勉強してくれない…成績があがらない…。佐藤ママが親御さんの悩みを解決!『勉強する子になる100の習慣』

暮らし

公開日:2021/10/29

勉強する子になる100の習慣
『勉強する子になる100の習慣』(佐藤亮子/文藝春秋)

 コロナで学校が休みになった昨年、いきなり子どもの「自宅学習」をサポートせねばならずに慌てたご家庭が多かったという。考えてみればあの経験は、「子育てを学校まかせにしない」ことの大切さを、なかば強制的に日本全国の家庭に実感させた時間だったといえるかもしれない。いまでは学校が通常に戻って一安心だが、あれ以来「もっと勉強に前向きにさせるにはどうしたら?」と試行錯誤を続けている親御さんもいることだろう。学校でもなく、塾でもなく、親だからこそできる「寄り添い方」を考えるために、このほど最強の子育てアドバイザーによる一冊が登場した。4人の我が子(息子3人&娘1人)を全員東大理Ⅲに入れた佐藤ママこと佐藤亮子さんの『勉強する子になる100の習慣』(文藝春秋)だ。

 佐藤ママの本といえばこれまで「受験に勝つにはこれをやるべし!」的なタスク型も多く、そのハイパーぶりに「これを全部やるのは無理かも…」と気後れした経験のある方もいるかもしれない。だが本書は「学力」「コミュニケーション」「環境」「生活」の4つのテーマにわけ、全部で100の「親の悩み」に佐藤ママが答えるというもの。中学受験組だけでなく、勉強が苦手な子どもについての質問も多くあり、18年におよぶ子育て期間全般を見据えたアドバイスが多くの人の参考になりそうだ。

「子どもが勉強してくれない」をどうする?

 たとえば質問の一番にあげられているのが、多くの親が悩む「子どもが勉強してくれない」問題。「勉強しなさい!」と言ってばかりの状況を嘆く親も多いが、佐藤ママ曰く「『勉強しなさい』と言われてすぐに勉強する子どもはいません」とバッサリ。ママが怒るのでしぶしぶ机の前に座ったものの実はやっているフリをするばかり…こんな悪循環を変えるには、まず親が「今日1日何をしなければならないか、それを数字で具体的に示す」こと。人は何をやったらいいのか決めていないとすぐに始められないものであり、あらかじめやるべき内容を把握した上で、「今日は漢字10個を覚える」のように具体的なゴールをはっきり決めてあげるといいとのことだ。

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たくさん勉強しているのに成績があがらない…

 勉強はたくさんしている。でもなかなか結果が伴わない…そんな状況にも親は焦りがち。そんなときはたくさん勉強しているように見えて、ただ時間や手間をかけているだけの状態になっていないかに注意したい。勉強は「大人の仕事と同じように、成果を出してこそやった価値があり、褒められるべきこと」であり、親はそれを理解した上で「成績が上がらないと、勉強したことにはならない」と子にも意識づけすべし、と佐藤ママ。点数が取れなかったら「なぜ、間違えたのか」を立ち止まって親子でじっくり考えるクセをつけると、必ず点数は取れるようになるという。

「悪いこと」をした子にどう声をかける?

 学習面以外にも子育てには難問が多く、そのひとつが「叱り方」だ。本書でも「叱り方」に関する複数の質問が取り上げられているが、もしも人から非難されるような「悪いこと」を子どもがしてしまったら親はどうしたらいいのだろう。大事なことは「失敗に寄り添うこと」だと佐藤ママ。本人に過ちを反省させるのはもちろんだが、「世界中の人が責めても、親だけは味方になってくれるということは、人が生きていく時に非常に大事なこと」なのだ。

 以上のように学習面のアドバイスは佐藤ママの面目躍如、さらに学習面以外にもアドバイスしてくれるのが本書の読みどころだ。しかも答えは率直で現実的で(たとえば「娘に友だちが少なくて心配」という悩みは「友だちは少なくても大丈夫。一生の友だちにはほとんどならない」とバッサリ)、学習補助など「親がやれること」には厳しめだが、そのほかはマイペースなのも佐藤ママ流。頼りがいのある「先輩ママ(しかも子育てに大成功!)」として、多くの親のモヤモヤにヒントをくれることだろう。

文=荒井理恵

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