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先導者 (角川ホラー文庫)

先導者 (角川ホラー文庫)

先導者 (角川ホラー文庫)

作家
小杉英了
出版社
KADOKAWA/角川書店
発売日
2014-10-25
ISBN
9784041020722
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先導者 (角川ホラー文庫) / 感想・レビュー

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スカラベ

第19回日本ホラー小説大賞。ホラーというよりは、作者独自の死生観を掘り下げ、悲しい性を背負った少女の生き様を描いた作品。死へと向かう描写は、思わず息を呑んでしまうように精緻で鮮烈。文章は凝縮され、圧倒的な力で迫る。他人では書けない作者独特の表現が多い。「肉体がオートマティックに脱落し、反動で霊魂が急激に噴き上がるような感覚」とか。前半は焦らされるところもあるが、役割が明らかになるあたりからグッとドライブがかかり結末へと向かう。純愛の要素もさりげなく挿入され、少女の切ない「想い」が伝わってきて哀れでもある。

2014/12/05

ジンベエ親分

ブックオフ108円の本だが、思わぬ拾いモノ。死者の魂を転生するために導く役目を担った少女の一人称で語られる物語。ホラー大賞受賞作だが、"怖さ"はほぼ皆無で、死者の魂の有り様、先導するために自らも仮死状態となって「離脱」し霊魂の状態になるためのプロセス、それらが緻密に丁寧な文体で語られる。そのためあり得ない話のはずの作品世界に太いリアリティの筋が通っているため、特殊な境遇の主人公たちの考え方や感じ方にちゃんと移入できる。後半、組織や闘争の要素も入るが陳腐化することなく美しいラストまで読ませてくれる。名作。

2017/10/15

はつばあば

表紙から見ただけでお若い作家さんかと思っていたらなんと還暦前。刑事物とお付き合いしていたら死後は?と疑問も出る。死後の世界は人の誕生と同時に未知の世界であり、「先導者」に導かれる魂は契約者。死後の世界も三途の川と同じようにお金や能力が支配するのか(-"-)。先導者としての少女の壮絶な代償に、曾祢の献身が少女に自我を芽生えさせたのだろう。人の腕の抱かれる安心感。誰もが一番望み癒される事。この世もあの世も無法なら、御呼びがかかるまで人の悲しみに寄り添える自分が欲しい

2015/07/12

masa

生と死。少女の視点で語られる「先導者」としての役割。特殊な能力を持ち得ているが故の過酷な運命。ある組織の一員として、幼い頃から受けてきた教育や訓練。管理下の元での生活。生々しい死の描写や機械じみた組織の在り方、壮絶な修行と代償はとても痛ましく、顔を歪めずにはいられない。それでも、思いも寄らない死後の世界と、不思議な魂の流転に強く心は引き込まれていく。寡黙な世話人に献身と支えられながら、次第に少女は先導者として成長していく。そこで得ていく少女の葛藤と自我が愛おしい。ラストは切なくも美しさに包まれ心が震えた。

2015/06/28

トルコネ

引き込まれました。最近の角川ホラー文庫のラインナップには若干失望していたのですが、これは別格、確かに文句なく大賞です。美しくも巧みな文章は詩的でありながらリアル感も併せ持っていて、死後の世界や先導者のシステムを無理なく、どころか現実にそうであってもおかしくないとさえ思わせてくれます。そしてなんといっても主人公の少女の心情描写が秀逸。こんなおっさんでも感情移入して応援せずにはいられませんでした。そしてなんと言っても曾祢さん、アンタ滅茶苦茶カッコイイぜ!ただこれ、ホラーかと思ったら最高のラブストーリーでした。

2014/11/12

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