人生で大切なことは全てインターネットが教えてくれた。笑いと祈りのコミックエッセイ『福田ナオのわくわくインターネット生活』

コミックエッセイ

公開日:2022/5/28

『楽しいことしか起きない!福田ナオのわくわくインターネット生活』(福田ナオ/KADOKAWA)

 承認欲求の満たし方、気の合う友だちの見つけ方、逃げ込める場所のつくり方。人生で大切なことはすべてインターネットから教わった――。

 5月26日(木)に発売した『楽しいことしか起きない! 福田ナオのわくわくインターネット生活』(福田ナオ:著/KADOKAWA)は、インターネットを愛する福田ナオさんの幸せオタク生活を描くコミックエッセイ。ほぼ毎日(!)新作マンガが投稿されるツイッターアカウント「福田ナオ絵」から、選りすぐりの回が収録されている。

 福田ナオさんがインターネットの門を初めてくぐったのは2003年。当時は懐かしのダイヤルアップ通信。ピ~ッ…ガ~…ベボンベボン(?)といった不思議な接続音と共に、電話料金を気にしながらネットの海に潜った時代だ。

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お母さん、ありがとう!

 母の恩情によってADSL回線(懐かしい…)を得た福田さんは、「ニコ動」や「ボカロ」など、平成インターネット文化にどっぷりと浸かりながら、ネット民らしい感性をすくすく身につけ、人生を楽しむすべを備えた大人へと成長する。

お母さん、ごめんなさい!

 事実、インターネットでは「楽しいことしか起きない」わけはない。かつて現実から逃げ込める場所であり得たインターネットは、今やそれこそが現実の生活を脅かすことが少なくない。殺伐としたニュースも耳に入る。しかし福田ナオはなぜか、「楽しいことしか起きない!」と言い切る。

 その理由は、長尺の描き下ろし【「福田ナオ」ができるまで】で明らかになる。

自分を救ってくれた場所が良い場所でありますように。

 かつてインターネットは、現実世界に居場所がない人間にとって、つかのま逃げ込める場所であり得た。今だって、そんな場所を必要とする人は少なくないはずだ。

 そんなインターネットが少しでも、良い場所であってほしい。なぜならば福田さんにとって、インターネットは救いであり、居場所だったから。

 エピローグとして置かれた【「福田ナオ」ができるまで】を読むと、タイトルである「楽しいことしか起きない!」に込められた、切なる祈りが聞えるはずだ。

 本書ではインターネットを基軸としつつ、そこから得られるオタク生活や絵師生活の悦びも描かれ、とにかく多幸感に満ちている。

期アニメを観るまでは死ねない。

 ツイッター、ニコ動、漫画、アニメ、ゲーム、ボカロ、即売会……。あらゆるコンテンツから喜びを吸い上げる達人による、人生を楽しむライフハック満載のコミックエッセイである。

ツイッター:福田ナオ @fukku7010gmail1

文:タヌタヌ