北の詩人 新装版 (角川文庫)
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北の詩人 新装版 (角川文庫) / 感想・レビュー
shun( 早瀬俊)
本当に韓国と日本が反目し合うべきなのか迷いながら、新刊として発売されたこの本を読んでみる。もちろん小説には違いないのだが。日本も韓国も戦後アメリカの属国化政策の下に歩み、東西冷戦とその後の国際社会における地政学的な立ち位置に振り回されている。本当に憎むべきは大国の勝手な都合なのであるが、そこは言うことができないから、互いにいがみ合っているのではと思うのだ。林和はずっと旧大日本帝国に協力したことを引け目に感じ生きるしかなかった。それは生きるために仕方のないことだと、人間ならば理解し合えるのではないだろうか。
2022/04/28
kaorin
第二次大戦後の朝鮮半島、文学者の林和を待っていたのはあまりに過酷な運命だった。人物や情景の描写がほとんどなく、ただひたすらに林和の内面の動きと、彼に起きた出来事が淡々と描かれている。当初は情景が思い描けずに読み進めにくかった。しかし途中から、日本・アメリカ・ソ連に翻弄される朝鮮半島と、自由を求めながらもそれがかなわなかった林和に待ち受ける運命が真に迫り、どんどん読み進めた。。ただ自然とそこに生きる人々を詩に描きたかった、という林和の言葉が胸に刺さる。知らなかった歴史をまた知ることができた。
2022/05/31
くりたろう
スパイ
2022/06/12
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