多くの人たちの合意は「空気」や「情緒」による同調圧力でできている!?/本当の頭のよさを磨く脳の使い方

暮らし

更新日:2022/12/7

◉「確かな知性」に裏打ちされて、同調社会から逸脱する

 ひるがえっていま、あなたは物事を正しく判断できますか?

 

 直感としては正しい、感覚的には間違っていると思える、でも根拠はないから、とりあえず反対の意見を言う相手のことを攻める、叩く、批判する──。そういうことが、いまの日本社会では増えていないでしょうか?

 もちろん、さまざまな物事に対して「これでいいのだろうか」「日本は大丈夫だろうか」と疑問に感じている方も多いはずです。そういうみなさんが本書を手に取ってくださるのでしょう。

 しかし、「これで大丈夫か」と悩んでいる方も、どうすればよいか、答えは見つかっていないのではないでしょうか。

 目の前の問題を解決するべく、現状を打破し、困った日本社会に染まらず、自分で物事を正しく判断する知性を持つ──そのためによい方法があるとすれば「物事を正しく判断できている人を真似る」ことだと思います。

 

 脳には「ミラーニューロン」という神経細胞があります。

 ミラーニューロンは、自分が行動するときと、別の人が行動するのを見ているときの両方で活動する神経細胞です。つまり、別の誰かの行動を見て、自分が同じ行動をとっているかのような、鏡に映したような同じ反応をすることから名づけられました。

 

 ミラーニューロンがあるおかげで、僕たちは目の前の人の次の動作をスムーズに予測できます。

 たとえば、目の前にいる人が居酒屋でビール瓶を持ち上げたら自分に注いでくれるんだなと思ってグラスを差し出す。これはミラーニューロンが相手の行動を自分がしているかのように感じさせてくれるから、「自分だったら相手のグラスに先にビールを注ぐだろう」と予測できるわけです。

本当の頭のよさを磨く脳の使い方

 このミラーニューロンは、学習の場面でも働きます。

 よく、「学ぶは真似ぶ」なんて言います。これがまさしくミラーニューロン効果で、うまい人を見ているうちに自分も上達するんですね。

 赤ちゃんは親やまわりの兄弟姉妹のやることを見ながら、立ったり、歩いたり、しゃべったりして上達していきます。上に兄や姉がいる子は発達が早い(場合が多い)というのも、ミラーニューロンのなせるわざです。

 ですから、本当の知性を磨こうと思ったら、「本当に頭がいい人」を真似ることです。

 

 では、どんな人が本当に知性的な人でしょうか?

 僕は、これからの時代を生き抜く本当に頭がいい人、知性が高い人というのは、たとえば、ひろゆき(西村博之)さんだったり、落合陽一さんだったり、ホリエモン(堀江貴文さん)だったり、といった人たちだと思うのです。

 彼らに共通しているのは、「日本的なもの」に屈してこなかったということです。

 「日本的なもの」とは、たとえば「空気」や「情緒」による同調圧力だとか、暗記型の教育だとか、日本的な男性優位社会で上に立つための体育会系のマッチョイズムだとか。そういうものと彼らは基本的に無縁です。

 

 たとえば落合陽一さんは、最初はジャーナリストの落合信彦さんの息子さんで大学の先生のような触れ込みでメディアに登場しました。そこだけ切り取ると典型的な二世タレントなのですが、長髪でコム・デ・ギャルソンの黒ずくめの服なんか着ていて、ひな壇に座っていてもその場の空気を読まずに独自の見解をとうとうと話し、道端でレトルトカレーをストローで吸ったりする。尋常ではありません。

 ではキワモノ・イロモノ的ポジションの人なのかと思うとそれも違っていて、学者としてもメディア・アーティストとしても国際的に評価されている。

 全く独特で、日本においては型破りで独創的です。こういった人が持っているのが、いまの時代、日本人に求められている「本当の頭のよさ」だと僕は考えます。

 

 「本当の頭のよさ」があれば、フォローしている誰かの言葉を鵜呑みにするのではなく、なんとなく雰囲気に流されるのではなく、自分の考えに基づいて「これは正しい」「これは間違っている」などの判断ができるようになります。

 ただし、それは単に論理的ということではありません。いわば、直感に従いながらも論理的でもある、直感と論理の両面から正しい答えを導き出せるということです。

 

 たとえば、世界を見渡せばペイパルの創業者でシリコンバレーのドンともいわれるピーター・ティール、スペースXのイーロン・マスク、メタ(フェイスブック)のマーク・ザッカーバーグなどの異能の世界的起業家たちは、みんなそうして、直感と理論の両面から正しい判断をしてきたはずです。

 

 詳細は第1章で説明しますが、彼らのような「本当に頭がいい人」が持っている力をさらに因数分解すると、次の4つだと僕は考えます。

 

 ①問題を正しくとらえて解決する「情緒に流されない力」
 ②アップデートされ続ける正解にたどり着く「地図を読み換える力」
 ③理性に偏りすぎずに革新的な挑戦をする「アニマルスピリッツ」
 ④目に見えるものにとらわれない「妄想する力」

 

 これらは決して生まれながらの「才能」ではありません。この4つの力をうまく発揮する脳の使い方を学ぶ=上手に脳を使っている人たちを真似ることができれば、みなさんも4つの力を身につけられます。

 そして本書では、「本当の頭のよさ」を磨くための試験問題を用意しました。

 いわば、知性を磨く思考実験「モギシケン」です。

 本書の試験を解いてみることで、「自分に足りないもの」がわかります。

 英語のテストを受ければ「あ、私は読解はできるけれどリスニングはできてないな」とわかる、数学のテストを受ければ「比例はわかっているけれど反比例でつまずいているな」とわかる。これらと同じように、「本当の知性がある人」としての足りない部分がわかります。

 

 これらの知性について、あなたはどの能力が高いのか、もしくはほかの能力に比べて低いのかが自分で把握できる方法、それがモギシケンです。

 試験問題でおおよその得意不得意を把握しつつ、今後、ご自分がどのように、何を学んでいけばよいのか、ヒントにしてください。

<第2回に続く>

『本当の頭のよさを磨く脳の使い方』をAmazonで読む >

あわせて読みたい