中年クライシス (朝日文芸文庫 か 23-1)
中年クライシス (朝日文芸文庫 か 23-1) / 感想・レビュー
レモングラス
河合隼雄先生が文学作品を通して中年の問題を語る。何かひとつの考えや方法を確立して、それで一生押し通してゆくことはできず、どこかで何らかの転回を経験しなくてはならない、と書かれている。漱石の「道草」が最後に取り上げられているのを読み「道草」を読んだ時の苦しさから解放された。ああそうだったかと胸にストンと落ちた。生きるのがずいぶん楽になった気がした。清々しく感じた。人生、いろんなことがあるし、自分をしっかり持っているつもりでいても、振り回されたり疲れたり。そういうことのひとつひとつがすーっと溶けていった。
2021/01/27
うわじまお
もやもやとした中年の悩みを解消してくれる本だと思い読んでみました。が、そりゃそうだよな、そうなるかもしれないねといった中年の事実を、さまざまな小説に照らし合わせながら解説するコラムの集合体であって、心が軽くなることはありませんでした^^;
2020/07/13
ひのじ
昔の小説を臨場感たっぷりに語る。テーマは中年が遭遇する二律相反。成し遂げたかった夢にひとつの到達を見た後に思い浮かぶことはやはり同じようだ。まさに、落日と旭日がせめぎ合う。下手なビジネス書でまとめられるのとは納得感が違う。何か強くなった気がしてくる。
2020/03/02
ムーミン2号
河合さんが読んだ小説の中から、何らかの意味で感動したものを選択し、その中で「中年」の心理の特徴を考えようというもの。いろんな意味で中年というのは大変な時期だというのがわかる。最後は漱石くんの『道草』が取り上げられているが、人生に「道草」は必要だし、必要な時に「道草」はポンと眼前に提示されるものだ、ということは今までの経験から何となく理解はできる。一方理解が難しかったのは「エロス」の章(第6,7章)で、そこは紹介された本を読むなりして考えるのもいいのかも知れない。中年は、なかなか大変だ。
2018/05/07
れい
【図書館】エロスに関する記述が中盤続いたので、半ばげんなりとなりながら、読み進めた。男性視点のクライシスは多いが、女性視点のものは、青年期的な恋愛をして青春を謳歌するものだった。うーん、多分、それは芸能人にはまったりしてそう大きな実害なく乗りきっている奥様が多いと思う。時代変われば、クライシスも様変わりするのだと思う。強烈な二律背反であることは、変わりがないのだろうけれど。
2019/08/03
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