100人の島で100人が生み出す食料・モノ・サービス。バランスよく分けるシステムって?/東大生が日本を100人の島に例えたら面白いほど経済がわかった!

暮らし

公開日:2022/10/26

⑤政府と公務員を作ろう

とはいえ、島の100人が
「国というシステムを作りました」
と宣言をしても、それだけでは足りません。

システムを機能させるためには、
「国を今後どのようにしていくか?」
を考えて、話し合って、決める場所が必要です。

そこで100人の住民は、
そういう場所として「政府」というものを作りました。

そして選挙によって、農家、職人、サービス業などからそれぞれ代表者を選びます。

選ばれた代表者たちは「政府」の中で、
「国のルール」に従って、
「国を今後どのようにしていくか?」を考え、話し合って、
決めることになりました。

◎実際の日本では、選挙で選ばれた代表者たちが「国会議員」として、国会で話し合いをして、日本の今後を決めています。
◎100人の島では、政府(国会・内閣)を一つにまとめていますが、現実の日本では、国会が立法を担当し、内閣が行政を担当しています。

これでもまだ足りません。
「住民のルールはこうします。国は来月からこういうことをします」
と言うだけでは、何も起きないからです。

「ルールを破った住民を捕まえる」「島で使うお金を作る」「政府が決めたことを実行する」「国で管理する仕事をする」
などをする人も必要です。

そこで50人のサービス業のうち、20人がシステムのために働く「公務員」になりました。

公務員はルールを破った住民を逮捕したり、
お金を印刷したり、国が決めた仕事をしたり、
国というシステムを「機能」させたりするために働きます。

東大生が日本を100人の島に例えたら面白いほど経済がわかった!

こうして公務員になった20人は、
紙に「エン」とハンコを押して、国のオリジナル通貨「エン」を印刷し、住民ひとりにつき1万エンずつ配りました。
これで「エン」が島に出回ります。

通貨「エン」が出回ることによって、
農家のパンダは食料を売って得たエンで、
職人のブタは作ったモノを売って得たエンで、
サービス業のウサギはサービスを提供して得たエンで、
公務員のゴリラはシステムがスムーズに動くように働いて得たエンで、それぞれ食料やモノやサービスを買うことができます。

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通貨「エン」は「モノとサービスの分配」と「役割分担」についてなんでも解決してくれるわけではないので、
島全体のゴミ拾い、火事を消す、いつか役に立つかもしれない新しい技術の研究など「島のみんなにとって大切だけど、なかなかお金にはなりにくい仕事」は、放っておくと誰もやらなくなってしまうので、公務員がやります。

また、水道・ガス・電気など、「お金にはなるけど、悪い人・ずるい人が担当すると島のみんなが困ってしまうために、国で管理した方が良い仕事」も、公務員がやります。

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このように、政府と公務員を作ったおかげで、システムが機能するようになり、いちいち
「誰がやるか?」
「どう分配するか?」
を話し合わなくて済むようになりました。

これですべてが解決されるように見えます。
しかしまだ大きな問題が残されています。

実はこのままだと、「エン」は誰にもお金として使われないのです。

いきなり「エン」と書いてある紙切れを渡されて、
「この紙切れには価値があります」
と言われても、(紙切れに価値なんてないだろう)と思われてしまいます。

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ただ紙に「1万エン」と美しく印刷するだけでは、お金にならないのです。

では一体どうすれば、
住民のみんなが「エン」に「価値がある」と感じて、
お金として使ってくれるようになるのでしょうか?

つづきはチャプター2でご説明します。

<第4回に続く>

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