『古事記』あらすじ紹介。刺激的な神々による日本誕生の物語をダイジェストで紹介!

文芸・カルチャー

公開日:2023/11/25

古事記』は、我が国の最も古い書物として知られ、歴史の教科書で名前を知る人も多いかもしれません。アマテラス、スサノオ、ヤマトタケル…、と聞いたことはあるけれど、内容はよく分からないという人が多いのではないでしょうか。本稿では、『古事記』のあらすじを簡潔にご紹介いたします。

古事記

『古事記』の作品解説

『古事記』とは、712年に完成した日本最古の書物と言われる歴史書で、単に歴史的な史実が記されているのではなく、神話や伝説を織り交ぜながら国の成り立ちと天皇の事績がまとめられています。『古事記』序文には、稗田阿礼(ひえだのあれ)が暗誦したものを太安万侶(おおのやすまろ)が文章に起こして元明天皇に納めたとあり、天皇の命により編纂された書物であることが分かります。

 全3巻で構成され、上巻は天地開闢(てんちかいびゃく・天と地が分かれてできた世界の始まり)からの神々の物語、中巻・下巻は初代・神武天皇から第33代・推古天皇までの系譜と伝説があり、同時代の歴史書として並べられる『日本書紀』に比べると、ドラマティックなエピソードが多く収録されていて、物語としても楽しめるものになっています。

『古事記』の主な登場人物

イザナミ:イザナキと結婚した。

イザナキ:イザナミと結婚した。アマテラス、スサノオを生み出した。

ニニギ:アマテラスの意向で地上に降臨した。

ヤマトタケル:景行天皇の子で、東西征伐を行った。

『古事記』のあらすじ​​

 天と地が分かれ、高天の原(たかまのはら・天上界)に神々が現れた。この中の男神・イザナキと女神・イザナミは結婚して、淡路島、四国、隠岐島、九州といった島々を産み、最後に本州を産んだ。その後、様々な神を産んだが、最後に出産した火の神によって身を焼かれ、黄泉の国(よみのくに・死者の国)に行ってしまった。イザナミを追いかけて黄泉の国の入り口にやってきたイザナキは、「決して黄泉の国にいる妻の姿を見ない」という約束をして、妻が戻る許可が下りるのを待つ。しかし、待ちきれずに禁忌を犯し覗き見てしまうと、そこには変わり果てた妻の姿があった。怒ったイザナミは、イザナキを責めて追い返し、「国の民を一日千人殺す」と言い、対してイザナキは「それでは一日千五百の産屋を建てよう」と言って対抗した。イザナミは黄泉の国、イザナキは地上に戻り、二神は永遠に離別した。

 黄泉の国から戻ったイザナキが穢れを清めた時に生まれたのが、天上の神・アマテラスと、弟のスサノオである。スサノオは、イザナキから海を治めるように命じられるが、母・イザナミが恋しくて泣きわめいた。母のいる黄泉の国へ行くと聞かないスサノオに激怒したイザナキは、スサノオから神の身分をはく奪した。姉のアマテラスにこれを説明するために高天の原に向かったスサノオは、乱暴な振る舞いをして困らせ、恐れたアマテラスは天の岩屋戸に隠れてしまう。天上の神が隠れたことにより地上界も暗闇に包まれ多くの災いが起こった。アマテラスを天の岩屋戸から引き出すための策として、芸能の女神・アメノウズメが舞うことになった。乳房や陰部を露わにした踊りに、周りで見ていた神々は大笑いし、それにつられてアマテラスが現れ、天地に太陽が戻った。スサノオは天上界から地上界へと追われたが、その後怪物・ヤマタノオロチ退治の活躍をし、草薙の剣を得て、出雲の国に宮殿を建設した。

 スサノオは、娘の婿であるオオクニヌシに地上界の統治を任せたが、これは天上界の神意を反映したものでなかったため、アマテラスは使者を送り地上界を譲るよう迫った。何とか国譲りを認めさせ、天上界からアマテラスの孫にあたるニニギが降りた。この天孫降臨によって地上界も天神による統治が始まった。

 その後、ニニギは笠沙の岬で出会った娘に結婚を申し込んだ。娘の父は、ニニギの永遠の命を願って姉のイワナガヒメを、子孫繁栄を願って妹のコノハナサクヤビメを差し出したが、ニニギは美しいコノハナサクヤビメを妻とし、イワナガヒメを父のもとに戻した。これが影響し、天皇の命は永遠ではなくなった。

 初代神武天皇から時代は下り、景行天皇の御代になった。息子・オウスの凶暴な行いに恐れを抱き、朝廷から遠ざけるために西方征伐を命じた。まだ十五、六歳の少年だったが、持ち前の豪胆さを活かし武勲を立て、以降ヤマトタケルと名乗り、東方へと軍を進めた。

 その後も、天皇の物語は続き、『古事記』では推古天皇の治世までが語られている。

<第96回に続く>

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