グラビアアイドルは被害者じゃない!/伊織もえエッセイ連載「巨乳グラビアアイドルのはなし、聞いてく?」

文芸・カルチャー

更新日:2024/2/2

 

グラビアというプロフェッショナル

 今はグラビア自体があまり売れないと言われる時代です。こんなことを言うと怒られるかもなのですが、私は昔からグラビアが好きで見てるので、明らかに「みんなで沖縄だー!」「グアムだハワイだー!!」なんてグラビアがバンバン表紙になっていた頃と違うなって最近のグラビアを見てて思います(笑)。東京近辺でコンパクトに撮影をしたものが多いです。だからという訳では無いのですが、グラビアアイドルで食べていくことが難しくなりつつある時代になったように思います。

 だからこそ、グラビア動画のコメント欄にネガティブな意見を書き込んできた人たちは、女の子を助けたいのか、叩くことでグラビアアイドルという職業を失くしたいのか、どっちなんだろうな、ってとても疑問に思いました。

 今回の漫画誌さんは、すごくプロフェッショナルに溢れる現場で、本人たちも気持ちよくやれるように環境を整えていると思いますし、コメントにあったような強制や搾取には当たらないと思っています。今の芸能事務所は「一度、グラビアをやってみようか」となったあとに「嫌だったらやらなくていいよ」とフォローするはずです。嫌がることを強制させたら、すぐSNSで漏れますからね。そういうリスキーなことは、事務所側も到底やりたくないはずなんです。

伊織もえ

 今はいくらでもYouTubeで水着グラビアの撮影現場を見ることができて、職業的にもすごくオープンになっている。どんな仕事でどんなことをやるのかなんてネットにいくらでも転がっていて、彼女たちの中に「グラビアがこんな仕事だったなんて知らなかった」とショックを受けるような知識のギャップはないと思っています。だから、今回の動画に出演していた子たちと同世代の方が、この動画をどんな風に感じたかはぜひ聞いてみたいなって思いましたね。

 よく調べてみると、今回の撮影に参加している子たちはオーディションを何回も勝ち抜いてきた子たちです。自分の意志で出演を希望していたはず。そこに対して「こんなことさせられてかわいそう」って言葉をぶつけるのは彼女たちの意志を尊重していないんじゃ無いかなと思いました。

 そういう意見には「あなたの価値観を押し付けることは、他の人の価値観を認めないことになりませんか?」って思うんです。それを言ったところで水掛け論にはなるんですけれど。でも、そう考える人たちにとっては「名前が売れるとか注目を浴びられる」っていう餌をまいて、無理やり水着の仕事をやらせているんだろうって映っているのかもしれませんね。

伊織もえ

グラビアの仕事=被害者なのか

 こういう話になると「女性は脱ぐのが当たり前という社会が悪い」という群体として見た意見が必ず出てきます。「自ら選んで水着仕事をやっているって言っても、それは社会にいる男性がそういう仕事を作ったからであって、あなたはそもそも被害者なんじゃないんですか?」って問われたら何も言えないよな、って。こういう質問にはその方なりの正解が既にあると思うので、それに合わない意見は取り合ってもらえないような気もします。

 私自身、誰かに脱がされたこともないし、自分の意志で今のお仕事をしています。個人的な意見を書かせてもらうと、仮に男性と女性に分けて勝ち負けの話をするなら、お仕事で女性が男性からお金をもらうことは、女性としての勝利じゃないのかなって思っています。

 この世界が男性が作り上げた社会なのであれば、女から女にお金が渡るより、男から女にお金が渡った方が女性全体は潤いますよね。男性は好きなものに喜んでお金を出して、それで女性側が裕福になる。そういう流れを経て、女性が自立していくんじゃないでしょうか。それが水着仕事であっても、女性が全体として裕福になるんだったら女性の勝利とは考えられませんか?

 もしも世間が叩いてグラビアアイドルという職業がなくなった場合、そこに従事していた女の子はお金もお仕事も失ってしまう。そうしたら次はどうなるかっていうと、男の人と結婚して扶養に入るという考えも出てきちゃうかもしない。それは結局、男性上位の社会をつくることに繋がりますよね。将来はもっと女性に優しい社会になっているかもしれない。でも現時点では私のような考え方もあっていいんじゃないかと思うんです。

 私のファンの方ならご理解いただけるとは思いますが、決して男性側をこらしめてやろうと思ってお仕事をしているわけではないので、どうか誤解しないでくださいね。

 そもそも今の世の中男性だ女性だってスパっと分けられる社会なんかじゃないですし、今の時代を生きるみんなは10代だろうと60代70代だろうと、どんな形でもちゃんと自分の足で生きていくと思います。

伊織もえ

<第3回に続く>

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