曲がったことが許せない人情物語――夏目漱石『坊っちゃん』

文芸・カルチャー

2018/9/3

『坊っちゃん (新潮文庫)』(夏目漱石/新潮社)

 親譲りの無鉄砲で子供の頃から乱暴ばかりしている少年「坊っちゃん」は、両親と兄から疎まれていた。母親が亡くなったとき、お母さんが死んだのはお前のせいだと兄から責められる。しかし下女の清だけは、彼の曲がったことを許さない性格を気に入り可愛がってくれていた。

 父親と死別後、坊っちゃんは譲り受けた財産で東京の物理学校に入学する。卒業後、彼は四国の旧制中学校に数学の教師として赴任しないかと提案され、二つ返事でこれを引き受けた。見送りに来た清と別れ、四国の学校に着いた彼は、校長の狸や教頭の赤シャツ、英語教師のうらなり、美術教師の野だいこ、数学主任の山嵐らと出会う。東京育ちの坊っちゃんは、四国の田舎の風土やそこで出会う人々が気に入らなかった。

 坊っちゃんは天ぷらそばを4杯頼んだことなどを生徒たちから冷やかされ、宿直室に大量のイナゴを入れられるという嫌がらせを受ける。生徒たちの処分を求めるが、いやみな態度をとる教頭の「赤シャツ」や同僚の「野だいこ」らは彼に責任を転嫁しようとした。しかしこれに、盟友である「山嵐」が筋を通すために異議を唱える。

 その後坊っちゃんは、「赤シャツ」が英語教師の「うらなり」の婚約者を奪った上、うらなりを邪魔に思って左遷したことを知る。坊っちゃんと山嵐はこの件に対する怒りで意気投合するが、赤シャツの陰謀で山嵐が辞職に追い込まれてしまう。理不尽極まりない赤シャツの不祥事を暴くため、ふたりは監視を始める。そしてついに、芸者遊びから帰ってきた赤シャツと野だいこを発見し取り押さえる。問い詰めてもしらを切る彼らをふたりは殴り、天誅を加えた。

 その勢いで辞職した坊っちゃんは東京へ戻り、鉄道会社の技手となった。清を下女として雇い、彼女が死ぬまで一緒に暮らした。

文=K(稲)