ぼくがきみを殺すまで (朝日文庫)
ぼくがきみを殺すまで (朝日文庫) / 感想・レビュー
坂城 弥生
これはフィクションではなく、現在進行形で世界で起こってる事なんだろうな。
2021/04/21
miaou_u
私にとってはNO.6以来の、あさのあつこさん。タイトルから既に辛いシーンを想像せざるを得ず、ISや今は、とりわけウイグルを想起してしまう。大人に、社会に、国に自由を抑圧されながらも、記号のようにイニシャルで呼び合う少年たちは、自我を、友情を胸に秘めてその身を国家に投じる。祖国の地、言語、名までもが喪われてゆく現実。流れる空気感こそ違うが、小川洋子さんの「密やかな結晶」でも描かれる、ディストピアな題材をメッセージ性の強い文学エンターテインメントに昇華したのが、あさのあつこさんの作品ではないかと思う。
2021/05/20
YH
昨日まで友達だった隣人がいつの間にか敵国の人間として、殺し合う対象になる。感情がついていかないKのような反応ならまだわかるけど、あっさりと世情に流されて、迷いなく戦えるっていうことが恐ろしい。
2022/11/27
parmigiano
歪んだ愛国心を植え付け、命を捧げるなんてあり得ない!と言えるのはほどほどに平和な日常を我々が過ごせていられるから。戦禍を望む人なんて誰もいないはずなのに、始まる戦争は誰の為?未来担う子供を思えば、戦争なんて…と思ってしまう。 辛い内容の中でも生きるとは?を考え、ファルドの白い花の息吹を感じる作品でした😢
2023/03/19
タバサ
この本が刊行されたのは2018年なので、ロシアのウクライナ侵攻より前ですね。隣り合う国が突然戦争状態となり、大人は都合の良い嘘をつき始め、子どもは兵士となり、兵士でない者も、自分の人生を奪われる 。エルシアは今捕虜となり死刑を待つ身。それを執行する予定の、エルシアより若いと見られる少年に、身の上を語る。それは、戦争が始まる前の両国がお互いを尊重し共存していた時代の思い出話。そして、読む者は戦争の影が忍び寄ってくる様を読まされる。たまたまウクライナを想起しましたが、戦争の本当の姿を描いた良書だと思います。
2022/11/27
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