6月のふくものは「蛙」。「無事帰る」や「苦境を変える」など、さまざまな字を当てて幸せを招く/ふくもの暦

暮らし

公開日:2023/4/3

 ごく当たり前に行っている年中行事の一つ一つに、深い意味があります。先人たちは、毎日を縁起よく暮らすために、知恵と工夫をこらし、祈りと願いを重ねてきました。

縁起のいいモノ、コトを知って開運招福 ふくもの暦』で紹介されている「ふくもの」とは、福なモノやコト、縁起物のこと。4月は、長寿を招く「初物」、6月は災厄を祓い福を招く「嘉祥菓子」など、その月ならではの「ふくもの」を紹介しています。幸せを授けてくれる「ふくもの」を、暮らしに取り入れる参考にしてはいかがでしょうか。

「蛙」は、「無事帰る」「失せ物が返る」「苦境を変える」と、さまざまな字を当てて、幸せを招く言葉になります。

※本作品は書籍『縁起のいいモノ、コトを知って開運招福 ふくもの暦』(本間美加子/マイクロフィッシュ)から一部抜粋・編集しました

【30日間無料】Amazonの読み放題をチェック >


縁起のいいモノ、コトを知って開運招福 ふくもの暦
『縁起のいいモノ、コトを知って開運招福 ふくもの暦』(本間美加子/マイクロフィッシュ)

縁起のいいモノ、コトを知って開運招福 ふくもの暦

縁起のいいモノ、コトを知って開運招福 ふくもの暦

 

武家屋敷を守った火消し蛙

 語呂合わせやダジャレが大好きな私たち日本人は、「蛙」にもさまざまな字を当て幸せを招いてきました。大切な人が旅から「無事帰る」ように願う懐中守りが各地で受け継がれています。これまで使ってきた「金が返る」という切なる願いには、財布用のお守りが寄り添います。ほかにも「若返る」「失せ物が返る」「苦境を変える」といった幅広い願いが蛙に託されてきました。

 実際に人助けをした蛙もいます。さかのぼること約200年前、江戸の麻布古川で火災が起き、付近一帯が焼けてしまいました。しかし、ある武士の屋敷だけが類焼を免れ無事に残っていたのです。火消し役を担ったのは大きな蛙。屋敷近くにあったガマ池の蛙が水を吹きかけ、猛火を退けたのです。すると噂を聞きつけた人々が屋敷に詰めかけ、この蛙のご利益を分けてくれるよう頼みました。そこで武士は屋敷の近隣の神社を通して、「上の字様」と呼ばれるお札を授けることにしました。戦中戦後の変遷を経て、この神社は十番稲荷神社となり、東京都港区麻布十番に鎮座しています。現在も授与されている「上の字様」のお守りは、火災除けや火傷除けのご利益があるそうです。

縁起のいいモノ、コトを知って開運招福 ふくもの暦

 

純白の白無垢は清浄の象徴

 西洋では、女性と結婚の守護神であるジュノーが6月をつかさどるとされ、6月に結婚する花嫁は幸せになると信じられてきました。いわゆる「ジューンブライド(June bride =6月の花嫁)」です。日本に目を転じてみれば、6月は梅雨真っ盛り。結婚式場では閑古鳥が鳴いていました。この状況を変えようと、ジューンブライドを知ったホテルマンが宣伝文句にしたのだそうです。時は昭和40年代。50年の時を経て、すっかり日本にも定着しました。

 ジューンブライドと共にキリスト教式の結婚式が広まった一方で、日本古来の神様の前で愛を誓う神前結婚式も根強い人気があります。神前結婚式の花嫁衣装は、白無垢が一般的です。平安時代の十二単に代わり、室町時代に花嫁の正装として定められました。その後、江戸時代に広く着られるようになった色打掛、明治時代から昭和初期にかけて主流となった黒引き振袖など、花嫁の衣装は時代に合わせて変化していきます。再び白無垢が脚光を浴びるようになったのは、貸衣装が主流となった戦後のことでした。清浄を意味する純白の白無垢こそが、神様の前に進む着物にふさわしいと考えられたのです。

本作品をAmazonで読む >

あわせて読みたい