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この夏の星を見る

この夏の星を見る

この夏の星を見る

作家
辻村深月
出版社
KADOKAWA
発売日
2023-06-30
ISBN
9784041132166
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「この夏の星を見る」のおすすめレビュー

辻村深月が描く、コロナ禍の高校生たちの青春。自作の望遠鏡で星を探すコンテストを通して得たものとは?『この夏の星を見る』

『この夏の星を見る』(辻村深月/KADOKAWA)

 新型コロナウイルスが私たちの生活に大きな影響を及ぼすようになって約3年。この3年は身近だった人との間に距離という大きなハードルが課せられた一方、遠く離れた人との距離は技術によって逆に縮めることができるようになった3年でもあると感じます。

 そんなコロナ禍を過ごす3人の中高生を主人公にした小説が『この夏の星を見る』(辻村深月/KADOKAWA)。舞台は2020年春、茨城県に住む亜紗は天文部に所属する高校二年生。高校生活を謳歌する最中に状況が一変してしまい、思うように友達に会えないことを寂しく思っています。東京・渋谷に住む真宙は中学校に入学したばかりですが、同級生に男子がひとりもいないことが嫌で、学校が始まらなければいいと願う日々。3人目の長崎・五島列島に住む円華は旅館の娘。五島列島においてコロナの存在はまだ遠く、だからこそ県外からの宿泊客を受け入れる旅館の存在は周囲から警戒され、彼女は窮屈な思いをしています。

 同じコロナ禍でも三者三様の立場に置かれ、日々を過ごす3人。次第に登校はできるようになったも…

2023/9/9

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「子どもたちの時間は失われてなどいない」天体を通じて取り戻すコロナ禍の希望とは『この夏の星を見る』辻村深月インタビュー

 ※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2023年8月号からの転載になります。

 〈失われたって言葉を遣うのがね、私はずっと抵抗があったんです。特に、子どもたちに対して〉。綿引という高校の教員が言うこのセリフは、辻村さんがコロナ禍で感じた、本作を書く発端の想いでもある。

取材・文=立花もも 写真=冨永智子

「現実にそれを言うと、きょとんとされることも多かったんです。修学旅行などの行事も軒並み中止になって、通学自体がままならず、実際にいろんなものが失われたじゃない、と。そこには、大人から子どもに対する、私たちが経験してきたいろんなことをできない彼らはかわいそうだという目線も入っていた気がします。でも、確かに通常と様子は違っていたけれど、子どもたちの時間はコロナ禍だからといって止まっていたわけじゃない。子どもは常に今を生きていて、大人たちが想像するよりもずっとたくましく前を向いている。コロナが収束したとしても、大人の言う“元”の状態には戻らないし、彼らにしか切り開けない未来を歩み続けていくのだということを、今作を通じて描きたかった」  物語は2020年の春、緊…

2023/7/7

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この夏の星を見る / 感想・レビュー

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starbro

8月の第一作は、辻村 深月の最新作、辻村 深月は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。本書は、この夏の夜空を飾るに相応しいコロナ禍ならではの天文部青春譚、爽やかな感動作でした。私は我が家の二人の息子の名前に星の字を使用しています。またそれが、私のニックネームstarbroの由来にもなっています。 https://kadobun.jp/special/tsujimura-mizuki/kono-hoshi/

2023/08/01

パトラッシュ

中高生にとって夏休みは若さを謳歌する最高の日々なのに、新型コロナ禍で友人と集まって活動する大切な日常を奪われた苦痛は大きかったはずだ。学校に行けなかったり目標としていた大会が中止になるなどガマンを強いられた若者が、オンラインを通じて天体観測という目標のため今しかできない歓喜を掴もうと結集する。不自由だからこそ新しい道を探り、恋愛や別離を挟みながら本当に大切なものを見つけて成長していくドラマは、枯れたオジサンの心をも熱くしてくれる。文字通りド直球の青春群像小説であり、あの頃を経験した人すべてに読んでほしい。

2023/07/17

うっちー

コロナの与えた影響は世代によっても違うのでしょう。北極星が代わるのは初めて知って感激でした

2023/07/19

キューカンバー

コロナウィルスによる学校休業・行事自粛の中で育まれる天体観察を通した人間関係を描いた物語。学校も地域も年齢も異なる学生たちが織りなす友情に感動しました。 本日(2024.2.22)、新聞の折り込みで、この本からの文章が「埼玉県公立高校の入試問題」となっていたことに気づきました。オープニングの一問目です。発売から1年も経っていない新刊を問題文に使うとは、埼玉県さすがです。

2023/07/24

hirokun

星3 コロナ禍における青春小説。今回のコロナ騒動時において、私の生活環境はこの作品とは違い、会社は生活基盤産業で通常出勤をしていたし、家族にも学生がいないこともあり、特に大きな変動がないまま生活を送っていた。この作品を読み、人生の中で限られた学生生活において、大きな影響を受けた人々の事を考えることができた。この作品のように環境変化に対して、自ら変化へ対応する活動を行った人が少しでも多く存在することを期待したい。

2023/07/28

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