KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

茨木のり子詩集 (岩波文庫)

茨木のり子詩集 (岩波文庫)

茨木のり子詩集 (岩波文庫)

作家
谷川俊太郎
出版社
岩波書店
発売日
2014-03-15
ISBN
9784003119518
amazonで購入する Kindle版を購入する

茨木のり子詩集 (岩波文庫) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

さゆ@俳句集販売中

戦争作品は、惨状や思想など巨視で捉えられがちだが、これは作者の内面が描かれており貴重に感じた。谷川俊太郎は、「わたしが一番きれいだったとき」の異国の音楽に酔う、敗戦が認めがたかった、長生きを決める部分を省く方がいいと言ったようで、確かに無いと戦時中の心の頑なさや寂しさが記されシンプルになる。だが、あえて入れることで相反する気持ちを抱えつつも生きていくという強い想いと長い人生の展望も見えてくる。まさに男性は落ち込むとずるずる引きずる反面、女性は切り替えて希望を見失わない強さの表れと思った。「花の名」も良い。

2023/12/15

はっせー

詩集。その中でもやっぱり茨木のり子さんが好きだ!なぜだかわかる。それは一瞬でわかることができないがじわじわと心打たれるものがあるからだと思う。今まで倚りかからずを読んだことがあり茨木のり子はとても優しくそして自立した人だと思っていた。頑張ってみてと背中を叩くような優しくてでもちょっぴり強めな人だと。だがこの本を読むとそのイメージが変わる。それは倚りかからずの詩集を書くタイミングで夫を無くしたからだ。だからこそ自分でやらないといけないという決意があった。この本はその決意よりももっと優しい気がする

2022/07/14

ちゃちゃ

「わたしが一番きれいだったとき/わたしの国は戦争で負けた/そんな馬鹿なことってあるものか」ご存じ、茨木のり子氏の代表作『私が一番きれいだったとき』の一節。貴重な青春期を戦争に奪われた悔しさ。日本の勝利を信じひたすら我慢と忍耐を続けた日々。彼女の詩は、戦争に限らず理不尽な社会や時代への憤りに満ちている。しかし、その責任の所在を曖昧にせず鋭く追及し、自らの問題として表現する潔さがある。『自分の感受性くらい』や『倚りかからず』等、どこまでも自己を厳しく見つめる彼女の凜とした姿勢は私たちの指針となる。終戦の日に。

2017/08/15

Gotoran

『詩のこころを読む』を読み、その著者茨木のり子氏(戦中戦後を生き日本を代表する詩人)の詩に対する熱い思い、鋭い感性に魅入られ、本書へ(日本を代表する詩人谷川俊太郎氏選)。鋭利で歯切れの良い言葉、研ぎ澄まされた言葉の威力、静謐で素直な言葉が心に沁みる。「わたしが一番きれいだったとき」「自分の感性くらい」他の代表作も良いが、早逝の夫への思いを詠った『歳月』(15編の詩)と中国人強制労働者(劉連仁)の悲劇を詠った珠玉の叙事詩「りゅうりぇんれんの物語』が時に印象深かった。

2014/10/02

藤月はな(灯れ松明の火)

真の自立とは、真摯さとは、優しさとは何か。茨木のり子さんの詩は読者に問いかけてくる。「冷えたビール」の手に入れたいと思っていたものが常に手に入るようになった途端に有難みが薄れる味気無さと慣れゆえの浅薄さは人間だからか。「総督府にいってくる」と一番、長編の「りゅうりぇんれんの物語」は日本がアジア圏の人々に何をしたかに冷たい手で心を握られたようだった。そして「その時」は茨城のり子さんの旦那さんに対しての愛とそれ故の透き通った悲しみがある。詩の中では「落ちこぼれ」と「行方不明の時間」が一等、好きだ。

2022/06/26

感想・レビューをもっと見る