ユング心理学と仏教 (岩波現代文庫 〈心理療法〉コレクション V) (岩波現代文庫 学術 224 〈心理療法〉コレクション 5)
ユング心理学と仏教 (岩波現代文庫 〈心理療法〉コレクション V) (岩波現代文庫 学術 224 〈心理療法〉コレクション 5)
- 作家
- 出版社
- 岩波書店
- 発売日
- 2010-01-16
- ISBN
- 9784006002244
ジャンル
ユング心理学と仏教 (岩波現代文庫 〈心理療法〉コレクション V) (岩波現代文庫 学術 224 〈心理療法〉コレクション 5) / 感想・レビュー
Vakira
自分という観念。普通は「我思う、故に我あり」だが、この本の衝撃。「我、他人の夢に登場す、故に我あり」「我」は自分が思うだけではありません。他人の夢にも登場してしまう。逆に言えば我とは自分の意思以外に他人の夢にも登場してこそ「我」となる。無意識の我の広がり。無意識の我は他人の夢だけではなくて自分を取巻く宇宙に存在しているのかも知れない。自分とは?をより深く考察すると個人ということではなく、生きとし生ける物全が関連しているのかもしれない。僕にとって衝撃であり、大収穫の考え方。河合先生ありがとうございます。
2021/08/22
ばんだねいっぺい
やっぱり面白いなぁと思ったし、また、時をおいて読み返すだろうなぁとも思った。万物斉同というか、身近なふれあいの中にそれを見いだす契機が転がっていると認識した。
2022/04/18
加納恭史
河合隼雄著「心理学入門」からとても興味を引かれ、彼の東洋的なユング分析を検討し、仏教との関わりを中心とし世界観を見る。二十年以前に読んだユング理解の再検討となる。当時はユングの良き解説書も少なく難解であった。彼のマンダラ好みにはうんざりしたが、今回は理解が進むかな。仏教の普遍意識の解明はなかなか見事だな。禅との関わりで、十牛図の解説から始まるので、自我と自己(セルフ)の発見と悟りの境地を頓悟と段階論と玉虫色の全体像の解説は見事だな。まあ十枚の図以外にも六、七枚の牧牛図も多い。現代女性による牧牛図もある。
2024/03/14
呼戯人
再読。何の気なしに手に取ったら、読むことが止めらなくなって、午後の時間全部を使って、読みました。前回読んだ時より、理解が深まったとかより細部の主張に気が配れたとかということもなく、ただひたすら午後の時間をこの本を読むことに費やした。自我とか自己とか心を統合する概念を飛び越えて、仏教的なスーパーシステムのような中心なき調和をもたらす全自然と心の繋がりが実感できた。華厳教や大乗起信論などの仏教哲学の深さに感じ入った。井筒俊彦の仏教哲学の本も読もうと思った。
2022/11/11
roughfractus02
戦中での死の恐怖と母国の非合理的教育への幻滅から、西洋合理主義を受け入れようと京大数学科に進み高校教師となった著者は、生徒の悩みを聞くうちに心理学に興味を持つ。心理は自我(Ich/I)を中心とする合理、統合、整合の概念では捉えきれない。そこで矛盾、曖昧、中間性を扱う自己(Selbst/Self)を中心に据えたユング心理学を学びに渡米した著者は矛盾を統合せずに受け入れる考えを仏教に学ぶ。本書は、ユング心理学を明恵や井筒俊彦の仏教解釈とつき合わせつつ、人間を生命システムとして捉えたアメリカでの講演を収録する。
2022/12/06
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