突然襲った胸の痛みにどう対処する? 『名医が答える! 狭心症・心筋梗塞 治療大全』

健康・美容

公開日:2021/11/12

名医が答える! 狭心症・心筋梗塞 治療大全
『名医が答える! 狭心症・心筋梗塞 治療大全』(三田村秀雄:監修/講談社)

 狭心症や心筋梗塞というと、命に関わることもある心臓の病気というイメージはあっても、実際にどんな症状になるのかはよくわからない……。そんな方は多いだろう。また、家族や身近な関係の人が狭心症や心筋梗塞をわずらってしまったけれど、普段の生活のなかで、どう接すればよいのか悩んでいる……。そんな方もいるはずだ。そうした方々に狭心症や心筋梗塞の正しい知識を教えてくれるのが『名医が答える! 狭心症・心筋梗塞 治療大全』(三田村秀雄:監修/講談社)だ。

 監修の三田村秀雄氏は国家公務員共済組合連合会立川病院顧問で、日本の不整脈研究・臨床の第一人者。心臓病一般のなかでも、特に不整脈・心臓電気生理学を専門とするプロ中のプロだ。そんな三田村氏が、どのように狭心症や心筋梗塞のことを教えてくれるのか? ここでは、その一部を紹介していきたい。

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強い胸の痛みを感じたら、たとえそれが治まっても医療機関に

 我々の身体のなかで、脳や内臓は24時間休むことなく働き続けている。なかでも心臓は1分間に60〜80回の収縮と拡張を繰り返して、身体の各器官・部位に血液を送るポンプの役割を果たしており、心筋という強い筋肉でできている。この心筋に血液を送り届けているのが、冠動脈だ。

名医が答える! 狭心症・心筋梗塞 治療大全 p27
イラスト:千田和幸

 この冠動脈が狭くなったり、血栓で詰まったりして血液の流れがとどこおり、心筋が血流不足になり起こるのが、狭心症や心筋梗塞だ。

 例えば狭心症は、冠動脈の血管が狭くなり、心臓の筋肉が血流不足になることで症状が現れる病気。その代表的な症状は、次のとおりだ。

●胸のまん中あたりが痛む
 胸のまん中からやや左側にかけて強く痛みます。胸がギューッと締めつけられるような圧迫感を伴います。

●息切れがする
 呼吸が苦しいだけでなく、吐き気がすることもあります。

●腕や肩にしびれや痛みが出る
 痛みは胸だけとは限りません。人によっては左肩や左腕、あごや奥歯のあたりなどにしびれや痛みが出ることがあります。

 狭心症や心筋梗塞が怖いのは、こうした症状=発作が、ある日突然起きることだ。その痛みは強く、苦しく、発作中は死ぬかもしれないという危機感を抱くほどだという。実際に心筋梗塞で処置が遅れれば、そのまま死にいたることも珍しくなく、心臓疾患は日本人の死亡原因として、がん(悪性新生物)に次ぐ2位の座を長年占めてきているほど。心臓疾患のなかでもっとも多いのが狭心症や心筋梗塞で、突然死の原因としては、心筋梗塞などの心臓疾患がダントツの1位になっているという。

 狭心症の場合、発作はある程度の時間が経つと自然と治まっていくが、だからといって安心してはいけないのはいうまでもないこと。発作の原因となった冠動脈の狭くなった部分を改善しなければ、ふたたび発作を引き起こす可能性があるばかりでなく、場合によっては血管が完全に詰まり心筋梗塞になる恐れもあるからだ。

 強い胸の痛みや圧迫感、締めつけなどの発作と思われる症状が出たら、たとえ自然にそれが治まったとしても医療機関を受診し、治療を受けることが大切。突然我が身に襲いかかった強い痛みや圧迫感への対処法を教えてくれる一例といえるだろう。

狭心症の治療法には、いったい、どんなものがあるの?

 胸の強い痛みや締めつけを感じて医療機関を受診してみたら、狭心症という診断がくだされた。このあと、どんな治療が始まるのか? そんなことも本書は教えてくれている。

 例えば狭心症の治療法には、次の3つがあるという。

●薬物治療
 発作を予防する薬を毎日使い、発作が起こったときは発作を鎮める薬を使います。ただし、薬で狭心症そのものが治るわけではありません。

●カテーテル治療
 狭くなった冠動脈の内腔(血液の通り道)を広げる治療法で、ステントを留置したりプラークを削ったりするなど複数の方法があります。胸を開かずにできるため、手術よりも患者さんの負担が軽いですが、手術と違って再発するおそれが残ります。

●バイパス手術
 詰まった冠動脈を迂回するバイパス血管をつくります。狭心症の根治が望めますが、胸を開く手術なので、負担が最も大きくなります。

 本書でも述べられているように「これらのうち、どの治療法をおこなうかは、狭心症のタイプなどによって医師が検討し、患者さんと相談して決定」されるものだろう。本書は、「治療法は、どのように決まりますか?」「薬以外の治療法が必要になるのはどんなときですか?」など、患者本人や周囲の人々が、狭心症や心筋梗塞の治療法について医師と相談するために必要な知識を解説してくれる。

 全編をとおしてQ&A形式なので、興味のあることから読みやすく、理解しやすい。また、狭心症や心筋梗塞とうまく付き合っていくための「生活習慣の改善と自己管理(第5章)」も解説されており、それは狭心症や心筋梗塞になりにくい生活習慣を知ることにつながる。

 そうした意味で、すでに狭心症や心筋梗塞という診断を受けた方とその家族、身近な方々ばかりでなく、健康診断の各数値が気になる狭心症・心筋梗塞「予備群」の方にも役立つ知識が詰まった1冊だ。

文=井上淳

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