マリッジブルーで下痢が止まらない!? 昭和初期の女の婚活を描いた谷崎潤一郎『細雪』

文芸・カルチャー

2018/7/18

『細雪 (上) (新潮文庫)』(谷崎潤一郎/新潮社)

 蒔岡家は大阪の名家だが、衰退しつつあった。四姉妹の中でいちばん美人である三女の雪子には多くの縁談があったが、家の誇りのためにそれらを断ってきたため、雪子は30歳を過ぎても未婚である。四女の妙子が奥畑という男と駆け落ちをし、新聞社の間違いで雪子の名前が新聞に載ることに。ふたりはすぐに見つかり、連れ戻されて仲は解消されたようだったが、それにより雪子の縁談の数はさらに減ってしまう。

 長女の夫が仕事で東京に行くことになり、雪子も一緒に上京することになった。一方妙子は人形作りで才能を発揮し、大阪に留まる。その後妙子は洋裁と舞にも打ち込むようになり、板倉というカメラマンと出会う。大水害の時に板倉が妙子を救出し、妙子は彼に好意を抱くようになる。妙子は洋服店を開くための資金援助を依頼するため東京に行くが、板倉が病気になりすぐに大阪に呼び戻される。そして板倉は亡くなる。

 雪子のもとには名古屋の名家の息子との縁談が舞い込む。しかし見合いはうまく行かず、相手側から断られる形となった。蒔岡家は初めて先方から縁談を断られた。

 そんな中、大阪に留まっていた妙子が、以前駆け落ちをした奥畑と復縁した。二女の鶴子は妙子に東京に来るように伝えるが、奔放な妙子はこれを聞かず、絶縁されてしまう。

 その後、妙子は赤痢になり、奥畑の家で看病されていた。妙子は回復したが、彼女が絶縁以来奥畑の金銭で生活していたことと、同時に三好というバーテンダーとも関係があることが発覚する。幸子と雪子は、妙子が奥畑と結婚するべきだと説得するが、妙子は拒否し、泣きながら家を出る。

 また雪子のもとには、維新で活躍した華族の子息の、御牧という45歳の男との縁談が舞い込む。また同時期に、妙子が三好の子を宿し、妊娠4カ月だということが発覚する。蒔岡家の名を守るため、奥畑へは妙子に使った金銭が返還され、妙子の行いを内密にするよう示談が交わされる。結局妙子は死産したが、三好と結婚する。

 最終的に雪子は御牧との縁談を受け入れる。婚礼や新居の話がまとまっても、雪子は不満げな様子だった。結婚のために上京する数日前から雪子は下痢が止まらなくなり、東京に向かう汽車の中でもずっと続いている。

文=K(稲)