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青瓜不動 三島屋変調百物語九之続

青瓜不動 三島屋変調百物語九之続

青瓜不動 三島屋変調百物語九之続

作家
宮部みゆき
出版社
KADOKAWA
発売日
2023-07-28
ISBN
9784041121603
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「青瓜不動 三島屋変調百物語九之続」のおすすめレビュー

宮部みゆき新刊、15年以上続くシリーズ第9弾。少女の執念から生まれた土人形など、恐ろしくも温かい4つの物語

『青瓜不動 三島屋変調百物語九之続』(宮部みゆき/KADOKAWA)

このまま三島屋シリーズは終わってしまうのか――

 前作の内容から、そう感じたファンは多かったはず。もちろん僕もその1人であり、「叶うことなら次回作をぜひ……!」と心から願っていた。その思いが通じたとはにわかには信じがたいが、2023年7月に「三島屋シリーズ」第9弾『青瓜不動 三島屋変調百物語九之続』(宮部みゆき/KADOKAWA)が発売された! 「三島屋シリーズ」とは、宮部みゆき先生によって書かれたホラー時代小説のこと。第1弾は2008年7月に発売され、いまもなお続く長編作品である。

 本作の主人公は、江戸は神田にある袋物屋「三島屋」の次男・富次郎だ。彼はこの場所を訪れる人々からさまざまな話を聞く役「聞き手」を担っている。本作の語り手から紡がれる4つの話は、行き場の無い女たちが集う庵の土から生まれた不動明王、代官による村への悪行に見舞われた少女の執念から生まれた家族を守る土人形、描きたいものを自在に描けるがその持ち主と周りの者の生気を吸い取ってしまう筆、身寄りの無い子にとっては極楽の…

2023/10/23

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【京極夏彦特集】スペシャル対談1 京極夏彦×宮部みゆき「デビュー作を読んだ時、世界の見え方が変わるような体験をしました」

 ※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2023年10月号からの転載です。

 同じ事務所に所属していることもあり、朗読会などさまざまな場で共演することの多い京極夏彦さんと宮部みゆきさん。「百鬼夜行」シリーズをリアルタイムで読んできた宮部さんは『鵼の碑』をどう読んだのか? お互いをリスペクトしあうお二人の、和やかな対談をお届けします。

取材・文=朝宮運河 写真=山口宏之

宮部 京極さんとは同じ事務所に所属していることもあって、ご一緒する機会が多いですよ。初めてお会いしたのは『魍魎の匣』を出されてすぐの時期だったかしら。 京極 大沢在昌さんの対談集『エンパラ』でご一緒したのが最初でしたね。当時僕はデビューしたばかりで、そもそも普段はデザイナーとして働いていた頃。 宮部 あの後からお忙しくなったでしょう。『狂骨の夢』発売と同時に京極さんの連絡先が各社に解禁されて、お仕事が殺到した。あれよあれよいう間に人気者になって、それから約30年ですから。 京極 解禁って、鮎なのかと思いましたけど(笑)。僕がデビューした29年前といえば、まだ世の中に携帯電話が普及していなかっ…

2023/9/8

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<宮部みゆきインタビュー>おちかが母親に、そして富次郎にも岐路が。ますます目が離せない江戸怪談シリーズ第9弾『青瓜不動 三島屋変調百物語九之続』

 ※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2023年9月号からの転載になります。

 神田で袋物を商う三島屋の名物といえば〈変わり百物語〉。この店を訪れた語り手は、黒白の間と呼ばれる座敷で聞き手と向かい合い、長年胸にしまい込んできた怖い話、不思議な話を口にする。

取材・文=朝宮運河 写真=干川 修

 宮部みゆきさんが2006年以来書き継いでいる時代小説シリーズ「三島屋変調百物語」。百物語を連作短編形式で書くという前人未踏の試みも、折り返し地点が見えてきた。 「次の次の巻あたりで50話に到達できそうです。百物語って100話語りきると怪異が起こるといいますが、途中で止めても障りがあるそうなんですよ。がんばって長生きして(笑)、99話書き切ろうと思います」  三島屋主人の姪で、ある事件をきっかけに変わり百物語の聞き手を始めたおちかに続き、現在2代目の聞き手を努めているのが三島屋次男の富次郎。人当たりがよく食いしん坊の彼にとっても、語り手と相対する時間は大切なものだ。 「これは東雅夫さん(アンソロジスト・文芸評論家)の著作で知ったのですが、百物語は庶民の娯楽であると同…

2023/8/9

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青瓜不動 三島屋変調百物語九之続 / 感想・レビュー

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starbro

宮部 みゆきは、新作をコンスタントに読んでいる作家です。三島屋変調百物語シリーズも読み続けて9作目となりました。本巻は、おちかの愛娘 小梅誕生の巻でした。今回は中編3話+短編1話、百話までは、まだまだ遠い道程です。オススメは、『だんだん人形』です。 https://www.kadokawa.co.jp/topics/10228/

2023/08/17

ひさか

公明新聞2021年8月2日〜2022年7月30日連載のものに加筆修正し、2023年7月角川書店刊。シリーズ9作目。青瓜不動 、だんだん人形、自在の筆、針雨の里、の4つの連作ホラー。いずれも怖いところのある話ばかりだが、救いや、幻想的な部分もあり、面白い。だんだん人形には、話が語り伝えられたそのものの理由に救いが潜んでいるのが興味深い。

2023/09/26

KAZOO

宮部さんの「三島屋」シリーズの9作目です。聞き手の富次郎の前任のおちかが子供を産む前後の4つの話が収められています。三島屋の跡継ぎが帰ってきて、このシリーズも続くか心配している富次郎ですが話は続きます。やはりこの表題作が一番印象に残りました。青瓜という植物がその土地の金気を吸い取ってくれて不毛な土地を作物ができるようにしてくれて、ということですがそれにからむ人間模様が中心となっています。今回はほかの作品も何かを作り上げるということが中心になっている感じで楽しめました。

2023/08/28

いつでも母さん

待っていました、シリーズの第9弾!今回は4話どれも良い。中でも表題作の1話目と4話目『針雨の里』が好み。おちかが無事に第一子・小梅ちゃんを出産して私までホッとして、人ではないが人の心を持つ化身たちに泣かされた。そうだ、小旦那・富次郎、描くのだ。もう大丈夫だね。宮部さん凄いや。参っちゃうなぁ・・読了直後の素直な気持ちだ。

2023/09/02

ちょろこ

三島屋九之続の一冊。今作はいつも以上に楽しみな巻、そして人の愚かさ、良くも悪くも人が心に抱える思いの強さをしみじみ感じた巻だった。兄、伊一郎が帰ってきて、ちょいと自分の立ち位置を掴めない小旦那こと富次郎。そんな彼の元に必然的かのように訪れるお客さま。表題作は青瓜畑での富次郎の闘いと生命の闘いの重ね合わせ、その描き方が秀逸。命の尊さ、人が人を想う心の温かさ、恩の温かさ、愛が全面で感じられるのも良かった。語り手と一緒に泣いて笑う富次郎の姿がまた良い。そういう彼は語り手に寄り添い心和らげる立派な聞き手だと思う。

2023/09/06

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