グリム童話『ブレーメンの音楽隊』あらすじ紹介。再雇用希望、崖っぷち楽隊のなりゆき悪党退治!

文芸・カルチャー

公開日:2023/6/30

 読み聞かせ・絵本でおなじみの『ブレーメンの音楽隊』ですが、作中の動物たちが目指していたブレーメンにたどり着けたかどうか、覚えているでしょうか? そこで今回はグリム童話『ブレーメンの音楽隊』のあらすじをわかりやすく解説します。原典も気軽に読める長さなので、ぜひ原作にも一度触れてみてくださいね。

ブレーメンの音楽隊

『ブレーメンの音楽隊』の作品解説

『ブレーメンの音楽隊』は、19世紀のドイツでグリム兄弟によって執筆された『グリム童話集』の中の一作品です。ブレーメン市は作者ゆかりのメルヘン街道の終端に位置する街で、市庁舎には泥棒を脅かす動物たちのブロンズ像がシンボルとして建立されています。

『ブレーメンの音楽隊』の主な登場人物

ロバ:年老いたロバ。粉運びの仕事ができなくなったため、楽隊に入ろうと考える。

犬:年老いた猟犬。狩りで役に立たなくなり処分されかけ、慌てて脱走する。

猫:年老いた猫。鼠狩りが億劫になり、溺死させられかけたため脱走する。

雄鶏:翌日スープにされるという話を聞いてしまい、屋根の上で声の限り鳴いていた。

泥棒:悪党の一味。動物たちにやり込められる。

『ブレーメンの音楽隊』のあらすじ​​

 あるところに年老いたロバがおりました。年をとり、これまでのように働けなくなったロバを見て、手放そうかと考える飼い主を見て、ロバは逃げ出します。ロバはブレーメンという街を目指し、楽隊に雇ってもらおうと考えたのでした。

 道中で会った老犬・老猫・雄鶏も主人に見限られ、似たような境遇でした。ロバは共に楽隊に加わるよう勧め、一行は連れ立ってブレーメンへ。

 しかしブレーメンは遠く、一日ではたどり着けません。森の中で夜を明かそうとした時、雄鶏が人家の灯りを見つけます。そこでは泥棒たちが豪勢な食事の真っ最中でした。

 追っ払おうと相談した一行は、下からロバ・犬・猫・雄鶏の順に肩車をして、一斉に鳴きながら窓を突き破ります。怪物と勘違いした泥棒たちは仰天し、頭を抱えて逃走。作戦は大成功で、一行はご馳走をたらふく詰め込んだのでした。

 真夜中になって、各々が快適な寝床を探してぐっすり眠り込んでいるところ、これではメンツが立たないと、泥棒の手下が家の中に忍び込みます。

 まずは灯りを、と台所へ向かいましたが、炭火と間違えて光る猫の目にマッチを突っ込もうとしたため、顔面をやたらめったら引っかかれてしまいます。たまらず裏口から逃げ出そうとした手下は、戸口で犬にすねを咬まれ、庭でロバに蹴飛ばされ、屋根からは雄鶏に怒鳴られ、すっかり怯えきって親分の下へ。

 泥棒たちは、二度とこの家に戻ろうとはしませんでした。動物たちはこの家を気に入り、ブレーメンには行かず、ずっと暮らしたのでした。

『ブレーメンの音楽隊』の教訓・感想​​

 老いて必要とされなくなった動物たちでも、協力すれば悪者に勝てるという教訓が込められた本作。最終的にブレーメンに行かないっていうお気楽さも見習いたいものです。

<第8回に続く>

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