更年期症状はなぜ訪れる? 事前にできる対策はある? 知っておけば安心! 「閉経」と「更年期」のきほん

健康・美容

公開日:2022/1/14

つらくなる前に知っておきたい 閉経のきほん
『つらくなる前に知っておきたい 閉経のきほん』(上田嘉代子/池田書店)

 年齢を重ねていく中で、女性の頭によぎりやすいのが「閉経」や「更年期」というワード。経験者から「更年期は辛かった」と聞くと、不安が膨らんでしまうこともある。

 だが、いつか訪れる“その時”に役立つ知識やできる対処法を事前に得ていたら、自分に起きる心身の変化を落ち着いて受け止められるようになるはず。『つらくなる前に知っておきたい 閉経のきほん』(上田嘉代子/池田書店)は、そんな手助けをしてくれる女性のための実用書だ。

 著者は、神楽坂レディースクリニック院長の上田嘉代子氏。東京女子医大女性生涯健康センター婦人科にて、更年期を迎えた女性の悩みに耳を傾けてきた経験がある。

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 本書では、閉経と更年期の基本をイチから丁寧に解説。閉経前後に見られやすい症状やメンタル不調の解決法、生き方のヒントなどを図やイラストを用いて、分かりやすく紹介している。

なぜ更年期には体に不調が現れるの?

 そもそも、「閉経」とは月経が永久に停止した状態のこと。月経が来ない状態が12カ月続いた時、最後の月経時が閉経年齢とされるのだそう。

 対して、「更年期」とは女性ホルモンの分泌が急激に減り始めてから、ほぼゼロになるまでの期間。閉経前と閉経後の約5年間を足した約10年間を指すという。

 日本人の平均閉経年齢は50.54歳だが、早いと30代後半で閉経する人もいるとのこと。閉経や更年期は、いつ来るか予測できないからこそ、いざという時に冷静に対応できるよう、今のうちから“閉経のリアル”を知っておく必要があるのだ。

 私たちの体には「ホルモン」と呼ばれる、ごく微量の物質が100種類以上存在しており、女性ホルモンも、そのひとつだという。

 ホルモンは体の色々な器官で作られ、体のいたるところで細胞に働きかける。体温を保ち、生殖に関わり、成長を促し、免疫システムなどをコントロールしながら私たちの心身を守っているため、「生命のメッセンジャー」とも呼ばれている。

 女性ホルモンは卵巣が脳の視床下部から指令を受け、排卵を起こすことで分泌されるそう。

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 ところが、卵巣が老化すると脳からの通常の指令に応えられなくなるのだとか。

 すると、脳は排卵を起こさせるため、強く指令を出す。著者によれば、その時に卵巣機能がまだ働いていると、卵巣は無理をし、時に多量のホルモンを作り出すため、ホルモンの分泌が過多になってしまう。

 そうなると、脳の視床下部に負担がかかり、自律神経の働きが不安定に。なぜなら、女性ホルモンを出すように指令する視床下部には自律神経をコントロールする働きもあるからだ。

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 これが、体のあらゆる機能に不調が現れる理由なのだ。

 更年期、体に変化が現れるのにはちゃんとしたワケがある。そう知ることは、自分を労わる第一歩になる。

更年期症状を緩和するには心を軽視しないことも大事!

 更年期には体だけでなく、精神的な不調を訴える女性も多い。

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 閉経前後に、こうした症状が引き起こされるのにも理由がある。

 本書によると、卵巣が老化し、女性ホルモンが減り、脳の視床下部や下垂体の機能が落ちていくと、自律神経や内分泌(ホルモン関係)だけでなく免疫系も影響を受け、そこに心的ストレスが加わると、精神的な症状が起きると考えられているのだそう。

 こうした不調を緩和するには、睡眠をしっかりとったり、自分に合ったストレス解消法を見つけたりし、心を軽視しない生活を送ることが大切だ。

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 また、「閉経を迎えると女性としての魅力が落ちてしまうのでは…」と不安に思う人に対して、女性らしさは異性によって裏付けられるものではないとアドバイス。肌質や髪質、体型が変わったとしても、今の自分に心地いいケアに変えていくなどし、女性性を自分で感じ、楽しんでいこうと訴えかけている。

つらくなる前に知っておきたい 閉経のきほん P80

つらくなる前に知っておきたい 閉経のきほん P81

 なお、本書にはメンタルの不調だけでなく、めまいや動悸など、現れやすい更年期症状とその対処法も掲載。

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つらくなる前に知っておきたい 閉経のきほん P91

 病院で相談したい4つの更年期障害治療法や閉経前後に注意したい病気、そしてひとりで悩みやすい閉経後のパートナーシップなどについても教えてくれている。

 いつまでも自分らしくイキイキと生きていくためにも自宅に1冊、備えてみてほしい。

文=古川諭香

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