【第12回】合コンしたことがないから『合コンの社会学』を読んでみた

更新日:2013/8/8

はてさて。
そんな矛盾を抱えたおかしな儀式
「合コン」。
数をこなしていくうちに
参加者たちはよりスムーズに、
そしてより効率的に
楽しい合コンを行うために、
それぞれのキャラクター、
そしてチームとしての役割分担を
洗練させていく、とのこと。
合コンで嫌われるのは前述の通り
「楽しい飲み会」という調和を乱す因子。
例えば、自分の仕事の自慢話をするとか、
女性の上に立とうとする男性とか、
過剰に家庭的なことをアピールする女性とか。
これって確かに「調和」を乱してますね。
さっきかいた「ガッツキ」が見られますもん。
ならどんなキャラクターでいけばいいか。
女性は単純に「かわいい子」、
男性は「気が利く男」ということです。
掘り下げましょう。
ここ重要ですよね。
「かわいい子」。
男性は女性に、
すれてなくて大人しくて、
上目つかいで話を聞くような
純朴な女性を好む、と。
この記述に関しては、
なにを根拠にこの著者は書いているのか、
僕としては謎っちゃあ謎なのですが、
このあいだ僕が読んでレビューした
「ロリコン」の社会学的な観点からしたら、
まあ間違っていないですよね。
少女性、ピュアさを男性は求めている、と。
それが図式となっているようなので、
女性側も率先してメイクや服装、
振る舞い方を清楚に可愛らしく、
シモネタには頬を赤らめ、
男性の話を一生懸命聞く「かわいい子」
というキャラクターを演じきるということ。
一方の男性は「気が利く男」が求められる。
基本、何回も書きますが
合コンは「楽しい飲み会」なので
家柄や経済力、仕事の話やワインの知識より、
気遣いやコミュニケーション能力を
武器にしたほうが有利。
自分のことばかりベラベラ喋らず、
気を遣って女の子の話をひたすら聞いたり、
レディーファーストを徹底したり、
と、「気が利く男」を演じ続ける。

 

 

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ここまで読んで思ったんだけど、
合コンって、しんどくないですか。
嘘の塊ですよね、みんな。
腹の中では「やりてーーー!!」か
「結婚退職してーーーー!!」
で渦巻いているのに、
「楽しい飲み会」の名の下、
そういった欲望をひた隠して、
さらには自分自身の性格までも偽り、
ウケがいいキャラクターを演じ続けて
飲み会を盛り上げる。
嘘の塊じゃないですか。
なんか、
よくお店で見かけていた合コン集団の
変な雰囲気、うそ臭いテンションは
やはりそこから来ていたのですね。
納得。
全部、嘘なんだ。
嘘まみれの中でニコニコ笑う成人男女たち。
おっかねえ。。。
で、ここで疑問。
そんな嘘まみれの儀式・合コンに
参加し続けるのってどういうこと?
どういう心理なんだろう。って思ったら、
そのこともきちんと言及していた、この本!
デキる子! この子デキる子!

合コンに行くと、
キャラクターを演じることはもちろん、
同じチーム間での作戦会議、秘密の暗号、
盛り上げ役などの役割分担、
そして合コン後の反省会、もしくは愚痴会。
これらの要素があいまって、
合コンが他の目的のあるものではなくなり、
合コン自体がエンタテイメント。
合コン自体が目的となるわけですね。
ふむふむ、納得。
こうなったら恋人や配偶者を
手に入れることはもう二の次になって、
ゲームとしての合コンを
楽しむことになるのですね。
ここまで読んで、
僕は彼女たちの存在を思い出しました。
そう。
あやまんJAPAN。
彼女たちは合コンを「試合」と呼び、
いろんな芸や男弄り、そして
自らのパフォーマンスで「試合」を楽しんでいます。
まあ、彼女たちは
「かわいらしい子」を演じるという部分は
ヌッポリと抜けていますが……。
しかし、エンタテイメントとして
合コンを楽しむというスタイルは、
まさにあやまんJAPANのそれではないでしょうか。
本著では、合コンの未来についても書いていますが、
IT化によりどんどん出逢いの方法が増えてきている中、
合コンというものは付き合いとして行く
飲み会としての一面も見せつつも、
「偶発的な出逢い」
をもたらす場としての機能を果たすため、
まだまだ続いていくと書いています。
確かにmixiに始まりTwitter、
そしてFacebook。
合コンよりも深く相手を知ることができて、
多くのコミュニケーションができるツールが出来た今、
合コンをする意義というのは、偶然の出逢い、
もしくはあやまんJAPANのような
エンタテイメントとしての飲み会。
と考えると、SNSが整った2010年頃から、
あやまんJAPANが出現したのは
納得のいく話ですね。

 

 

ということで、
「合コンの社会学」を読んでいきました。
合コンが奇妙な装置であることが
よくわかりました。
合コンと現代社会との関わり、あと、
心理学的なアプローチとかが少なく、
完全に社会学か、といえばアレですが、
とても為になりました。
良著!!

結論。
こんな邪魔くさい儀式、参加したくない!!!