「へぇ~」と「なんで?」がポイント! 知る楽しみを覚えると理科が面白くなる!

出産・子育て

2018/3/27

 入学シーズンを迎え、もうすぐ期待と不安で胸いっぱいの子どもたちの新生活がはじまる。親も我が子の成長に大きな喜びを感じながら、内心では「うちの子、大丈夫かな。勉強についていけるかしら? 友だちできるかしら?」と心配事は尽きない。特に新小学1年生は、国語、算数、生活科の授業がスタートする大事な時期。

 2020年度から小学校高学年で英語も成績の付く教科になり、中学年でも成績は付かないが必修科目となる。大学入試改革もはじまるこの転換期に、我が子が勉強を好きになってくれることを願わない親はいないだろう。

 ではどうすれば、子どもが勉強に興味を持つのだろうか? 家庭でどんな学習教材を与えれば、自ら学ぶ子どもに育つのだろう?

 そこで各教科で、子ども目線に立った人気学習教材、図鑑、漫画を作っている達人たちに、子どもを勉強好きにさせるヒントを伺った。

 子どもの「なぜ?」「なに?」に答えるとき役立つ図鑑。しかし、学校の調べ学習で使うだけで、本棚の飾りになっている家庭もあるのでは? そんな従来の図鑑のイメージを覆し、読者の子どもとその親たちから高い支持を得ているのが、講談社の『動く図鑑MOVE』シリーズだ。累計発行部数は280万部を超え、日本科学未来館で開催中の「MOVE 生きものになれる展」も大盛況の『動く図鑑MOVE』は、なぜ子どもたちを夢中にさせるのか? 子どもを理科好きにさせるために親がやるべきこととは? 編集長の森定泉さんに話を伺った。

森定泉編集長

――「MOVE 生きものになれる展」の反響がすごいそうですね。『動く図鑑MOVE』も売れていますが、今までの図鑑とどこが違うのでしょうか。

森定泉編集長(以下、森定) 従来の図鑑は、調べ学習に使うために作られたものが多かったんですね。つまり、図鑑は勉強のために使うものというイメージが強かった。
しかしそれでは、子どもが自分から進んで手にとって読まないと思うので、子どもの興味関心を引き出すきっかけとなるような新しい図鑑をつくりたい、と思ったのがはじまりでした。
そこで『動く図鑑MOVE』では、子どもの好奇心を刺激して、「これなに?」、「えー、知りたい!」と思ってもらったり、理科を面白がってもらうために、さまざまな工夫を凝らしています。

 まず、この図鑑のキーワードは「へぇ~」なんです。何かについて説明されたたとき、説明された人が「ふーん」と言うのと、「へぇ~」と言うのとではテンションが違いますよね。『動く図鑑MOVE』を読んだ子どもには、「ふ~ん」ではなく、「へぇ~!」「すごい! おもしろい!」と驚いてもらいたいと思っています。

 たとえば、100℃のガスを出す「ミイデラゴミムシ」という昆虫がいます。この虫がガスを噴き出している大きな写真を見せると、子どもはみんなびっくりして、「へぇ! 何それ!?」と言ってきます。驚きと疑問があると、もっと知りたくなるんですよね。
 ですから、できるだけ子どもたちの興味を引くために、ビジュアルのインパクトと使い方にはかなりこだわっています。

『動く図鑑MOVE 宇宙』では、原始地球と火星ほどの大きさの天体が衝突して月が形成されたとされる「ジャイアント・インパクト」のイラストを大きく載せています。これを見た子どもはたいてい「うわ、すごい! なんだこれ?」と言います。
 そうやって興味関心を持つと、説明も自主的に読むし、月がどのようにして生まれたかということをずっと覚えていられます。

――それが結果的に、理科の成績アップにもつながっていくと。

森定 小学生は好奇心の塊なので、その延長で勉強ができれば成績をあげるのは難しくないと僕は思っています。ポイントは、興味を持つか持たないか、自主的にやるかやらないか、なんだと思います。
 たとえば、昆虫好きな子は、昆虫をつかまえるために気象のことも知らないといけないし、その虫が生息する場所の植物にも興味を持つようになります。
 生き物としての進化に対しても興味が出てきますから、結果的に、さまざまな知識が身につきます。一見、学校の勉強と関係なさそうなことでも、興味が連鎖していくと、いずれ結びついてくるんです。

 何をきっかけに学びが広がっていくかわからないので、どうせテストに出ないからと親が決めつけて、子どもの興味対象を制限はしないほうがいいのではないでしょうか。
 たとえば、みなさんのまわりを見渡してみても、東大出身の人が、問題集ばかりガリガリ勉強していたか、学校や塾の勉強しかしていこなかったかというと、そんなことはないわけです。
 むしろ、日常の遊びや体験のなかでいろんなことを面白がり、興味を持つように育てられた子が、いろんな本を読んだり自分で調べたりするようになって、結果的に勉強もできるようになるんですよね。
 とくに、小学校の段階では、そういう傾向が強いのではないでしょうか。
 理科はとりわけ、好奇心の強い子どもが伸びる科目だと思います。
 どんな子でも、「なんでかな?」を3回ぐらい繰り返して調べていくと、物事の本質を理解できるようになりますからね。
 たとえば、進化論でもips細胞でも、小学校で習わないようなことに興味を持って図鑑や本で知識を身につけている子どもは、学校のテストで100点をとったりするんですよ。そういう子のほうが、算数も国語もできたりしますから。


――子どもが夢中になれるもの探しを、親も手伝ってあげたほうがいい?

森定 そうです。そのためには、できるだけいろいろなことを体験をさせたり、繰り返しになりますが、驚きや疑問を引き出すきっかけを与えてあげたほうがいいのではないでしょうか。
 ただ、気づきやすい人と気づきにくい人がいます。たとえば小説や映画でも、同じ作品をつまらないと思う人と、あそこが面白かったと思う人がいるように、きっかけだけを与えても、その面白さに気づく子と気づかない子がいます。

 でも子どもは親の影響を受けやすいので、「すごいね!」、「なんでなんだろうね」と親が一緒に驚いたり、知りたがったりすると、子どももいろんなことに興味を持ちやすくなると思います。
 さらに最初のうちは、一緒に調べて、子どもが納得できる答えがわかるまで付き合ってあげると、そのうち自分から疑問を持ったことを調べて理解する習慣が身についていくでしょう。

 結局、ノーベル賞をとるような科学者がやっていることも、レベルが違うだけで、疑問を持って答えを見つけるまで研究するという意味では同じですよね。
そしてまさにそれこそが、理科の一番面白いだと思います。

――付属のDVDも面白くて見応えある映像です。

森定 最初に付属DVDをつくるとき、NHKさんがBBCのようなドキュメンタリー調のものを提案してくださったんです。
 でも僕は、「これだと子どもは見ないから、演出は『世界の果てまでイッテQ』のようにして下さい」とお願いしたんです(笑)。
 具体的に言うと、動物のすごく面白い生態がわかる部分は、スローにしたり、リピートしたり、場合によっては逆回転とかして、面白さがよりはっきりとわかるようにクローズアップしています。
 これはNHKがNHKの映像を編集しているからできることで、BBCとかナショナル・ジオグラフィックの映像だったらできなかったでしょうね。
 図鑑もDVDも、「見る人にどれだけ驚きを与えられるか?」をテーマにして作っていますので、大人でも充分楽しめる内容になっています。

 ですから、親御さんもぜひ一緒に面白がってください。

 多分、大人も自分の子ども時代を振り返ってみると、問題集や参考書を使って勉強することが楽しかった人はほとんどいなかったのではないかと思います。
 でも、そこに何か面白くなる工夫をするだけで、知識を覚えたり、理解する能率がぐんと高まるんですよ。
 たとえば何か問題を解くときも、「問題」といわれるとお勉強をやらされている感が強くなってやる気が起きません。でも、「クイズ」っていわれると何となくワクワクして答えを考えたくなりますよね。

――『動く図鑑MOVE』関連のコミックスや学習読みものシリーズも出ていますね。

森定 図鑑がきっかけで生まれた疑問を疑問のまま終わらせないために、知りたいことをより深く理解できる学習漫画や読み物です。
『動く図鑑MOVE』と「シカクいアタマをマルくする」でおなじみの日能研さんがコラボした「日能研クエスト」は、覚えるよりも考えさせて、本質的な理解へと導く学習読み物シリーズです。
 たとえば、『iPS細胞と人体のふしぎ33~人体のしくみと最新研究~』や『宇宙のふしぎ最前線!~謎だらけの宇宙にいどむ~』などは、最新の研究内容や豊富な図解があって、難しい内容をできるだけわかりやすく解説しています。

 一方、MOVEコミックスシリーズは、動物、昆虫、宇宙、人体など、図鑑を読んで興味をもったテーマについて、漫画で楽しく学べるのが特徴です。
 どちらも中学受験に直接役立つ内容ではないかもしれませんが、低学年はまだ余裕がありますから、できるだけ「なんでかな?」と思うきっかけをいっぱい作ってあげて、一緒に調べたり考えたりすることを楽しんでほしいです。
 知らないことだらけで好奇心いっぱいの子どもたちに、世の中には面白いことや楽しいことがあるんだ!という驚きを、できるだけたくさん与えてあげてほしいですね。

取材・文=樺山美夏

【動く図鑑 MOVE公式サイト】http://zukan-move.kodansha.co.jp/