『ジャックと豆の木』あらすじ紹介。盗んだ鶏やハープで大金持ちに!? 魔法の豆が織りなすスリリングな民話

文芸・カルチャー

公開日:2023/7/20

ジャックと豆の木』という民話をご存じの方も多いのではないでしょうか。これはイギリスに古くから伝わる民話で、日本においてもさまざまな翻訳者が訳し、多くの人々に親しまれています。

 今回は、楠山正雄が訳した『ジャックと豆の木』について、作品の解説と登場人物、あらすじをご紹介します。

ジャックと豆の木

『ジャックと豆の木』の作品解説

『ジャックと豆の木』は、イギリスに古くから伝わる民話です。起源は北欧神話に由来するとされており、世界各地に似たような民話が存在します。イギリスの『ジャックと豆の木』は、1890年に民話学者のジョセフ・ジェイコブスが再話したものが広く知られています。

 日本語には多くの翻訳者が訳していますが、今回は童話作家の楠山正雄が翻訳し、1950年に『妖女のおくりもの イギリス・フランス童話集』に収録されたものをご紹介します。

『ジャックと豆の木』の主な登場人物

ジャック:本作の主人公。怠け者ののんきな少年。

お母さん:ジャックの母親。貧しい暮らしをしている。

不思議な老人:牝牛と引き換えにジャックに不思議な豆を渡した。

人食い巨人:空の上のお屋敷に住んでいる、人を食べてしまう恐ろしい男。

『ジャックと豆の木』のあらすじ​​

 ロンドンから遠く離れた田舎に、ジャックという少年と母親が2人で暮らしていました。ジャックはのんきな性格で、怠け者だけど優しい少年でした。

 貧しく暮らすジャックと母親は、ミルクの出なくなった牛を売ることにし、母親はジャックに、牝牛を市場まで売ってきてほしいと頼みます。ジャックが牝牛を連れて市場まで歩いていると、向こうから不思議な老人がやってきました。

 彼は奇妙な形をした綺麗な豆を持っていました。ジャックがそれを欲しがると、親方は「これは不思議な魔法の豆だ」といい、牛と交換することを条件にジャックに魔法の豆を渡します。

 帰宅したジャックは魔法の豆を手に入れたことを母親に伝えると、ひどく怒られて豆を窓の外へ投げ捨てられてしまいました。すると、あくる朝、豆は巨大な木になっていました。

 ジャックが豆の木を登ると、雲の上にある人食い巨人の大きな屋敷にたどり着きました。屋敷の中で金の卵を産む雌鶏を見つけたジャックは、巨人に見つかりそうになりながらも、雌鶏を盗み、豆の木を下りて逃げることに成功します。

 味をしめたジャックは再び豆の木を登り、巨人の屋敷に潜入。今度はひとりでに音楽をかなでる魔法のハープを盗もうとするも、ハープがしゃべりだし巨人が目を覚ましてしまいます。捕まったら食べられてしまう。急いで地上に下り、ジャックは豆の木を斧で切り倒します。そして、豆の木を伝って追いかけてきた巨人は、落ちて死んでしまいました。

 その後、金の卵を産む牝鶏や魔法のハープを使って、ジャックと母親はしあわせに暮らしたそうです。

『ジャックと豆の木』の教訓・感想​​

 盗んだもので幸せになるとは、少し後味が悪いと思う人もいるかもしれません。結末が、ジャックが改心するエピソードに変わっている本もあるようです。

<第15回に続く>

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