禍いの大衆文化 天災・疫病・怪異
禍いの大衆文化 天災・疫病・怪異 / 感想・レビュー
K.H.
江戸時代を中心に、疫病(時勢を反映してかこれがいちばん多い)やその他の禍いに大衆がどう反応したのかをめぐる論集。疱瘡を遊ぶ子供たちや、大地震後に鯰絵でひと儲けした仮名垣魯文、大火をパロディにする落書など、浮かび上がってくるのは、江戸の民衆のたくましいバイタリティだ。例のアマビエが瓦版を売る方便だったというのも面白い。もっともその裏には風の神送りなど、ブラックな部分も垣間見える。論集なのでひとつひとつのテーマの掘り下げはそれほどではないが、それぞれのテーマをもっと知りたくなった。
2022/03/31
大臣ぐサン
妖怪学の世界にも流行というものがあって、目下彼岸もコロナ禍の真っ最中だ。アマビエばかりが大きな面をしているが、過去の疫病においても蔓延させる側に回ったり、鎮める側に回ったり、妖怪は様々な形で疫病と関わってきたのだ。敢えて言おう、アマビエは姿を絵にかけとは言ったが疫病を封じるとは言っていないし、肝心のコロナを予言していないし、そもそもアマビエの言い伝えなどというものは見つかっていない。「疫病を防ぐ御利益があると言い伝えられている」などという文句を見ても黙って眉を顰めるしかできないのが歯がゆいよ。ほんと。
2021/08/20
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