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大きな字で書くこと

大きな字で書くこと

大きな字で書くこと

作家
加藤典洋
出版社
岩波書店
発売日
2019-11-20
ISBN
9784000613736
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大きな字で書くこと / 感想・レビュー

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とよぽん

遺言のような、この本を読み終えた今、とても悲しい。加藤さんの来し方やお父さんとの確執、影響を受けた人々のエピソード、日本や世界の行く末を案ずる思い・・・。自分の中に二つの場所を持つこと、二人の感情を持つこと、その大切さを痛感していると最後の章(2019年3月2日 信濃毎日新聞)にある。これが響いた。昔、加藤さんはB6の400字詰め原稿用紙に小さな字で文章を書いていたそうだ。今、簡単に一つのことだけ書く文章、それを思い出そうとして、大きな字で書いてみるのだと・・・深い言葉だ。

2020/08/28

trazom

昨年5月に亡くなられた加藤典洋さんの遺稿。「敗戦後論」で、左右両派から強い批判に晒された加藤さんだったが、ぶれないこの人の信念の源を垣間見ることができる文章の数々である。特高警察に加担していた父の戦後の態度への徹底的な批判、憲法9条の平和主義に基づかない非武装中立論としての森嶋通夫先生の評価、思想的には対極であるはずの久保卓也氏の国防論への評価など、加藤さんのフェアな態度は変わらない。ご入院前から書き始められた原稿だが、自分と関わった人たちとの記憶を紡ぐ文章には、寂寥感が溢れていて、胸が締め付けられる。

2020/02/04

ころこ

編集や筆入れが無い状況から、絶筆かと想像します。内容の割に高価で、相当の興味が無いと落胆します。中学生の頃、自らの不注意で交通事故に遭う話があります。そこでは、無事であった息子を警官という職務から叱責する父親との齟齬が書かれています。他方で、大人になって、実は特高の任務を受けていたことが判明し、問い詰める話がこの父親との仲良くないエピソードとしてあります。屈折を抱えたまま、時間を掛けて別の何かを生み出していく。B6の原稿用紙に小さな字で仕事をしていた著者が、大きな字で書くとしたら父親のことでしょうか。

2019/11/20

mitu

岩波書店PR誌『図書』と『信濃毎日新聞』連載から。あっという間に読めますが、次々と出てくる登場人物や時代にノスタルジーを感じて、あっ、すれ違っていたかもと、兄のような先輩のような。山形県を警察官の父の仕事であちこち転校した小学校時代の思い出。全共闘だった頃。文芸評論の時の文章より肩の力を抜いてお話になっています。東大の仏文卒。教授のレベルはさすがです。イギリスで開かれた『村上春樹の執筆四〇年記念シンポジウム』での柴田元幸さん、⇒

2020/02/10

まこみや

前に読んだ『オレの東大物語』と内容的にはいくらか重なるところがある。しかし「オレ」と「私」という人称の違いから、受ける印象はずいぶん違う。『オレの東大物語』は感情や思いが裸のままむき出しにされている、いわば装う余裕すらない感じなのに対して、『大きな字で書くこと』は慎みをまとっているようだ。それもこれも「表と裏があることは一人の人間が人間であるための本質的な条件なのだ」と記す加藤典洋さんの「本質的」な姿なのだろう。「catchはwatchに通ずる」、「もう一人の自分を持つこと」という言葉を噛みしめたい。

2020/10/08

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