KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

大義の末 新装版 (角川文庫)

大義の末 新装版 (角川文庫)

大義の末 新装版 (角川文庫)

作家
城山三郎
出版社
KADOKAWA
発売日
2020-07-16
ISBN
9784041095911
amazonで購入する Kindle版を購入する

大義の末 新装版 (角川文庫) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

ふじさん

この作品を書くために作家を志したと城山三郎自ら認めた城山文学の最重要作。天皇と皇国日本に身を捧げる「大義」こそ自分に生きる道と固く信じ、戦争末期に海軍予科練に志望した愛国少年への鎮魂歌として、その時代生きた若者の挫折感と絶望感を鮮烈なタッチで描き、天皇制の問題を真正面から捉え、究極の文学に結実させた戦争文学の不朽の名作。何度読んでも、違った読後感が。自分の年齢と時代の流れが、影響しているのかもしれない。ウクライナ、台湾等、騒がしい世界だからこそ読む価値がある1冊。

2022/08/10

しゅんどーん

予科練生で終戦を迎えた主人公が、戦後の日本に適応できず苦悩する。軍神杉本中佐の『大義』は戦前のベストセラー。主人公も影響を受け、国と天皇に命を尽くす決心をしたが、敗戦で心の支えが崩壊してしまう。厳しい訓練で死んだ仲間や、折れた醜い前歯。失ったものに果たして意味はあったのか。城山文学のなかでも、城山さんの体験を特に色濃く反映している。

2023/09/01

北之庄

久々の城山作品、掉尾を飾る佐高信氏の解説によれば、彼の原点にして最重要作品との触れ込み。当然期待は高まったが、残念な結果に終わった。太平洋戦争には志願兵として従軍した城山氏の、皇太子への複雑な思いとその折り合いの付け方について、主人公へ投影し私小説風に開陳するスタイルは、ノンポリである自身が共感できずよく分からなかったと言うのが正直な感想。晩年作品の『指揮官たちの特攻』は本作の続編とのこと、今でも時折り手に取る同作に比し、残念な思いが募る。

2021/06/16

きなこチロル

初作家さん。実体験に基づいて激動の時代を書いた作品。表題作の他に『軍艦旗はためく丘に』収録。P142「人間は幸福を求めて生きてるんだとそんな単純なことを、教師だって親だって誰一人教えてくれはしなかった。ただ大義とか忠君愛国とかで……。ぼくたちはそれだけをまともに思いつめていた」「幸福に生きる道をはじめから奪っておいて思いつめるも、つめないも、ただそれしかなかったんじゃありませんか。みんなが幸福にくらせる国をつくれば、黙っていたって愛国心は湧いてくるじゃありませんか」

2021/01/18

そうめん

NHKの「100分de名著」宗教論の回で片山さんが紹介していたつながりで読みました。終戦文学(勝手に名付けた)は『金閣寺』もそうだと思うけど、戦争に負けたのに世界が続いていることに戸惑うことから始まると思う。この作品は杉元中佐の『大義』を心の拠り所にしていたのに、訓練中も肥田や高橋は柿見のようなマインドは持っておらずその違いがもやもやとして残ったまま戦争は終わる。天皇の存在のあり方が変わったのにそれをすんなり受け入れてしまう(『大義』に書かれたものとは大きく違う)大人たちとは違った主人公がいる

2024/03/12

感想・レビューをもっと見る