淑女たちよ、下ネタは男のもののみに非ず… /『生き恥ダイアリー』①

エンタメ

2019/9/21

生き恥ダイアリー

著:
出版社:
日本文芸社
発売日:
『生き恥ダイアリー』(カレー沢薫/日本文芸社)

語るは恥だが役に立つ! 淑女たちよ、下ネタは男のもののみに非ず…。
奇抜だけれども知っていればいつか役立つ(かもしれない)、カレー沢薫の珠玉のコラムが開幕!

 以前、友人が合コンで即マンかましたと自慢してきたのですが、何回かヤってる内に好きになってしまい告白したところ、「会ったその日にヤる男とはつきあえない」とフラレたそうです。「お前も同じだろ!!!」と、もの凄い剣幕でキレてました。女心は本当に複雑です。

 いつもの週刊漫画ゴラクの担当からのメールである。

 そのころネットでは、初デートでサイゼリヤに連れて行く男はありかなしかで大いに盛り上がっていたわけだが、スケールの違いを見せつけられる話である。

 婚活女と女慣れしてない男が、初デートで何を食うの食わないのと揉もめている間に、ゴラク界隈では本人同士が食うか食われるかのやりとりをしているわけである。器が違う。

 初デートがサイゼリヤだっただけで、もうその男はナシだと断じてしまうのは、落ち着けよ、世の中にはサイゼリヤが存在しない県だってあるんだぞ、申し訳ないと思わないのか、お前もミラノ風にしてやろうか、と諭してやりたい気持ちでいっぱいだが、デート何回目でセックスをするかは、少なくともサイゼリヤや吉牛よりは大事な気がする。

 もちろん、ビールとマリファナとファックさえあればご機嫌だった恋人期間を過ぎれば、食い物の趣味とかの方が重要になってくるかもしれないが、まずファック期間の方が先に来るのだから、そこがダメなら全滅と言って過言ではない。

 確かに、上記のように出会ってすぐヤられるのは、安く見られている、大切に思われていない、と思う女が多いだろう。

 この「大切に思われているかどうか」というのは女にとって非常に重要なことだ。どのくらい重要かと言うと、若干メンがヘラっている女性であれば「大切にされてない」と思った瞬間、腕に楽譜が書けそうなほどのラインを刻んでしまう。

 しかし、この大切にされているか否かという判断も女によって違う。サイゼリヤに連れて行かれただけで軽く扱われていると感じる女もいれば、毎回デートはラブホで、食事はルームサービスか、入る前にコンビニで買った何かにも関わらず、自分が彼女であると信じて疑っていない女も存在するので、不思議である。

 だが、即マンはやめた方がいいにしても、あまりにヤらないのも相手に対し失礼ではないか、と担当は申している。

 確かに女は全員性的な目で見ることが礼儀であり、女もそれを望んでいると主張しているような男は軍艦島にでも幽閉されるべきだが、パートナーなら契約内容にもよるが、多少はそういう目で見た方がいいと思う。むしろ倫理的には、一応パートナー以外、性的な目線で見てはいけないことになっているのだ。だったら見るしかないだろう、エロ目線で。

 では、パートナーをガンガンに卑猥(ひわい)な目で見ることは決まったとして、それを行動に移すのは、いつがベストかという話だ。

 担当曰く、デート2・3回ぐらいがベストで、5回もして何もしないのは失礼だろう、ということだ。

 ベストから失礼までの間隔近すぎね? むしろ4回目に何かあったのか? という気がしなくもない。逆に5回デートしてヤらない女はナイということだろう。

 男にいつヤるか問題があるように、女にだっていつヤらせるか問題があるのだ。すぐヤらせても安い女と思われそうだし、かといってもったいぶりすぎるとよそへ行かれかねない。

 こう考えると、わりとどうでもいいことで悩んでいる我々である。いっそ曲がり角でぶつかった瞬間入っていたなどの少年漫画でよく見る不可抗力が起こってくれれば楽なのに、と思う。

 じゃあ、デートからセックスまでの回数がいい塩梅(あんばい)だったから、全幅の信頼を寄せていいのかというと、そんなことはないだろう。

 世の中には出会って4秒で合体したが、その後40年連れ添ったというカップルもいるかもしれない。

 それだけで相手を判断するのは、初デートの飯屋で全てわかったつもりになるのと何ら変わりないのだ。もっといろんな観点から相手を見るべきだろう。

 つまり、初デートでサイゼリヤだった上に、その日の内にヤられた、という場合は、「ナイ」と判断してもいいかもしれない。できればヤられる前に判断した方がいい案件だったかもしれないが、相手がサイゼリヤでも喜んでくれる上に、その日の内にヤらせてくれる女性か見極めたかった石油王という可能性も、ないことはないのである。

 つまり、何事も焦(あせ)りは禁物、ということだ。

 しかし逆に言うと、セックスまでの期間を調整することにより簡単に誠意が見せられるということだ。

 誠意と言えば、「北の国から」の菅原文太御大に言わせると「現ナマ」である。それをたかだか数回セックスを我慢するだけで、女が「私大切にされてる」と錯覚してくれるなら激安である。

 つまりセックスするしないで感じる「大切にされてる感」自体、激安ということである。よって、そこをあまり気にしすぎてもしょうがないのだ。

 だがやはり、あまりにも極端すぎるのは考えた方がいい。出会って4秒で合体から始まる長いつきあいもあるかもしれないが。大体、終了4秒で解散してもいい相手だと思われていると思う。


【次回に続く!】

この記事で紹介した書籍ほか

生き恥ダイアリー

著:
出版社:
日本文芸社
発売日:
ISBN:
9784537262032