憲兵が飲むワインに含まれていたものは? リヴァイは悲しい決断をし、戦いに臨む/アニメ「『進撃の巨人』The Final Season」第14話

アニメ

公開日:2021/3/21

進撃の巨人
©諫山創・講談社/「進撃の巨人」The Final Season製作委員会

『進撃の巨人』原作は、来月(2021年4月)の『別冊少年マガジン』刊行をもって完結する。今週放送のアニメも転機となる事態が訪れた。

 始まりは、マーレの戦士候補生ガビが、自分を殺そうとしないパラディ島壁内の兵士たちに驚く場面だ。先週の放送では、彼女はサシャを殺した件で同胞であったはずのマーレ人のコック・ニコロに殺されかけたが、サシャの父母に赦され、騒然とするその場から保護するためにアルミンとミカサに別室に連れて行かれていた。

 ガビはパラディ島壁内のエルディア人を、「島にいる悪魔たち」と呼んでいた。パラディ島から海を隔てた国マーレで、そういった思想教育を受けていたからだ。しかし、仲間を殺した自分に対するアルミンやミカサのやさしさに触れて驚愕する。

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 そして、唐突にエレンが入ってくる。

 エレン、アルミン、ミカサが3人で話すのは久しぶりだ。だが彼らはもう仲の良い幼なじみではない。エレンにテーブルに手を置けと命じられ、ガビを含めた三人は従うしかない。

「おれは自由だ」

 エレンはそう切り出した。本作を通して彼が言い続けてきたことだが、その意味合いはマーレ襲撃前と襲撃後では大きく異なる。

 エレンはアルミンがアニのもとへよく行っていることを指摘する。アニメ3期で、「超大型巨人」ベルトルトを食らったアルミン。巨人の力を受け継ぐと記憶も継承される。ベルトルトは、仲間であるアニに淡い恋心を抱いていた。アニのもとへアルミンが通うのはなぜなのか。ベルトルトの記憶がアルミンの脳に影響を与えたからではないかというのだ。

 さらに、ミカサが自分(エレン)に肩入れするのは、自由意志ではなく、幼い頃ミカサの命を助けた自分のことを「宿主」と思い込んだからだと言う。ミカサは特別な力を持つアッカーマン一族だ。物語序盤から、ミカサは突発的な頭痛に悩まされており、その頭痛は本来の自分が、宿主の護衛を強いられるときに発生するものだとエレンは冷たく言い放つ。

 エレンの言葉が真実なのかはわからない。しかし彼の声は、4年前と異なり暗く低く、幼なじみ二人を精神的に追いつめる。3人は決裂した。アルミンは今のエレンこそ、何かにとらわれているようでまったく自由ではないと見抜く。

 そして中盤、先週のエピソードで怪しげな存在だったワインの秘密が判明する。

 森の中、他の兵士たちと共にジークを見張っていたリヴァイ。夜の静かなひと時は、ジークの叫びで破られた。そうとは知らずにジークの骨髄液の入ったワインを飲んだ兵士たちが、ジークが叫んだとたんに巨人化したのだ。

 森だけではない。叫びの声が届かないパラディ島壁内でも、ワインを飲んだ憲兵たちと、瓶で殴られてワインが口に入ってしまったファルコが体に違和感を覚えていた。

 リヴァイは悲しい目で巨人になった部下たちを見つめた後、巨人たちのうなじを斬りつけた。これは部下をそうそう殺せないだろうと考えていたジークにとって想定外の出来事だった。リヴァイは猛烈なスピードで巨人たちを倒し、獣の巨人になったジークと再び対決する。

「おれたちがどれだけ仲間を殺してきたか知らねえだろうに」

 そう叫ぶリヴァイの言葉に迷いはない。彼は、平和のため時にたくさんの仲間を犠牲にしてきたのだ。彼の苦しみと葛藤をジークは知らなかった。

 一方、壁内ではワインを飲んだ人々はまだ巨人化していない。エレンに同調するイェーガー派は、若い訓練兵たちを取り込もうとしていた。というところで14日深夜に発生した地震のニュース速報が入り、エピソードは終わった。

 自由を求めるエレン。彼が行き着く先は、いったいどこなのだろうか。

 中断された第73話『暴悪』は第74話とあわせて本日3月21日にあらためて放送される予定だという。

 ワインだけではなく、島にはマーレ戦士も潜入している。まもなく、大きな出来事が起こることは確かだ。

 文=若林理央