未来への記憶―自伝の試み〈上〉 (岩波新書)
未来への記憶―自伝の試み〈上〉 (岩波新書) / 感想・レビュー
こーすけ
河合隼雄の自伝。 子どもの頃からの家族との関わりから心理学への傾倒まで。 素晴らしい兄弟、親との関わり、そして感性が面白い。 苦手なものは苦手、知らない事は素直に吸収。 普通と思えるような事にいちいち思いを巡らせる、だからこそこの名声なのだ。
2019/09/19
黒雅
いまは亡き河合隼雄の自伝。大学時代は苦労されていたようだが、その後はめまぐるしいほどのスピードで、臨床心理学の分野に傾倒していったことがうかがえる。まだ学生であるわたしとしては、大学時代というのは、華々しい時代というよりは、むしろ、人生のなかにおいてもっとも先の見えない混迷に満ちた時代だと認識している。しかし、著者は、そうした時代のなかでも、親しい兄弟たちに支えられ、様々な他人との対話を大切にしてきたのだった。そして、そうした人たちとの関わりが著者の人生に与えた影響は計り知れない。下巻に続く。
2013/05/06
薄い月明かり
家族をはじめとする豊かな関係性の中で育まれた「人間好き」という素地。うまくいかない時、「ここははずせないぞ」という時に、悉く相手の言葉によって救われてきた。若い頃は、完全無欠のエリートコースには遠く、新たな環境にとびこむ度に劣等感を抱え、本来好きなことと、進むべき道との間で揺れた。また、学問に興じるのではなく、現場に出向いて人間相手にロールシャッハをやりまくった。河合先生の広さや深さのルーツが分かった気がする。そして、その豊かさは、読書や音楽の影響だろうか。今の時代、本家河合塾の開校が望まれる。
2024/02/12
よし
生い立ちから、心理学に日覚めるまでの半生を語った自伝風エッセイ。とてもやさしい言葉で、気取らずに素直に語りかけてくれる。面白く、ユニークなエピソードに、親しみが沸いてきた。子どもの頃からいつも兄弟と仲良く、互いに切磋琢磨しあっている姿は.羨ましい程。 高校の恩師の言葉がいい。 「自分が進歩し続けられるものをしっかり持っている限りは、高校の教師になっていい」中学生を教えた時、生徒も先生もー時間中、笑い合っていたという話は何ともほほえましい。数学研究から教師、そして心理学の道へ。偶然か、運命か?
2015/01/28
暗頭明
先月(8/10)、古書店の100円棚で著者の署名と朱印があるものを見つけて購入。何度も読んでいる作品だが、今回も心底堪能したので、下巻も通して読んでみよう。//「ところで、ロール・シャッハ・テストがいまでも有効性があるかどうかと考えると、やっぱり有効です」p.178
2014/09/05
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