転職を先延ばしにして失うものとは… 会社を辞められないという誤解/『新しい転職面接の教科書』③

ビジネス

公開日:2020/4/30

面接において、一番理解しておくべきことは「面接には作法がある」ということです。「いやいや実力があれば関係ないでしょ」と思われる方もいるかも知れませんが、そんなことはありません。目からウロコの「採用の本質」を知って最強の内定を手に入れませんか。

『新しい転職面接の教科書~「最強の内定」を手に入れる!』(福山敦士/大和書房)

会社を辞められないという誤解

×これ誤解です 自分が辞めたら会社が回らない?

 就職相談を受けていて多いのが、業務量過多や責任の背負いすぎで辞められないなどメンタル的に支配されているケースです。「自分が辞めたらこのプロジェクトが破綻する」「自分が辞めたら会社が回らなくなる」と言う人はものすごく多いです。こちらが論理的に「そんなことはないです、大丈夫です」と言っても、感情面でそれを受け取ることが難しい人も多く見受けられます。

 これはDVをする彼氏と別れない女性と構図が似ているように感じます。転職相談で会社の悪口を言うのに辞めない人にはその傾向が実際あります。「ブラックだし、昨日も終電だったんです」「給料が遅れることだってあるんですよ」という発言に「絶対辞めた方がいいですよ」と言っても、「でも私がいないと…」となるのです。「ここまで我慢して、苦労してやってきたのに辞めたらそれがなくなる」「もう少しで報われることを信じたい」という意識、これはソーシャルゲームの課金額が増えれば増えるほどやめにくくなるのと同じ理屈です。人は変化を恐れますし、同じことを繰り返していた方がラクなのです。

未来の時間を失っているという視点

 そういう人に言いたいことは、「未来の時間を失っていますよ」ということです。転職相談者にも、「去年も同じ話してましたよね、もし来年も同じ話をしていると仮定すると、あなたの30代は後○年になってしまいます」と話したり、図示したりするとハッとする人は多いです。あとは成功例を聞くことで辞めやすくなるということもあります。さっさと転職をしてうまくいっている人の話を聞くと、気持ちも軽くなりますし、「自分もそうなれるかな」と期待が持てます。周りに成功例がいない場合は、友人のツテで誰かを紹介してもらって話を聞くのでもいいですし、雑誌などで成功談を見るのでもいいでしょう。理屈だけでなく、感情も転職の方向に向かないとやはり前には進まないものです。

 20~30代は、結婚する、家を買う、子どもができるという確率が高くなる年代です。境遇だけでいうと会社を出ない理由の方が大きくなってくるのです。だからこそ、一度転職の成功例に触れてみることをおすすめします。

アドバイス:「あと1年」の我慢は、寿命を1年縮めるのと同義

<第4回に続く>