KADOKAWA Group

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空想の海

空想の海

空想の海

作家
深緑野分
出版社
KADOKAWA
発売日
2023-05-26
ISBN
9784041130155
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「空想の海」のおすすめレビュー

作家生活10周年!『この本を盗む者は』スピンオフを含む、深緑野分の珠玉の短編集

『空想の海』(深緑野分/KADOKAWA)

 頭の中であれこれと空想をめぐらす。そんな時間ほど、心に栄養を与えてくれるものはない。それは、血となり、肉となり、骨となる。明日を生きる活力になる。間違いなく、私たちを豊かにしてくれる時間だ。

 そんな想像を広げることの楽しさを味わえるのが『空想の海』(深緑野分/KADOKAWA)。『ベルリンは晴れているか』(筑摩書房)や『この本を盗む者は』(KADOKAWA)、『スタッフロール』(文藝春秋)などの著作で知られる深緑野分氏による短編集だ。作家生活10周年を記念するこの本に収録されているのは、SFから児童文学、ミステリ、幻想ホラー、ショートショートまで、さまざま。珠玉の短編11編が収められている傑作だ。

「時々起こるんだ。すさまじいエネルギーを持つ想像力の一閃が、現実の鎖を切り裂き、とんでもない未知へと連れて行ってくれることがね」

 これは、本書収録の『この本を盗む者は』スピンオフ短編「本泥棒を呪う者は」内のセリフ。本を愛し、書籍蒐集家の父の蔵書を収めた「御倉館」を愛する御倉たまきの言葉なのだが、この短編集その…

2023/5/31

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空想の海 / 感想・レビュー

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starbro

深緑 野分は、新作中心に読んでいる作家です。ヴァラエティに富んだ短編集、オススメは、『本泥棒を呪う者は』です。著者は、やはり長編が好い気がします。https://kadobun.jp/special/fukamidori-nowaki/

2023/08/12

旅するランナー

深く浅く、緑だけじゃなくて色々な、分野に分かれた11短編。デストピアの図書館、土塊昇天現象解明に挑む世代を超えた好奇心、優しさと怖さを感じる舟唄、反政府ゲリラからの贈り物、水泳授業中に浮かぶ付け爪、男子寄宿制学校でのイースターエッグの謎、戦時下の完全なる失敗、私設図書館の怪物など。時代も場所も語り口も異なる作品ですけど、どれもレベルが高いです。

2023/09/15

さてさて

本の帯に深緑さんの作家生活の節目となる作品であることを感じるこの作品。そこには、さまざまな雑誌に掲載されてきた短編と、この作品のために書き下ろされた短編が混在する中に、深緑さんならではの物語が描かれていました。Twitter企画で募集したタイトルに『マイクロノベル』を書き下ろすという意欲的な試みを見るこの作品。「この本を盗む者は」を愛する方には絶対に読むべき”スピンオフ”が待っているこの作品。“読む楽しさ”をさまざまな方向から存分に味わわせてくれる深緑さんの懐の深さを垣間見せてもくれる作品だと思いました。

2023/05/31

ちょろこ

万華鏡のような一冊。想像以上に幸せな時間だった。11篇のジャンルいろいろな物語は大海原でくるくると新しい色模様が拡がる万華鏡を覗いた気分。目に飛び込む意外な色模様に時にうっとり、時にせつなく、時にハッとしたり、ほわっとしたり。心の揺れ幅のなんと大きいことか。改めて深緑さんの筆による無限の海を感じた。いつでもオールを持っているからこそ、日々の営み、目に耳にする出来事から空想創造の海へと漕ぎ出し、こういう物語がふわっと生まれるんだろうな。中でも繰り返しの虚しさの色模様がピリッと焼きつく「カドクラさん」は秀逸。

2023/07/19

シナモン

タイトルとかわいい表紙に惹かれて。様々なジャンルの短編が楽しめました。「空へ昇る」、「耳に残るは」が好みでした。

2023/06/13

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