酸っぱさだけではない、酢の意外な効用とは? 【科学の豆知識で料理はもっと美味しくなる!】連載第3回

食・料理

2019/2/18

『料理の科学 加工・加熱・調味・保存のメカニズム』(齋藤勝裕/SBクリエイティブ)

 料理が得意で毎日難なくこなしているという人もいれば、面倒に思いながらいやいや台所に立っている人、あるいは、もはや苦痛の元である料理は一切したくないという人もいるだろう。

 ちょっと気分を変えて、どんなレベルの人にも役に立つ、そして確実に料理の腕が上がるような「豆知識・雑学」を紹介したい。『料理の科学 加工・加熱・調味・保存のメカニズム』(齋藤勝裕/SBクリエイティブ)は、「美味しいと感じる味覚のメカニズム」から、「アク取りや下味の上手な方法」まで、知っておけばすぐ活かせるような料理に関する知識が満載の1冊だ。いつもの料理をもっと美味しく、そしてラクして効率的なものにする知識を、本書から得ていこう。

■酢の意外な効用とは? (本書124ページ、175ページ)

 人は冷蔵庫や密封技術がない時代から食品を保存してきた。伝統的な保存法のひとつが調味料を使ったものだ。なかでも、酢には腐敗防止や殺菌の作用がある。この効果を利用したのが、酢漬けやピクルス。食あたりを防ぐために弁当に梅干しを入れることがあるが、これは梅干しに含まれるクエン酸の殺菌作用によるものだ。「ご飯×梅干し」は、ただ美味しいだけでなく機能的にもすぐれた食べ合わせなのだ。

 一方、酢のもつ化学的な作用を利用して、料理後の片付けをぐっと楽にすることもできる。ゴボウやレンコンのようにアクの強い野菜で黒ずんでしまった鍋は、およそ2倍に薄めた酢水を入れて15分ほど煮沸すると綺麗になる。また、魚を煮た鍋にこびりついてしまった生臭さは、100倍に希釈した酢水を10分焚くだけで取ることもできる。

 食酢には、米酢(米)、黒酢(米)、穀物酢(各種穀物)、ワインビネガー(ブドウ)、バルサミコ酢(ブドウ)、リンゴ酢(リンゴ)などに代表されるように、さまざまな原料による種類がある。炭酸水や牛乳などで割ってドリンクとして愛飲する人も増えているようだ。人との付き合いの長い“酢”を見直して、日常生活に活かしたいものだ。

 このように本書では、料理をしたり食事をしたりする日常がもっと楽しくなるような知恵が、多数詰め込まれている。「理系科目は苦手…」という人も、身近な題材であればすんなり頭に入ってくるだろう。ぜひ本書を手に取って、今日の食卓を「アタマ」でも味わってみてほしい。

文=田坂文