに感動的なエピソードとして人気が高いのは、時代に翻弄された男女の悲恋を取り上げた第17話「おばけ桜の下で」。また亡くなった父親と息子の交流を描く第21話「雪降る夜に」も、必見と言えるクオリティです。

■感情をもたない少女が愛を知るまで―「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝』(暁佳奈:著、高瀬亜貴子:イラスト/京都アニメーション)

「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」は、人気アニメ制作会社・京都アニメーションが手がけた名作アニメ。TVアニメが2018年に放送された後、2019年9月には劇場版『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 -永遠と自動手記人形-』も公開され大ヒット。さらに2020年中には新作劇場版の公開も予定されています。

 同作で展開されるのは、「自動手記人形」と呼ばれる代筆業に従事する少女・ヴァイオレットを中心とした物語。戦争で生き延びた兄弟への手紙や率直な恋心を綴った手紙、去りゆく者から残される者への最期の手紙など、彼女は代筆業を通して様々な感情に触れていきます。そして“愛”を知らなかった心には、とある変化が生じていくことに。

 様々な人々の気持ちに触れていくストーリーは優しさに満ちていて、心を打たれること間違いなし。ヴァイオレットが見た光景を、重厚な音楽や美しい映像と共に追体験してみてはいかがでしょう。

■落涙必至の“優しい嘘”とは―「四月は君の嘘」

『四月は君の嘘』(新川直司/講談社)

「四月は君の嘘」は累計発行部数500万部を超える大人気マンガを原作としたテレビアニメ。アニメ版はフジテレビ系「ノイタミナ」枠で放送され、「SUGOI JAPAN Award2016」で第1位を獲得するなど高く評価されています。

 主人公は母の死をきっかけにピアノが弾けなくなった元天才少年・有馬公生。色を失っていた彼の人生は、傍若無人ながら個性あふれるヴァイオリニスト・宮園かをりとの出会いによってカラフルに色づきはじめます。公生はかをりに惹かれていくものの、彼女が幼なじみの渡亮太に好意を寄せていると思っているため恋愛の姿勢は遠慮がち。

 その一方でかをりには持病があり、物語が進むにつれて症状が悪化していきます。公生はかをりへの気持ちに正直になれるのか、また過去を克服してピアニストとして復帰できるのか。激動の青春ラブストーリーから、一時たりとも目が離せません。

■独身男と少女をつなぐ“家族の絆”―「うさぎドロップ」

『新装版 うさぎドロップ』1巻(宇仁田ゆみ/祥伝社)

「うさぎドロップ」は宇仁田ゆみによる同名マンガを原作としたテレビアニメ。突然女の子を育てることになった独身男を主人公として、家族の温かさや絆を描いていくハートウォーミングなエンタメ作品です。

 30歳の独身男・河地大吉が祖父の葬儀で出会ったのは、6歳の少女・りん。祖父の隠し子だったというりんに対して親戚たちはよそよそしい態度をとり、責任を押し付け合います。そこで正義感が強い大吉は、彼女を引き取ることを決意。二人三脚の共同生活がスタートしました。

 不器用な生活を通して、一歩一歩成長していく大吉とりん。本当の親子ではなくても、そこにはかけがえのない絆が芽生えていきます。寄り添って生きる2人の家族愛を見守ってみてはいかがでしょうか。

■全員片思いのラブコメディ―「ハチミツとクローバー」

『ハチミツとクローバー』1巻(羽海野チカ/集英社)

「ハチミツとクローバー」は人気漫画家・羽海野チカの作品をもとにした大ヒットアニメ。“全員片思い”という設定で繰り広げられる切ないラブストーリーに熱狂するファンが続出し、その後制作された実写映画やテレビドラマも好評を博しました。

 物語の中心となるのは、おんぼろアパートで暮らす竹本、森田、真山という3人の美大生。ある日、可憐な編入生・はぐみを紹介された竹本と森田は恋に落ちるものの、恋愛は成就しないまま時が流れていくことに。その一方で真山は同級生の山田に想いを寄せられていることを知りながら、交通事故で夫を亡くした理花に好意を抱き続けます。

 作中では2つの三角関係が同時に展開。登場人物たちが恋心や自身の将来と向き合い、思い悩む姿が丁寧に描かれていきます。とくに視聴者の胸を打つのは、コップから水があふれ出すように秘めていた想いが明かされる各々の告白シーン。誰もが傷つくことに臆病で、他人を傷つけたくもないのにその衝動は止めることができない――。恋愛の痛みを知っている人にこそ“刺さる”アニメだと言えるかもしれません。

 以上、この記事では世間の評価も高い10本のアニメをご紹介してきました。無心で作品を楽しみ、涙を流せば普段の生活で溜め込んできたストレスもいっとき忘れられるかも。おうち時間にいかがでしょうか。

文=田中 律