最悪寝たきりになる「転倒・骨折」…のどを鍛えることが最強の予防策/『声筋のすごい力』③

健康・美容

公開日:2020/3/24

最近、つまずくことが増えていませんか? 実はそれ、喉の筋肉=声筋の衰えが原因かもしれません。来たる人生100年時代、なるべく健康寿命を延ばすためには、声筋を鍛えることが大事です。誰でも簡単に始められる「声筋トレ」の方法をご紹介します!

『声の専門医だから知っている 声筋のすごい力 – こけない 老けない よろめかない -』(渡邊雄介/ワニブックス)

転倒・骨折が健康寿命を脅かす

「フレイルなんて言うけれど……。のどが衰えて踏ん張り力がなくなって、ちょっとつまずくくらいで、本当に寝たきりになるものかしら?」

 こんな素朴な疑問もよくいただきます。確かに、ご本人が現在明るく元気に過ごしていらっしゃる場合、つまずく回数が少し増えたくらいで「健康寿命が縮まるのでは」などというよからぬ方向には、想像しにくいかもしれませんね。

 ただ高齢者にとって、転倒やそれに伴う骨折は、それまでの生活を一瞬で激変させるほどのダメージを与えかねない脅威です。年齢を重ねるほど、ちょっとしたけがや病気が健康に悪影響を与える可能性は高くなってしまいます。

 

 また「人前でつまずいたら恥ずかしい」「転倒したら、周りに迷惑をかける」などという思いから、外出の機会が減り、前にも触れた「社会的フレイル」の段階に突き進んでいくことも考えられます。

「踏ん張り力」の低下を、決して軽く見すぎてはいけません。

 政府が公表しているデータにも目を向けてみましょう。

『平成30年版高齢社会白書』(内閣府)には「65歳以上の要介護者等の性別にみた介護が必要となった主な原因」についての統計があります。

 要介護者等について、介護が必要になった主な原因について比較をしたデータです。

 最も多いのは「認知症」(18.7%)、次いで「脳血管疾患(脳卒中)」(15.1%)、「高齢による衰弱」(13.8%)、そして「骨折・転倒」(12.5%)という結果になっています。

 つまり、「認知症」「高齢による衰弱」のように普段から把握できている体の状況ではなく、突発的な「転倒」によって、ある日突然介護が必要になった方が、全体の1割以上も存在する、ということです。

「転倒」という言葉から、「予測できない不運な事故」というイメージを持たれる方が多いかもしれません。

「高齢者の転倒事故なんて防ぎようがない」、そう思い込んでいる方も多いはずです。

 でも実際のところ、転倒は努力次第である程度遠ざけることが可能です。踏ん張り力を鍛えるために、のどを日常的にトレーニングすればよいのです。

「転倒=高齢者にとって避けられないもの」、そんな誤った認識は、手放していきませんか。

 

「認知症予防」や「脳血管疾患予防」についての意識は年々高まり、多くのメディアが対策を報じてくれるようになりました。

 それと同様に、「転倒」もうまく食い止めることができると、まずはあなたが認識してください。

 転倒の防止策は、「家のリフォーム」だけではありません。のどを鍛えることこそ、最強の転倒予防策なのです。

<第4回に続く>