【2月22日は猫の日!】もしも“あの童話”に猫が登場したら…? 誰もが知っている物語をオマージュした「ねこむかしばなし」

マンガ

更新日:2022/2/22

にゃんと! ねこむかしばなし
『にゃんと! ねこむかしばなし』(ぱんだにあ/KADOKAWA)

 猫は自由奔放で、自分の意志を貫く生き物。だからこそ、時として私たち人間は予測できない猫の行動に振り回され、なぜか幸せを感じる。そんな不思議な魅力を秘めた動物が、誰もが知っている童話の中にもし登場したとしたら、どんなオチが待ち受けているのだろうか。

『にゃんと! ねこむかしばなし』(KADOKAWA)は、そんな斬新なアイデアから生み出された、猫4コマ漫画。本作を手掛けたのは、ぱんだにあ氏だ。ぱんだにあ氏はこれまでに、人間たちをモフモフ魅了し、堕落させていく秘密の猫組織を描いた『悪の秘密結社ネコ』(イースト・プレス)や、ねこのようなようかいのような、不思議な生き物の魅力に触れられる『ねこようかい』(竹書房)など、常に不思議な世界観で読者を楽しませてきた。

 本作は、『ねこむかしばなし』(KADOKAWA)の続編。前作では桃太郎やシンデレラ、一休さんなど日本人になじみのある童話が多く取り上げられていたが、今回はピノキオやジキルとハイド、アーサー王伝説など世界的に有名な物語も多数収録されている。

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にゃんと! ねこむかしばなし p.84

にゃんと! ねこむかしばなし p.100

 よりパワーアップした、癒し系漫画となっている。

ふてぶてしくて愛くるしい猫たちが童話の世界に参戦!

 本作に登場する猫たちはかわいらしいだけでなく、どこかふてぶてしい。だが、そのふてぶてしさこそが、猫好きの心を掴む。

 例えば「白雪姫なねこ」には、魔女を翻弄する猫の姿が。魔女がリンゴの代わりにフードを差し出すも、猫(白雪姫)は食べることを拒否。そんな姿を見た魔女は猫を気づかい、気持ちを知ろうと奮闘するのだった。

にゃんと! ねこむかしばなし p.14

 世の猫好きは、この魔女に自分の姿を重ね合わせ、気ままな愛猫との日常に愛しさを募らせてしまうはずだ。

 また、「浦島太郎とねこ その1」には現金な猫の姿が描かれている。浦島太郎といえば、カメの背中に乗って竜宮城に行くというストーリー展開だが、同作の場合、背中に乗るのは猫のほう。浦島太郎は背中におぶった猫が指示する通りに歩き、竜宮城を目指すのだ。

にゃんと! ねこむかしばなし p.29

 こんな風に、収録作には共に暮らす中で感じ取れる猫のちゃっかりとした一面や無邪気さがコミカルに表現されており、この独特な世界観に惹きつけられてしまう。

 なお、数ある童話の中でも個人的に特に印象に残ったのは、「舌切り雀とねこ」の結末。大きなつづらと小さなつづらのどちらが良いかと尋ねられた猫は、小さなほうを選択。オチで分かる、その理由に思わず笑みがこぼれてしまった。

にゃんと! ねこむかしばなし p.63

 キラキラ光る本物のお宝を床に放り出し、体がぴったり入るジャストサイズの箱を得たことに幸せを感じる猫。この物語は猫という動物の習性と、いつも人間の予想をはるかに超えた行動を見せてくれる猫のコミカルさが上手く盛り込まれているように感じられ、ユニークだった。

 自分の意志を曲げず、人に媚びもせず、マイペースにふてぶてしく生きる猫。だからこそ、彼らは愛らしい。そう再確認できるねこむかしばなしは、疲れた日のナイトタイムにもおすすめの1冊だ。

文=古川諭香

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