なぜ人気?主人公が人外のライトノベル 『犬とハサミは使いよう』ほか ―ブンガク!【第11回】―

公開日:2013/9/19

 中高生を中心に大人気の「ライトノベル」(通称ラノベ)。最近ではテレビアニメ化などの影響でファン層も拡大しています。そこで、ラノベって言葉は知ってても読んだことがない、という初心者向けに“超”入門コラムをお届け!代表的な作品の紹介や、楽しみ方について、作家や絵師など関係者への取材も織り交ぜながら、ラノベ風の会話劇でお送りします。毎月第1・3火曜に更新予定!

制作協力:代々木アニメーション学院 / 文=カンダ ユウヤ 絵=ましま


【前回までのおさらい】
○【第1回】ブンガク部が廃部ってどういうこと?
○【第2回】帰国子女でラノベ好きな美少女あらわる!
○【第3回】ブンガク部の救世主?顧問をさがせ
○【第4回】ラノベ好きな先生からの挑戦状
○【第5回】『東京レイヴンズ』作者・あざの耕平さんに聞いてみた
○【第6回】ラノベって女の子でも読めるの?
○【第7回】中二病でトラブルメーカーってなんなの?
○【第8回】教えて!大人でも楽しめるキャラクター小説
○【第9回】ラブコメはラノベの王道!?
○【第10回】スピンアウト・スピンオフってどういう意味?

~ブンガク部 昼休み~

中島優斗(困)
「……ああ、昨日は大変だった」

今川凜子(普)
「確か、ずっと新入部員の石田君と話し込んでいたんだっけ、大変だったね」

中島優斗(困)
「うん、そうなんだ。途中、今川さんが来てくれなかったら、話を切り上げるタイミングを逃していたよ」

今川凜子(笑)
「あはは、いいよ。別に……」

中島優斗(笑)
「まあ、部員もあと一人いれば部もまとまるし、頑張らなくちゃね」

今川凜子(普)
「うん、頑張ろう!」

佐藤唯(普)
「……そうですね、あと一人ですものね~」

中島優斗(普)
「あれ、唯ちゃん!?」

佐藤唯(笑)
「どうも~、先輩方!」

中島優斗(困)
「てか、いつからいたの!?」

佐藤唯(笑)
「さっきからいましたよ。気づきませんでしたか?」

中島優斗(困)
「……え?」

今川凜子(笑)
「あ、唯ちゃん!」

佐藤唯(笑)
「こんにちは、今川先輩!」

中島優斗(普)
「え、二人とも……知り合い?」

今川凜子(普)
「あ、うん。部活に入った頃から、仲良いよ」

佐藤唯(笑)
「この頃は先輩といつも楽しくお話しさせていただいてます!」

中島優斗(笑)
「そうなんだ。まあ、女の子同士でなら話しやすそうだしね」

佐藤唯(笑)
「はい、おかげでガールズ・トークが絶えません」

今川凜子(笑)
「あはは、そう、言われるとなんだか照れちゃうからやめてよ」

今川凜子(笑) 佐藤唯(笑)
「あはは……」

中島優斗(笑)
「ああ、なんだか仲良きことは美しきかなって感じかな(てか、また僕、空気化してない?)」

佐藤唯(普)
「で、突然ですが、中島先輩。最後の一人には心当たりはあるんですか?」

中島優斗(困)
「あ、実は……そのことについてなんだけど、まだ誰も候補がいなくてさ。あはは……」

佐藤唯(普)
「まあ、そんなことだと思いましたけど……」

中島優斗(困)
「あ、え、そのなんとういか……まことに申し訳ありません」

佐藤唯(普)
「まあ、いいですけど……」

今川凜子(笑)
「ドンマイ、ドンマイ! ……でも唯ちゃん今日はどうしたの?」

佐藤唯(笑)
「あ、実はこの前、新しく読んだラノベの話をしたくて来ました!」

中島優斗(普)
「新しく読んだラノベ?」

佐藤唯(笑)
「あ、中島先輩も読みます?」

中島優斗(笑)
「あ、いいの? ありがとね」

今川凜子(普)
「で、何のラノベなの?」

中島優斗(普)
「三冊もあるね?」

佐藤唯(普)
「そーですね、“人”以外の主人公のお話を集めてみました」

中島優斗(普)
「……と言うと例えばなどんなの?」

佐藤唯(普)
「そうですね~、例えるなら、犬とか、狐とか……あと死神とかですね」

中島優斗(困)
「……死神!?」

今川凜子(普)
「ふ~ん、“人”以外の主人公? なんだか面白そう!」

中島優斗(困)
「……いや、順番がおかしいよね!? 犬、狐と来て最後、死神だしさ!」

佐藤唯(笑)
「大丈夫ですよ、読んでみれば結構面白いですよ。では、まず最初の一冊はこれ、『犬とハサミは使いよう』です!」

今川凜子(普)
「あ、ワンちゃんだ。かわいい!」

中島優斗(困)
「ハサミ、なんだこれ? まあ、どんな話なの?」

佐藤唯(普)
「このお話はですね~、強盗に殺された本好きな主人公が、奇跡的に生還したらミニチュアダックスフント(※1)になっていたという内容です!」

Fate/Apocrypha

「ミニチュアダックスフント」(※1)
『犬とハサミは使いよう』(更伊俊介/エンターブレイン)

ある日突然、強盗に殺された春海和人は、「死んだら本読めないじゃん!!」という本バカの執念で奇跡的に現世に生還を果たす。しかし、その姿はミニチュアダックスフントと化していた。犬じゃ本はめくれない買えないので苦悶する和人の前に現れたのは、常時ハサミを得物として持ち歩くキョウキの美女・夏野霧姫。その正体は和人が大ファンな作家・秋山忍だった――。 第12回エンターブレインえんため大賞小説部門優秀賞を受賞、2013年1月にテレビアニメ化された。

中島優斗(困)
「うわ、なんと言う超展開!?」

佐藤唯(笑)
「それから、いつもハサミを持ち歩くヒロインに拾われ、こきに使われながら、彼らを取り巻く癖のある人々の様々な日常を描くお話でもありますね!」

今川凜子(笑)
「ハサミか、何に使うんだろうね?」

佐藤唯(笑)
「まあ、そこはご想像にお任せします!」

中島優斗(普)
「犬になってしまった主人公か、この先どうなるのやら」

佐藤唯(笑)
「そうですね、でも犬になってしまったからわかる、主人公の気持ちとかも面白いですよ」

中島優斗(笑)
「そうだね、そう思うと僕たちの知らない世界が広がっているのかもしれないね」

佐藤唯(笑)
「はい、ではでは、お次はこれ、『我が家のお稲荷さま。』ですね」

中島優斗(普)
「これは、どんな話なの?」

佐藤唯(笑)
「これはですね、妙な因縁から高上家を護る事となった現代に生きる狐の物の怪、天狐空幻ことクーちゃん(※2)が高上家の兄弟とそれを取り巻く者たちの騒動を描くお話です!」

Fate/Apocrypha

「クーちゃん」(※2)
我が家のお稲荷さま。』(柴村仁/アスキー・メディアワークス)

その昔、あらゆる術を操る賢しい狐「空幻」という大霊狐が三槌家の守り神に祀りあげられていた。だが、空幻は同時に悪戯好きであったため裏山の祠に封印されてしまう。そして現在―妙な因縁から命を狙われた三槌家の末裔・高上透を護るため、ついに空幻が祠から解封された…のだが、その物腰は畏怖された伝説とは裏腹に軽薄そのもの。イマドキの少年である透からは『クーちゃん』と呼ばれる程で――。 第10回電撃ゲーム小説大賞金賞を受賞、2008年4月にテレビアニメ化された。

今川凜子(笑)
「お狐様が守ってくれるなんてまるで守り神みたいだね」

佐藤唯(笑)
「そうなんです、クーちゃんは守り神なんですよ。あとクーちゃんは狐なので人間にも化けられます。そして可愛い美少女にもイケメンな美少年にもなれて一粒で二度おいしい、それがクーちゃんなんです。まさにイッツ・ミラクルです!」

今川凜子(笑)
「へえ~、それは面白そう。今度読ませてね、唯ちゃん!」

佐藤唯(笑)
「はい、先輩! では最後の一冊に行きましょうか……」

中島優斗(困)
「確か死神のやつだっけ? あわわ、なんだか急にホラーな感じに……」

佐藤唯(笑)
「大丈夫ですよ、先輩! 死神は死神でも優しくて可愛らしい死神ですから!」

中島優斗(困)
「優しくて、死神?」

佐藤唯(笑)
「これは私のお気に入り『しにがみのバラッド。』です。このお話はモモと呼ばれる真っ白な姿に身を包んだ“変わり者”な死神と使い魔のダニエル(※3)のお話です」

Fate/Apocrypha

「ダニエル」(※3)
『しにがみのバラッド。』(セガワケイスケ/アスキー・メディアワークス)

目を覚ますと、少女は死神でした。彼女の使命は人間の命を運ぶこと――。 真っ白な死神の少女・モモは、死神でありながら、その容姿や人の死に涙する優しさゆえに仲間から「変わり者」と呼ばれていた。死を司る少女は様々な人と出会い、別れ、彼女は仕え魔の黒猫・ダニエルと共に、人の魂を奪いにいくのだが――。 1話毎に主人公の違う短編集の形式を取った作品で、2006年3月にテレビアニメ化、翌2007年1月にはテレビドラマ化された。

中島優斗(普)
「そのモモはどこが変わり者なの?」

佐藤唯(普)
「それはいろんな事に首を突っ込む、お節介な子であることと、死神なのに人の死に涙を流したり、哀しんだり、言葉を交わしたり、たまには人を助けてしまったりするんです」

今川凜子(普)
「死神としては確かに変わり者だけど、本当に優しい子なんだね」

中島優斗(笑)
「うん、そういわれてみると考え方によっては死神というよりは本当は天使みたいな子なんだろうね」

佐藤唯(笑)
「そうですか、お二人にそういっていただけてよかったです!」

中島優斗(笑)
「ありがとうね、唯ちゃん。おかげで読みたい本がまたできたよ」

今川凜子(笑)
「そうだね。私もお礼言わなくちゃ、ありがとう、唯ちゃん」

佐藤唯(笑)
「うふふ、そういわれるとなんだか照れますね。今度またお気に入りの本を持ってきますね」

中島優斗(笑) 今川凜子(笑)
「うん」

キ~ン♪ コ~ン♪ カ~ン♪ コ~ン♪

中島優斗(普)
「あ、予鈴だ。もう昼休みも終わりだね。話はまた放課後にしよううか」

今川凜子(普)
「うん、そうだね。じゃあ、また放課後にね」

佐藤唯(笑)
「それじゃあ、私もまた放課後に」

中島優斗(笑)
「うん、またね。……さて、そろそろ僕も教室に戻ろうかな」

……つづく

次回予告

佐藤唯(笑)
「こんにちは佐藤唯です!」

今川凜子(普)
「同じく、こんにちは今川凜子です!」

佐藤唯(笑)
「今回はブンガク部、女子組がお送りします!」

今川凜子(普)
「今日も楽しいお話をありがとうね、唯ちゃん」

佐藤唯(笑)
「いいえ、私のほうこそありがとうございました」

今川凜子(普)
「うん、またお話しようね」

今川凜子(笑) 佐藤唯(笑)
「では、次回の『ブンガク!』もお楽しみに!」

中島優斗(困)
「……ああ、また出遅れた~!」