過剰な信頼が怒りを生み出すことも。世の中への信頼スイッチを“オフ”にすることも必要/誰にも嫌われずに同調圧力をサラリとかわす方法

暮らし

更新日:2022/7/21

◎「他人を信頼できない!」という人ほど、他人を信頼している

 こういった「世の中に対する過剰な信頼感」が同調圧力を生みます。

 ただ、おそらく同調圧力をかけている人というのは、「世の中に対する過剰な信頼感があるから、間違っている相手が許せないのだ」とは自覚していないでしょう。

「どいつも、こいつもムカつく!」となっていて、むしろ「自分は誰も信頼できない」と思っています。

 

 でも、実際は「自分の思いどおりに動いてくれないからムカつく!」となっているわけで、さらに「相手が自分の思いどおりに動いてくれて当然!」と思っているから、怒りが湧くわけですよね。

 本当に「誰も信頼できない」のなら、相手に何も期待していないわけですから、相手が何をしたってムカつかないはずです。つまり、実は「誰も信頼できない」という人は口先だけで、頭の中では「〇〇して当然!」と過剰な信頼をしているのです。

 だから、そこからちょっと外れただけで「なんでそんなことをするんだ!」「これぐらいのこともしてくれないんだ!」と相手に圧力をかけてしまう。

「期待してないんだったら、同調圧力をかけるのはやめようよ……」と自分でも思うのですが、気がついたら自分が当然だと思っていることとは違う行動をする人たちへの怒りでいっぱいで、心の中で同調圧力をかけてしまっているのです。

 

◎世の中への信頼をオフにしてみる

 こういったことは、日常の中で無数にあるでしょう。

 たとえば、車の運転。

 最初は「まあ、いろんなドライバーさんがいるよな〜」ぐらいに思えていても、いったん渋滞などで予定よりも時間がかかっていたりすると、「あれ? あの追い越し車線をダラダラ走っているトラックの前、がら空きじゃん!」というのが見えたときに、「ムカつく! うしろが渋滞してるんだから、なんで追い越し車線からおりない!」などと、怒りが爆発しやすくなります。

 しまいには、そのトラックの運転手さんの姿が見えたりして「渋滞中だからって携帯いじってる!」となろうものなら、一層ヒートアップしてしまう。

 実際の道路には、常に一定数交通ルールを守らない人はいるので、外的要因には期待しないで身を守るほうが〝大人〞で現実的なのですが、ちょっとでも感情が揺さぶられると、世の中に対する信頼感が一気にアップしてしまい、「みんな交通ルールをちゃんと守って当然!」と怒ってしまう。

 感情が揺さぶられるまでは「みんなそれぞれ違うから」と思って周りの人の違いを認める余裕のあった人でも、感情が揺さぶられた途端に、「みんな同じじゃなきゃダメ!」と同調圧力チルドレンになってしまうのです。

 

 だからこそ、自覚してみましょう。

 そう、世の中を信頼してなきゃ、怒りなんて湧いていなかったのだ、と。

 私自身、いまは「あ! 同調圧力をかけちゃってる!」と自覚できることが増えたので、「あ〜、またやってる!」という感じで、そこから抜け出やすくなりましたが、以前は「〇〇をちゃんとしない人はムカつく!」と相手に対する攻撃がとまらなくなっていました。

 ですから、自分が同調圧力チルドレンに変身しちゃったときに「あ! 世の中に対する信頼感が半端なくあるからこんなに怒っちゃうんだ!」と意識してみること。

 いったん世の中への信頼スイッチをオフにしてみよう、とイメージしてみたことで、「あれ? そんなにムカつかないかも!」と、同調圧力をかけることをやめられるようになっていきました。

 

 とはいえ、もちろんそれでもまだ、感情を揺さぶられたときに「なんで〇〇をしないんだ!」となってしまう自分はいます。

 では、そもそもこの攻撃性はどこからきているのでしょうか。

 そのメカニズムについては、次の項で見ていきましょう。

<第5回に続く>


『誰にも嫌われずに同調圧力をサラリとかわす方法』をAmazonで読む >

あわせて読みたい