「うちの子、もしかして発達障害?」小学生の親の3人に1人が、そう思ったことがある!
公開日:2017/5/17
新年度がスタートして1カ月、子どもたちもそろそろ新しい環境になじんでくるころ。しかし同時に、学校に行くのをイヤがったり、子どもの言動や友だち関係で、思わぬ悩みや不安が出てきている家庭もあるのでは?
■「育てにくい」と感じるときに頭をよぎる「発達障害かも」の思い
小学生の子どものいる母親へのアンケートによると、わが子を「育てにくいと思ったことがある」人が、40.2%。母親が育てにくいと感じる理由はさまざまだ。
・やりたいと思ったことは、すぐにやらないと気がすまない
・思い通りにならないとすぐ怒る
・何回同じことを注意しても守れない
・自分ルールが多く、こだわりが強い
・もの忘れが激しい
・ふざけだすと止まらない
などが挙がる。さらに、「もしかして発達障害?」「ADHDなどではないか?」と、一瞬でも脳裏に浮かんだことがあるかという質問に対しては、34.7%の母親がYESと回答。「育てにくい」と感じていた母親に限ると、その64%がわが子は発達障害かも、と疑ったことがあるという。

じっとしていられない、落ち着きのない子どもはたくさんいる。そんな子どもを「子どもらしくて元気がよい」と、肯定的に見られればよいのだが、特に小学校入学以降は、授業中でも立ち歩いたり、ずっとおしゃべりをしたりしているとなると、それらは問題行動で、しつけがなっていない、困った子だと見なされてしまいがちだ。
*主婦の友社読者ネットアンケートクラブ会員(全国の小学生の母親)によるWEB調査より(有効回答数98。男の子50人・女の子48人)。
■エジソンやモーツァルトもADHDだった?
ADHD(注意欠如多動症)は、脳の機能のトラブルによる発達障害のひとつで、最近ではモデルで俳優の栗原類さんが、自らADDである(注意欠如症/ADHDにくらべ多動性が少ない)と発言するなど、いまでは一般にもよく知られている。
「不注意・多動性・衝動性という3つの特性があり、こうした症状が、学校や家庭など2カ所以上の場であらわれる」(『赤ちゃん~学童期 発達障害の子どもの心がわかる本』主婦の友社刊より)。
具体的には、一定の時間じっとすわっていられなかったり、すぐに気が散る、順番が待てない、ものをなくしたり、忘れ物が多い、などがその特徴とされる。
また、「ADHDは性格なのか障害なのかの見きわめが難しく、本人や親がいわれなく非難されることが少なくない」という(同上)。本人がそのためにつらい思いをしているとしたら、専門家による支援が必要だ。しかし、医師でも診断が難しい障害だからこそ、子どもに安易にADHDだとレッテルをはるようなことは避けたいもの。
エジソンやモーツァルト、坂本龍馬なども、伝えられるさまざまなエピソードから、ADHDだったのでは、という説がある。周囲が彼らの言動を否定的にとらえずに受け止めて、その特性をよい方向に生かすことができれば、大いに能力を発揮することができるかもしれないということだ。

■落ち着きのない、忘れっぽい、思いつきでつっぱしる子どもたちを理解し、応援する絵本
母が娘を思う気持ちを感動的に描いたベストセラー絵本『ちいさなあなたへ』で知られるアメリカの人気イラストレーター、ピーター・レイノルズ氏も、診断こそ受けていないが、自分には確かにADHDの特性がある、と公言している一人だ。
「うちは大家族で友人の出入りも多く、とてもにぎやかだったので、だれもぼくが問題児だとは思いませんでした。ところが学校では、一日中イスにすわって授業を受けなければなりません。算数の時間に絵をかいていると、しかられました」と語っている。

そんなピーター氏が、自分と同じような子どもたちのためのメッセージがつまった新作絵本が『ゆめみるハッピードリーマー』だ。頭の中がいろいろなアイディアでいっぱいのために、ついぼーっとしたり、つっぱしったり、とっちらかったりしてしまう子どもは、ハッピードリーマー(幸せな夢を見る人)なのだ。

■独創的な頭脳が地球の未来をつくる!
ピーター氏は言う。「いま地球がかかえるさまざまな問題には、ハッピードリーマーのような、古い考えにとらわれない創造的な頭脳が必要なのです」
大人の都合通りに動いてくれない子を「発達障害だったらどうしよう…」とネガティブにとらえるのではなく、「可能性に満ちた、ハッピードリーマーなのだ!」と思えば、気持ちが明るくなるかもしれない。ADHDである、なしに関係なく、いま多くの親子に読んでほしい絵本だ。

『ゆめみるハッピードリーマー』
本体1300円+税
主婦の友社
文・絵 ピーター・レイノルズ
訳 なかがわちひろ