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兎の眼 (角川つばさ文庫)

兎の眼 (角川つばさ文庫)

兎の眼 (角川つばさ文庫)

作家
灰谷健次郎
近藤勝也
YUME
出版社
KADOKAWA
発売日
2013-06-15
ISBN
9784046313195
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「兎の眼 (角川つばさ文庫)」のおすすめレビュー

涙なしでは読めない不朽の名作。多様性に戸惑い、生き方に迷えるすべての人にすすめたい1冊

『兎の眼』(灰谷健次郎/角川文庫)

 歩み寄っても心を開いてくれない人や、努力しても分かり合えない人、住む世界が違う人と出会ったとき、距離をとったり無視したりすることは簡単だ。「多様性」への理解が求められる中でも、困難さを感じる相手を前に、億劫さを感じてしまうこともあるだろう。だがそんな姿勢は、この世界で暮らすことを放棄するのと、イコールなのではないだろうか――読むたびにそんな問いを私に投げかけ、「真摯に生きる」を怠けがちな私の肩を優しく叩いてくれるのが、『兎の眼』(灰谷健次郎/角川文庫)だ。

『兎の眼』は、児童文学作家の灰谷健次郎氏によって1974年に刊行された小説。舞台は、とある工業地帯の老朽化したゴミ処理所がある町の小学校だ。煙霧で空気は淀み、人家にも学校にも処理所から出る灰が降る。処理所の隣には、危険な仕事を負う臨時職員が暮らす長屋があり、小学校には、彼らの子どもも、役所の正職員や商店街で店を営む人、会社経営者の子どもも通う。つまり、子どもの生活格差の大きい小学校だ。

 主人公は、大学を卒業して赴任したばかりの小谷芙美先生。医者の一人娘で泣き虫…

2022/9/30

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兎の眼 (角川つばさ文庫) / 感想・レビュー

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☆よいこ

児童書。新任教師の小谷芙美先生は1年4組の担任をする。ゴミ処理場の中の作業員住宅に住む子供たちはいつも汚れていて、勉強も苦手。特に臼井鉄三は緘黙児で暴力的で、小谷先生は泣かされていた。小谷先生は鉄三と向き合うことで、鉄三がハエの飼育に夢中とあることを知り、一緒に研究をしることで心を通じ合わせる。貧困問題、発達障碍のことなど今も昔も教育現場の悩みは変わらない。▽1974年に初版されたものだが、つばさ文庫版はイラストも魅力的でふりがなあり読みやすい。巻頭の登場人物紹介もいい。内容的には教員におすすめしたい。

2021/05/20

たぬ

☆4 子供たちがピュアで泣ける。私が1年生のときはクラスメートのことにこんな一生懸命になるなんてなかったな。担任が大学出たての22歳だと経験云々よりもモンペにいじめられたりして本人のメンタルがやられないかがまず心配になっちゃうな。でも若いからこその情熱というかひたむきさもあるよね。これ子供の頃実家にあったんだけど(※購入者は母)大人になった今のほうがずっと心に響いた。いい本です。

2023/04/27

エリク

高度経済成長期に書かれた本と聞いていたので、どんなに古めかしい本なのだろうと思っていたら、とても面白い本でした。 ごみ焼却施設で働いている家族と共に暮らすために、施設内で住んでいる子供たちと彼らを温かく見守る先生たちのお話です。 いろいろと特徴的な子供たちながらも、一人一人が楽しく全力に日々生きていて、心が温まりました。

2019/09/24

まーみーよー

子供の本棚から。高度経済成長期のある町。この町にはごみ処理場があり、処理場内にある長屋には従事者家族が住んでいる。この学区の小学校の新任教師小谷先生が、処理場の子供達と共に成長する様が描かれている。経済成長の傍らで、貧困や差別、塵芥や汚泥の中で逞しく生きる子供達が描かれている。特別支援が必要な子供を自分の学級に受け入れる様子は今でいうインクルーシブ教育の実践のようだ。他の保護者だけでなく管理職からも小谷先生に反対する声があるのが辛い。その点は令和の今も残念ながら変わっていないかもしれない。

2021/03/29

yu@ka

息子が再読、とても気に入ってるようなので私も読んでみる。新米教師小谷先生が受け持つ1年生。中でも一言もしゃべらない鉄三との関係を軸に教師や生徒が共に成長してゆく。30年以上前の時代背景もあって学校や地域の問題を多数抱えるが、生徒の可能性を信じて体当たりで大切なものを教えようとする先生や、バクじいさんの筋の通った生き方が心に残った。

2019/03/31

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