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境界の発生 (講談社学術文庫)

境界の発生 (講談社学術文庫)

境界の発生 (講談社学術文庫)

作家
赤坂憲雄
出版社
講談社
発売日
2002-06-10
ISBN
9784061595491
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境界の発生 (講談社学術文庫) / 感想・レビュー

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獺祭魚の食客@鯨鯢

人間の生きる世界と異界との境は魔物が住むと考えられていました。「境=さかい=坂い」でもあり、山頂や峠がそのメルクマールでした。村の内と外を分離するために石塔を建て、穢れ(異人)が村へ入り込まないないようにしました。 イザナミが黄泉の世界から穢れを持ち込まないように大岩で塞ぐことなどの話からも「境」を設定することにより死後の世界と峻別されたとともに、穢れを忌み嫌う精神風土が形成されていったと思います。

2019/03/16

N島

世界の根元を境界という概念から解き明かそうとする意欲的な一冊。古の境界を柳田~折口~西郷等の偉大なる先達をガイドに練り歩けば、巷には世界の秘密に至る扉がそこかしこに溢れている…そんな想いに浸れる一冊です。一読いただければ、古道、いつものジョギングコース、近所の散歩道など、ありふれた風景がまた違った意味合いをもって見えて来ると思います。読書がもたらす自身の感性の変化をリアルで感じることが出来る、ちょっと不思議な論文集です。

2019/10/02

perLod(ピリオド)🇷🇺🇨🇳🇮🇷🇿🇦🇵🇸🇾🇪🇸🇾🇱🇧🇨🇺

登録忘れ本。購入は2003年、読了は2007年以前。題名通りの本で、杖と境界や人身御供や琵琶法師、チマタ、穢れ、黄泉比良坂(愛国心の無いIMEでは一発変換できなかった)等がキーワード。最初は鎌倉論で三方を山に囲まれ南は海と言う境界で囲まれた都市について。鎌倉の各種切通に行ってみたのも本書の影響が大。杖と境界関係だと、私が住む市内にある神社の由来に、欽明天皇の時代に疫病が流行ったが杖をついた老人が現れて地面をつつくと清水が湧き出て疫病を癒したと。そんな感じの伝承が日本に限らず伝わっている。

さとまる

生と死、聖と俗、此岸と彼岸など様々な境目について語られている。個人的には古代の穢れ(付着=祓い・禊で落とせる浄化できる)と中世の穢れ(内在=固定化、差別・疎外)の違いを論じた部分が興味深かった。

2021/11/26

ハチアカデミー

B+ 古代~中世日本において、未記号化/未言語化のカオスの世界が、如何に解釈され、物語られてきたのかを明らかにせんと目論んだ力作。神話の解読、「原初のできごとを、いま・ここに不断に再生=反復」することで、失われた人間性を取り戻す試み。読み通した上で序言に戻ると、失われたものの大きさに気がつく。「世界はいま、魔性ともカオスや闇とも 無縁に、ひたすらのっぺりと明るい均質感に浸されている」。 神も異人も無き時代の境界は、人間の陣取り合戦に過ぎない。境界のもつ豊穣な世界は、もはや失われたとの念を抱いてしまう。

2011/11/07

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