科学的に不可能? 速読チャンピオンがハリポタ最新刊を47分で速読した結果/忘れない高速読書③

ビジネス

公開日:2020/10/21

高速読書なら、10倍読める。10倍忘れない。だから100倍、知識が脳に刻み込まれる! 高速読書のプロ上岡正明氏の著書『死ぬほど読めて忘れない高速読書』(アスコム)より、「仕事と人生に本当に役立つ読書術」をご紹介します。

最新研究で明らかになった「速読は科学的に不可能」という事実

脳科学の分野では、昔から有効であると言われてきたような速読術は、実際にはほとんど実現が難しいことが最近、大学の研究で証明されています。

科学的に立証できないことが、わかってきたのです。

そういう方法は、たしかにインパクトがあります。広告を見ただけで思わず興味をそそられてしまうかもしれません。私もそうしたセミナーの告知を見るたびに、何度も参加しそうになりました。

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しかし、方法論としては魅力的であっても、効果があるかは別物です。実際には本当にごく限られた一部の人間しかできない相手を選ぶ方法でした。

ただ本を早く理解するという目的だけであれば、耳でオーディオブックを聞いたり、最初から本の内容が要約されたネット要約サービスなどを利用すれば事足ります。

でも、そうしたやり方は脳に記憶を留めたり、あなたの目的や願望の達成には向いていません。

あえて誤解を恐れずいえば、私はほとんど実践する意味がないと思っています。

新幹線から見る景色と同じです。

例えば、超高速で走る新幹線の外の景色を眺めたとき、流れるような景色を目に焼き付けることはできるでしょうか。

田園風景の緑は判別できるかもしれません。では、ビルの数や看板のデザインはどうでしょう。おそらく、目で景色を追うのがやっとのはずです。

ましてや1冊を3分で読むような方法は、音速で飛ぶジェット機の世界となんら変わりません。脳にかなりの負担がかかっています。

さらに、そうした情景を脳に記憶させるとなると、プロ中のプロのパイロットであっても至難の業だということが理解できると思います。実際、アメリカの研究では速読は不可能というのが見解なのです。

2016年にカリフォルニア大学は速読に関する論文を発表しました。これは200におよぶ速読研究や実験データをまとめたもので、ページをカメラで撮るように読み取ったり、眼球をすばやく動かしたりするテクニックは科学的に根拠がないと断言しています。

読書において目や眼筋の動きがもたらす重要性も10%以下である、といわれています。つまり、いくら眼球を鍛えても意味がないということです。

実際、2008年に速読大会でチャンピオンになった人物に『ハリー・ポッター』の最新刊を読んでもらったそうです。

協会が認定しているいわばチャンピオンのような人物です。その方に『ハリー・ポッター』の最新刊を読んでもらったところ、なんと47分で一冊を読み切りました。速いですよね。あの辞書のように分厚い本を、です。とても驚異的なスピードです。

しかし、チャンピオンは感想を聞かれて、簡単にまとめると次のように答えたと言われています。

「最高傑作の小説だよ。子どもたちに人気があるのもわかる。子どもたちの創造力をかき立て、また子どもたちが心を悲しませるシーンもあった。でも、この作品は最高だ」

いかがでしょうか。あなたが読書の結果、このような内容しか感想を述べられないとしたら、それを脳に記憶する意味がはたしてあるといえるでしょうか。

【次回に続きます】