夏川草介を初めて読むならこの5冊! 【祝・2024年本屋大賞ノミネート】

文芸・カルチャー

公開日:2024/2/22

単行本『スピノザの診察室』(水鈴社刊)が2024年本屋大賞にノミネートされ、大注目の作家・夏川草介さん。
2009年に『神様のカルテ』(小学館刊)でデビューして以来、現役医師として地域医療に携わりながら、誠実なまなざしで物語を紡ぎ続けています。
夏川さんが本屋大賞にノミネートされるのは、2010年の『神様のカルテ』、2011年の『神様のカルテ2』に続き3度目。
この機会に「作品を読んでみたい!」と思っている人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、カドブン編集部が「初めて読む夏川草介作品」としておすすめのタイトルを厳選しご紹介!
気になる1冊を見つけてみてくださいね。

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夏川草介を初めて読むならこの5冊!

デビュー作にして、2010年本屋大賞第2位! 今も愛され続ける感動のベストセラー
『神様のカルテ』(小学館文庫刊)

栗原一止(いちと)は信州にある「24時間、365日対応」の病院で働く、29歳の内科医である。ここでは常に医師が不足している。専門ではない分野の診療をするのも日常茶飯事なら、睡眠を3日取れないことも日常茶飯事だ。妻・ハルに献身的に支えられ、経験豊富な看護師と、変わり者だが優秀な外科医の友人と助け合いながら、日々の診療をなんとかこなしている。
そんな栗原に、母校の医局から誘いの声がかかる。大学に戻れば、休みも増え愛する妻と過ごす時間が増える。最先端の医療を学ぶこともできる。だが、大学病院や大病院に「手遅れ」と見放された患者たちと、精一杯向き合う医者がいてもいいのではないか。悩む一止の背中を押してくれたのは、死を目前に控えた高齢の癌患者・安曇さんからの思いがけない贈り物だった。

(小学館オフィシャルHPより)
発売日:2011年6月7日(2009年8月刊行の単行本を文庫化)

★シリーズ情報
2019年に10周年を迎えた本シリーズ。続編として、2011年本屋大賞第8位『神様のカルテ2』から最新作『新章 神様のカルテ』まで計4作が刊行されています(いずれも小学館文庫刊)。気になった方はぜひチェックしてみてくださいね。

すべての“本好き”に問いかける、著者初のファンタジー長編! 
『本を守ろうとする猫の話』(小学館文庫刊)

夏木林太郎は、一介の高校生である。幼い頃に両親が離婚し、さらには母が若くして他界したため、小学校に上がる頃には祖父の家に引き取られた。以後はずっと祖父との二人暮らしだ。祖父は町の片隅で「夏木書店」という小さな古書店を営んでいる。その祖父が突然亡くなった。面識のなかった叔母に引き取られることになり本の整理をしていた林太郎は、書棚の奥で人間の言葉を話すトラネコと出会う。トラネコは、本を守るために林太郎の力を借りたいのだという。

(小学館オフィシャルHPより)
発売日:2022年9月6日(2017年1月刊行の単行本を文庫化)

★シリーズ情報
シリーズ続刊『君を守ろうとする猫の話』(小学館刊)は2月28日刊行予定!

生きることと死んでいることはどう違う? 高齢者医療のリアルを描く連作短編集
『勿忘草の咲く町で 安曇野診療記』(角川文庫刊)

美琴は松本市郊外の梓川病院に勤めて3年目の看護師。風変わりな研修医・桂と、地域医療ならではの患者との関わりを通じて、悩みながらも進む毎日だ。口から物が食べられなくなったら寿命という常識を変えた「胃瘻」の登場、「できることは全部やってほしい」という患者の家族……老人医療とは何か、生きることと死んでいることの差は何か? 真摯に向き合う姿に涙必至、現役医師が描く高齢者医療のリアル! 解説・佐藤賢一

(KADOKAWAオフィシャルHPより)
発売日:2022年3月23日(2019年11月刊行の単行本を文庫化)
詳細:https://www.kadokawa.co.jp/product/322111000513/

小さな病院は命がけでコロナに立ち向った――現役医師が綴ったコロナ禍の最前線
『臨床の砦』(小学館文庫刊)

感染症指定医療機関でコロナ禍の最前線に立ち続ける現役医師が、自らの経験を克明に綴った記録小説!
「対応が困難だから、患者を断りますか? 病棟が満床だから拒絶すべきですか? 残念ながら、現時点では当院以外に、コロナ患者を受け入れる準備が整っている病院はありません。筑摩野中央を除けば、この一帯にあるすべての病院が、コロナ患者と聞いただけで当院に送り込んでいるのが現実です。ここは、いくらでも代わりの病院がある大都市とは違うのです。当院が拒否すれば、患者に行き場はありません。それでも我々は拒否すべきだと思うのですか?」――本文より

(小学館オフィシャルHPより)
発売日:2022年6月7日(2021年4月刊行の単行本を文庫化)

その医師は、最期に希望の明かりをともす。2024年本屋大賞ノミネート作!
『スピノザの診察室』(水鈴社刊)

雄町哲郎は京都の町中の地域病院で働く内科医である。三十代の後半に差し掛かった時、最愛の妹が若くしてこの世を去り、 一人残された甥の龍之介と暮らすためにその職を得たが、かつては大学病院で数々の難手術を成功させ、将来を嘱望された凄腕医師だった。 哲郎の医師としての力量に惚れ込んでいた大学准教授の花垣は、愛弟子の南茉莉を研修と称して哲郎のもとに送り込むが……。

(水鈴社オフィシャルHPより)
発売日:2023年10月27日

プロフィール

夏川草介(なつかわ・そうすけ)
1978年大阪府生まれ。信州大学医学部卒業。長野県にて地域医療に従事。2009年『神様のカルテ』で第10回小学館文庫小説賞を受賞しデビュー。同書は2010年本屋大賞第2位となり、映画化。他の著書に『本を守ろうとする猫の話』『勿忘草の咲く町で 安曇野診療記』『始まりの木』『臨床の砦』『レッドゾーン』『スピノザの診察室』など。