「さっき済ませたのに!」緊張するとおしっこに行きたくなる理由/【下半身にまつわるちょっと残念な雑学】③

健康・美容

2019/7/17

『医者も驚いた! ざんねんな人体のしくみ』(工藤孝文/青春出版社)

“小宇宙”にたとえられる人間の身体は、神秘的だ。自分の身体のことなのに分からないことだらけだと感じる人も多いだろう。ただでさえ分からないのに、特に悩みや疑問について人に聞きづらいというのが、「下半身」にまつわる問題。本連載では、内科医でもある著者が綴った『医者も驚いた! ざんねんな人体のしくみ』(工藤孝文/青春出版社)から、知ると誰かに教えてあげたくなるような隠れた人体の秘密を紹介していきたい。

■緊張するとおしっこが溜まりやすくなるのはホルモンのせい(本書23ページ)

「さっき念のために済ませたはずなのに…」
重要な試験や面接、上役同席の大切な仕事の“直前”になると急におしっこに行きたくなるという人は多い。回数が多くなると「頻尿」と呼ばれる症状だ。

 頻尿には、膀胱や尿道周囲、排尿に関係した神経系など、身体的に原因がある器質性のものと、心因性のものがあり、実は実際に圧倒的に多いのが「心因性」の頻尿だそうだ。たいして尿が溜まっていないのに「今行かないと心配…!」という不安から行かずにいられないケースや、緊張の影響で膀胱が過敏になっているケースなどもある。たいしておしっこが溜まっているはずがないのに、どうして身体はこんな(私たちにとって迷惑な)反応を示すのだろうか?

 この作用には、緊張によるホルモンバランスの乱れが深く関与している。緊張すると脳の下垂体にも影響がおよび、おしっこと関係する「バソプレシン」というホルモンの分泌が抑制される。このバソプレシンは利尿作用を抑えるはたらきをもっているので、バソプレシンが分泌されないと利尿作用が促進されてしまい、いつもより早く膀胱がおしっこでいっぱいになる、というわけだ。

 たかが緊張ごときで内臓まで反応するなんて、と思う人もいるかもしれないが、人体のさまざまなパーツや機能が複雑にネットワーク化されている残念だがおもしろい一例だろう。

 本書では、このように私たちが日常生活で見過ごしてきた自分の身体の「ちょっと残念な真実」について、頭や顔から足のつま先にいたるまで、非常に幅広い範囲にわたる知識を分かりやすく教えてくれる。自分のために毎日24時間はたらいてくれている「自分の身体の“がんばり”」を実感するには格好の1冊だ。

文=田坂文