大切な仲間の死 それを知ったとき、エレンは…? 水面下でエレンに協力していた人物も判明/アニメ「『進撃の巨人』The Final Season」第8話

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公開日:2021/2/2

進撃の巨人
©諫山創・講談社/「進撃の巨人」The Final Season製作委員会

 復讐はさらなる復讐を生む。

 眠りからさめたライナーは鎧の巨人になり、進撃の巨人エレンとぶつかり合うが倒れる。しっかりと仲間である顎の巨人ポルコの髭を持ち、ポルコがエレンに食われないように意識しながら。

 エレンは、今はライナーを倒せないと判断し、マーレで戦ったパラディ島壁内の兵士たちは次々に迎えに来た飛行船に乗る。

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 兵長リヴァイは船内で自分たちの仲間を危険にさらし、多くのマーレの民間人を殺したエレンを蹴る。リヴァイはパラディ島壁内の地下街で貧困に喘ぎ人生に絶望し、暴力をふるう人たちに囲まれて育った。彼らの目と、エレンの目が似ていると感じる。無表情なリヴァイだが、エレンの変わりようにショックを受けているのは明らかだ。

 パラディ島勢力の死者は6名だと報告された。敵に与えた被害とは比べものにならないと飛行船後部にいる兵士たちは喜ぶが、エレンの同期であるジャン、コニー、サシャはその輪に加わらない。

「いったいいつまでやりゃあ終わるんだ。あと何人殺せば…」
 ジャンは苦悶の表情を浮かべるが、コニーはジャンとサシャを後ろから抱きしめ、「他の仲間には悪いけどやっぱりお前らは特別だよ」と言う。
 迫りくる悲劇を彼らはまだ知らない。

 地上ではマーレ側の戦士候補生ガビが飛行船に向かって走っていた。追いかけて止めようとするファルコに、死んだ友だちのゾフィアとウド、そして自分を危ない場所から離れさせようとした門兵の話をする。

 ガビは自分たちが被差別民であるからこそ、「良い民族だ」と思われたくて頑張ってきた。それなのにパラディ島勢力はエルディア人収容区を破壊した。また、ガビたちは、パラディ島壁内にいるエルディア人は世界の平和をおびやかす「島の悪魔」と思想教育を受けている。これは現実世界でおきていることとも、似ているのではないだろうか。

 残ったパラディ島勢力の兵士を救うため、飛行船が地上に近づく。銃を持ったガビはすばやくしんがりをつとめて飛行船にぶら下がっていた兵士を撃ち、彼を吊るしていたワイヤーから決死の覚悟で飛行船に乗りこむ。ガビを守りたいファルコも説得が無理だと知るや、死体につかまり一緒に上がる。

 パラディ島勢力の勝利を祝い大騒ぎしていた飛行船の後部。乗りこんだガビは、ためらいなく撃ちサシャに銃弾があたる。同じ夜、サシャは、ガビの目の前で屋上からガビを心配し声をかけた門兵を撃っていた。以前のエピソードの伏線がここで回収される。

 サシャは出血多量で恐らく助からない。ジャンは長年の仲間を失いそうな悲しみに打ちひしがれながらも、サシャを撃った子どもを飛行船の外へ投げようと提案する仲間に同意できない。彼はこの襲撃の残虐性を嘆きながら、首謀者であるエレンに怒りを覚えていた。

 ジャンだけではない。リヴァイも調査兵団団長ハンジも、エレンへの信頼をなくしている。

 ジャンはガビとファルコを飛行船から投げ捨てることはせず、彼らを飛行船前部にいるエレンに会わせた。子どもたちは、そこで思わぬ人物と再会する。

 直後にサシャは死んだ。
 彼女は『進撃の巨人』序盤からのメインキャラクターの一人だった。食いしん坊だが戦闘能力は高く、パラディ島壁内で民間人を巨人から救ったこともある。彼女はこの絶望的な物語に登場しては視聴者の心を和ませる存在でもあった。

 エレンが今回の襲撃を企てなければ、彼女が死ぬことはなかった。その事実にエレンは歯をくいしばる。

 なぜ同じ民族同士で殺し合いをしなければならないのか。今回、民間人が犠牲になったことでパラディ島勢力は正義の兵士ではなくなった。全員黒い軍服に身を包み、本物の悪魔のような姿だったのも印象に残る。
 彼らにそのようなことをさせたエレンの本心は、まだわからない。

文=若林理央