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聖地と日本人 (角川ソフィア文庫)

聖地と日本人 (角川ソフィア文庫)

聖地と日本人 (角川ソフィア文庫)

作家
小松和彦
出版社
KADOKAWA
発売日
2021-03-24
ISBN
9784044006365
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聖地と日本人 (角川ソフィア文庫) / 感想・レビュー

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たま

能楽を手がかりに京都(=伝統的日本文化)にとっての「聖地・異界」を探る。取り上げられている24の異界は鞍馬から吉野熊野や立山を経て安達ヶ原に及ぶ。かつては霊場、今は観光地として訪れたことのある場所が多く興味深いが、全て能楽の舞台と言うことにも驚いた。大昔に謡いを習っていたことがあり文学作品として読んでいたけれど、「日本に土着してきた思想を考えるための『教典』」と言う著者の主張も頷ける。雑誌『観世』の連載が2006年に『誰も知らなかった京都聖地案内』として本になり、それが角川ソフィア文庫に収められたもの。

2021/06/24

まさ

聖地とは「奥」のさらに奥にあたる場――。それは距離的なものだけではなく精神的にもより深い部分といえる。異界とも言い換えることができる地を能楽作品を通して知ることができた。鞍馬・僧正ヶ谷、貴船、比叡山横川といった京都のまちから少し出たところだけではなく、竹生島や熊野、富士山や立山、戸隠といった全国の地も。能という人為と古来からの地が繋がることに新鮮な驚きと興味を抱き、そしてやはり、訪ねてみたくなるのだな。

2021/08/08

寝落ち6段

昔から、易々と入ってはいけない場所があった。それは、深い山だったり、川や海だったりした。本能的に危ないぞと感じる場所を、恐怖を畏怖と変換し、神や魔のいる聖性・魔性の地として、説話の中に落とし込んだ。語り継ぐ中で、神仏習合や創作物の影響もあり、誰かが物語の形にしていく。現在、研究家以外でこれを語り継ぐのが、実は能楽だったというのを初めて知った。夏休みになると、山や海、川での事故死が毎年絶えない。昔はそれを伝承として語られたが、今はそれも絶えて久しい。文化を見直すというのは、先人の知恵や経験を受け継ぐこと。

2023/08/05

宙太郎

昔から日本人が聖地(≒異界)と見なしてきた場所を能楽を切り口にして考察する。扱われているのは,鬼の大江山や愛宕山,天狗の鞍馬,土蜘蛛の葛城山,丑の刻参りの貴船,狐の稲荷山,鵺の芦屋,竜宮の志度浦…と幅広く,それ以外にも源融,崇徳上皇,元三大師,清姫,鬼女紅葉などにゆかりの地が取り上げられている。しかし,一篇一篇があまりにも短すぎて,聖地と能の関係に深く切り込むまでには至っていないような印象を受けた。とは言え,その土地の伝承と能楽のどちらが先行するのかといった考察など,さすが民俗学の泰斗だと思わせる鋭さだ。

2023/03/07

k_ta

聖地とは何かを論ずる本かと思って読んだら、各々の聖地に対する来歴と能の話を絡めた考察を書き連ねていくものだった。それぞれ興味深いし一度では咀嚼できなかったので、また時間を置いて読み返したい。特に僕は登山をするので、修験道と絡んだ項目はとても興味深かった。シリーズが出てるようなので他の本も読んでみたい。

2022/09/07

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