「怪・真夜中にチャイムが鳴る!?」学校新聞のトップ記事を見て、自閉症のアルクが一言/歩く。凸凹探偵チーム①

マンガ

公開日:2024/3/1

歩く。凸凹探偵チーム』(佐々木志穂美:作、よん:絵/KADOKAWA)第1回【全4回】

自閉症の凸凹も、ひとつの個性――。小学6年生の理人と、いとこのアルクは毎日いっしょ。自閉症のアルクには色々なこだわりがあって、気をつけてないと辛くなるときもある。でもその代わり、アルクには理人が気づけない「ほんの少しのチガイ」が分かるのだ。ある日、理人はクラスメイトのオヅから【真夜中の学校に鳴るチャイムの怪異】のナゾ解きを持ちかけられた。アルクがポソリとつぶやいたヒントから真実はすぐに見えたけれど、でもこれってどういうことだ…? ぼくらみんなが探偵だ。みんなの個性をつなげて、大きな真実を見つけよう! 全員主役のニュータイプ・ミステリー『歩く。凸凹探偵チーム』をお楽しみください。

歩く。 凸凹探偵チーム
『歩く。 凸凹探偵チーム 』
(佐々木 志穂美(著), よん(イラスト)/KADOKAWA)

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1 怪奇!? 真夜中に鳴るチャイム事件

「おはよーございます!!!」

 今日も7時ジャスト。

 アルクが、ぼくんちの玄関のドアを開けた。

 ………………朝から元気よすぎ……。

「理人くん、おはよーございます!!!」

「ふが」

 リビングに入ってきて、そのままソファーに座るアルクを横目に、ぼくは、どうにかひと口目のトーストを飲みこんだ。

「おはよう、アルくん。理人はつい3分前に起きてきたばかりよ。朝が弱いにもほどがあるわ」

 母さんはためいきをつきながら、慣れた手つきでアルクに新聞をわたした。

 

「理人も、あいさつくらいしなさい」

「ふぁい……おはよ、アルク」

 アルクは、母さんの弟の、1人息子だ。

 つまり、ぼくのいとこ。

 マンションの、となりの部屋に住んでいる。

 ぼくと同じ、6年生。

「歩」という漢字で、「アルク」と読む名前をつけたのは、アルクのお母さんだ。

 そのお母さんは、アルクが小学生になる前に、死んでしまった。

 だから、アルクは、ぼくんちですごすことが多い。

 夕飯も、ぼくんちで食べる。

 だけど、夜は決まった時間に自分ちにもどる。

 アルクの父さんが出張で家にいないときでも、1人で、自分ちで眠る。

 朝ごはんは、自分ちで食べ、それから、ぴったり7時になると「おはよーございます!!!」とぼくんちにやってくる。

 それが、アルクの「ルール」だ。

 

 毎日、規則正しい一日をおくることが、アルクは好きだ。

 アルクがやってくる朝7時は、まだぼくは、もうろうとしている。

 でも、高学年って、そんなもんじゃないの。

 遅寝&遅起き。

 ぼくを待つあいだ、アルクは新聞を読む。

 アルクは国語が苦手で、小説はぜんぜん読まない。

 けど、新聞は好きらしい。

 ぼくが朝ごはんをたいらげるあいだに、新聞のすみからすみまで、キッチリ目を通すのが日課なんだ。

 

 そんなアルクを喜ばせることが、この朝あった。

 アルクといっしょに家を出たぼくが、太陽のまぶしさに、めまいすら感じながら、どうにかたどり着いた学校の門のところで。

 同じクラスの小月守、通称オヅが、なにか紙を配っていたんだ。

 

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