自分の実力をキープするだけでは、どんどん「古い人」になっていく/たるんだ心に一喝!! 一条ゆかりの金言集①

文芸・カルチャー

更新日:2022/7/21

『有閑倶楽部』『デザイナー』『砂の城』『プライド』など、数々の名作を生み出してきた、少女漫画界のレジェンド、一条ゆかりさん。人によく相談事をされるという一条さんが、いくつになっても迷える女性たち、ひいては人類に授ける金言集『不倫、それは峠の茶屋に似ている たるんだ心に一喝!! 一条ゆかりの金言集』(集英社)が誕生! “刺さりまくる”と巷で話題沸騰中の金言の中から、本連載では厳選した6つの言葉をひとつずつご紹介します!

自分の実力をキープするだけでは、どんどん「古い人」になっていく。時代の流れと同じだけ進まなければ 「変わらないね」「いつも同じね」と言われてしまう

 これは私が19歳の時に思ったことです。漫画家が集まるパーティに行った時、大先輩の漫画家さんがこう愚痴るのを聞いたんですね。「前はあんなにチヤホヤしてくれたのに、ちょっと人気がなくなったからって編集部の人はひどい!」「私はずっと同じように努力しているのに!!」と。

 それを聞いて、「同じ努力だけだからよ」と思ってしまいました。あなたが同じだけ努力していたとしても、時代はどんどん進んでいるのだから、その分、取り残されてしまうのだと。

 とくに人気商売はそうです。時代によって女性の生き方も変わるし、人間の暮らしも進化しますから、同じ努力をキープするだけでは、ただの「変わらない人」になってしまいます。今回1の努力をしたら、次回は2の努力とか、違う努力とかもしないと、「進歩のない人」「古い人」になってしまうんですね。

 たとえば漫画家の場合、ありがちなのは、ひとつウケたら、同じことをするというパターン。スポーツものがウケたから、また次もスポーツで…と、自分で自分の二番煎じ、三番煎じをやる。編集部もそのほうが計算できるし、安全だから、やらせたがる。でも、それでは作品はどんどん古びていきます。

 私自身は、この仕事をやるにあたって、自分の性格で良かったと思うことがいくつかあって、そのひとつが「飽きっぽい」ということ。二番煎じはおろか、今やっている連載に、もう飽きてくる(笑)。

「プライド」も途中で飽きて、主人公を海外に行かせたりしました(笑)。そうすると、「外国のコンセントはどうなってるんだ?」なんて調べものが増えるから飽きないわけです。

 つねに自分を飽きさせない工夫をする必要があったおかげで、つねに新しいものを取り入れて、前へと進むことができたと思っています。

<第2回に続く>

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