「このアイデアはいけると思います」根拠に欠ける伝え方ではビジネスの現場で通用しない!?/いまさら聞けない「数字の読み方」超基本

ビジネス

更新日:2022/7/21

 アイデアを実現させるために、意思決定への筋道を立てる「数字力」は、経験ではなく、知識から身につけられる能力です。問題に対してどうアプローチすべきかという原則がわかれば、あとは慣れの問題です。ただ、数字力はその原則を知らずに、なんとなく避け続けていると、いつまでたっても自然に身につくことはありません。

 数字力のある人の話は論点が整理されているので、話すとすぐにわかります。また、数字力はどんな仕事にも必要とされる能力なので、数字力のある人は業界を超えて汎用性のある人材といえます。これは海外でも同じです。

 ビジネスパーソンにとっての勉強というと英語が定番ですが、英語ができても海外で仕事をすることはできません。しかし、数字力があれば(つまり正しい意思決定を積み重ねていける能力があれば)、通訳をつけるなどして、海外のような異なる環境の中でも能力を発揮できます。

 

 まったくの異業種へ転身したにもかかわらず、変わらず活躍している経営者・実業家は少なくありません。元ローソン社長で現サントリー・ホールディングス社長の新浪剛史氏や、元日本コカ・コーラ会長で現資生堂社長の魚谷雅彦氏が有名です。

 飲料メーカーから化粧品業界への転身は、さぞや大きな変化だろうと普通は考えてしまいますが、ビジネスの本質は変わらないということでしょう。ビジネスの本質を押さえた能力を持った人材は、どこに行っても通用するのです。

 

 私は経営コンサルタントとして、日ごろからさまざまな企業の会議に参加したり、中に入って業務改革を一緒に行なったりしていましたが、そうした中で感じるのは、いかに多くの人が感情で動き、感覚でものごとを決めているかです。

 数字力を持ち、数字を基にした判断で意思決定をしている人の割合は、多く見積もって3%といったところでしょうか。1人でも数字力のある人がいれば、その人の論点整理がきっかけになって議論は展開していきますが、そうした人が1人もいない会社や部署の議論は往々にしてまとまることはありません。

 感情で動くことも感覚で決めることも、本来は悪いことではありません。ビジネスに勘やセンスを生かすのは重要なことです。

 

 しかし、その前に数字がなければなりません。

 最初に数字を使って問題にアプローチしていなければ、組織がまとまらず、スムーズな意思決定ができず、失敗を次に生かすこともできません。

 本書は、すべてのビジネスパーソンに必要な数字力を、文系出身の「数字に弱い」と感じている人にも身につけてもらえるようにつくりました。クイズや身近な問題を入れながら、楽しく考えられるように構成しています。

 

 本書を読み、仕事の問題をなんでも数字に置き換える癖をつけることができれば、数字力のある3%のビジネスパーソンになれるはずです。

 会議や日々の仕事、検討中の案件などのちょっとしたことでも、ぱっと数字を思い浮かべて考えていくことができれば、仕事を語る言葉も変わってきますし、成果も変わってきます。ビジネスの本質は、そうしたちょっとしたことの積み重ねにあるということに、気づいていただければうれしく思います。

<第2回に続く>


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